2026年2月7日・14日に、リアル交流会を東京丸の内で開催しました。三菱みらい育成財団では、助成先の皆さまに交流の場を提供する「プラットフォーム事業」の取組みとして、年4回、オンラインと対面の交流会を実施しています。助成先および3年間の助成期間を終えた「アルムナイ」同士が情報交換し、ネットワーク化を進めることで、相互の気づきと学びを生み、グッドプラクティスの横展開につなげることを目的としています。今回は全国から助成先・アルムナイの皆様95人に集まっていただき、交流を深めていただきました。
相互インタビューから、
マイテーマのヒントをつかむ
最初に司会者から、今回のコンセプト「“わたし”から始める」について紹介させていただきました。社会が何を求めているか、教育に何が足りないかという外部からの視点ではなく、“わたし”はどんなことに気が付いているのか、“わたし”の中にあるものは何かという内側からの視点に焦点を当てていってほしいとお話しさせていただきました。
参加者の皆さんには6人×8つのグループに分かれて座っていただきましたが、いったん会場全体に大きな円となって広がっていただき、司会者から「どこから来られたのか」「交流会は何回目か」という質問に挙手で答えていただきました。全員の顔が見えるスタイルでの簡単なアイスブレイクの後は、“わたし”をほぐすワークとして視覚、聴覚、触覚など、普段の生活の中ではなかなか意識しない感覚的な体験に意図的に注意を向ける「五感フィールドワーク」を行い、心身共に対話に向けた準備を整えました。
最初の対話は「相互インタビュー」。参加者の皆さんにはあらかじめ「お気に入り」のものを持ってきていただき、その理由なども含めて肩書は秘密のまま自己紹介をしていただきました。疲れた時に必ず食べるもの、生徒たちが地元企業と連携して作った商品、切り絵や外れ馬券など皆さんが持ってきたものはさまざま。「なぜお気に入りなのか」のストーリーに爆笑が起きるグループもあり、全員の緊張がほぐれたところで、インタビューに取り組みました。3人一組のうち話し手1人に対して聞き手2人が向き合い、①どのような人生を歩んできたかというライフストーリー、②教育や学びづくりのベースにある哲学や教育観、③その人自身がどのように学んでいるかという3つの問いを投げかけるというもの。12分間のセッションを3回繰り返し、聞き手は、相手の言葉の中で印象に残った表現やキーワードを付箋に書き留め、最後にその付箋をお渡ししました。3人全員インタビューが終わったら、付箋を参考にしながら、「“わたし”の中にある問い」というマイテーマについて熟考する時間をとりました。
集まった方々の顔が見られるよう、大きな円になってまずは簡単なアイスブレイクを実施
自分の視界が縦横どこまで見えているのかの視覚チェック
意外な「お気に入り」のストーリーに、グループ全員が笑顔になることも
熊本の高校の先生が持ってきた「お気に入り」は、生徒の皆さんが作ったという地元特産のいぐさのコースター。紹介後には同じグループの皆さんにプレゼント。
3人一組での「相互インタビュー」。三つの質問をして気になるワードを付箋に書き留める。
頂いた付箋を基に、「“わたし”の中にある問い」というマイテーマを深めていく。
円になって
仲間同士で感想を共有
いったん休憩をとり、新しくグループを作った後は、二度目の自己紹介。今回は、肩書の“わたし”と、趣味や家族内での肩書などもう一つの“わたし”について紹介しました。そして、ここから先は「自由な対話の時間」。①「違う」ままで大丈夫! 知らんけど~!な意見こそ、相手にとって新しい光になる、②未完成なままで大丈夫、③問いかけ合うよう心掛ける、というグランドルールを意識しながら、まず全員のマイテーマを共有し、机やホワイトボードなどの道具を整えたらいよいよ今回のメイン対話をスタート。
「探究活動でのAIの活用」「答えを急がない探究」「探究活動×働き方改革」「一人ひとりの“わたし”とつながる震災・防災学習」「女性のキャリア」「心のエンジンとは」「先生方が負担と思わない探究活動を行うには」「Well-beingと教育」「楽しむ方法、頑張らないしくみについて」「学びのモチベーションはどうやったら生まれるのか」など、マイテーマは多種多様。さまざまなテーマで、1時間以上、熱のこもった対話が行われました。
対話の熱が冷めやらぬうちに、最後は3つのグループに分かれ、さらに円形に座っていただき、今日の感想を共有しました。
- 初参加だったが、安心して自分の内面や課題を言語化できる場があると、短時間でも大きな気づきが得られると分かった
- 同じ教育領域でも、所属や立場が違うと『当たり前』の基準がずれる。そのズレが学びになると感じた
- 「重ならない部分」や意見の不一致こそ価値がある。共通点探しだけが対話ではない
- 「頑張らない」は怠けることではなく、不得意を無理に背負わず、仕組みで回していく発想にしていくことが大事なのでは
- 探究は正解がないのに、正解を求めすぎていないか、わからないことを怖がっていないかを振り返ることができた
- 今日の交流会での自分の結論は「余裕・余白がないとやっていけない」というもの。生成AIなども含め、力を借りて余裕を作ることが大事だと思った などの感想が出ました。
今回の交流会は、コンセプト「“わたし”から始める」に沿って、「“わたし”をほぐす」から始まり、対話を通して「“わたし”のほしい未来を築く」という流れで進めてきました。“わたし”自身を探究するに当たっては、仲間がいることも重要。そこで今回は皆で円になって始まり、円になって終わるというスタイルにしました。輪になっての感想共有では、共感できるところがあったり、または新たな視点や意見に触れた参加者からは大きなうなずきや拍手が出ました。感想の発表と他者との共有を通して、しっかりリフレクションし、今回の交流会は終了となりました。
自己紹介の時と違い、皆さん真剣な表情でそれぞれの「マイテーマ」について深める
出身地や立場の「違い」から生まれる新たな気付きや発見があることも
全体が大きな三つの円になって最後の感想共有
最後の感想共有では「マイテーマ」を紹介しつつ、対話でどんなことが得られたのかについても発表いただいた
アンケート結果から
本日のワークショップの
満足度を教えてください。
(10点満点中)
新しい気付きや感想、
今後取り組みたいこと、
ここで生まれたアイデア
などを教えてください。
自分はなぜ教員になったのか、自分の持っている教師観は?など改めて自問自答する良い機会となりました。さまざまな先生方の意見を聞くことで、生徒との関わりについても考えることができました。自校でもこのような交流会に参加してくれる先生を募り、校内でも“対話”できたらと思います。(カテゴリー1)
最初はすごく緊張していましたが、運営の皆様のおかげで、楽しくリラックスして過ごすことができました。探究のことはもちろん、教員としての「わたし」についても、深く引き出してもらえるよい機会でした。マイテーマに関しては、自分が生徒にどうなってほしいのか本気でありのまま考えれば、生徒への向き合い方が分かると学びました。(カテゴリー1)
自分のカラをやぶり、自然体で参加できるこの交流会が大好きです。このようなワークショップを展開していただけることに感謝しかありません。今日の場で出会った新しい仲間を経由して、新たな人間関係も構築できるようになりました。このワクワクを校内で還元できるように、いろいろ頑張りたいと決意を新たに持てました!(カテゴリー1)
人からインタビューされて、自分のことを改めて見つめ直す機会となりました。普段は総合探究のカリキュラムや方向性、組織作りをメインに考えていましたが、まず自分自身の気持ちや考えを改めて見つめなおすことで、今後のやりたいことを見つけられたと思います。(カテゴリー1)
生徒に身に付けてほしい力、なってほしい生徒像を「総合的な探究の時間」に乗せすぎないほうがいいかもということに気づき、この気づきは自分の中でとても大きかった。総探の評価は、「~の力を獲得した」とかではなく、「~なマインドが揺さぶられるような経験・機会を得ることができた」とかの評価のほうがいいかもしれないと思った。(カテゴリー1)
対話の時間に、東日本大震災、福島での学び、「ふるさと」って何だろう、「復興」って何だろうという問いについて話し、涙が出ました。数分、言葉が出なくなり… 対話をしながら、言葉を失うという体験は初めてで強く印象に残りました。(カテゴリー1)
学校現場で勤務されている方と多くお話ができ、共通する課題/異なる課題を知る中で、自分自身の立場・役割や、高校生に求める力などを客観的に見ることができました。大きな学びを持ち帰ることができると思います。(カテゴリー2)
地域連携の学びや学びの目的について、論理的にも感覚的にも共通性のある人たちに出会えました。奇跡的でした。正直、教育系のワークショップには期待はあまりなかったのですが、期待以上(5倍位?)の価値がありました。(カテゴリー3)
こういう場は大学教員にとって、とても大切だと思います。高校の先生と話す機会が少なくて、大学と高校とのギャップを感じました。高大接続・連携をもっと進めていかないといけないと思いました。(カテゴリー4)
子どもたちを信頼して、湧き出るのを待つ。全部が子ども主導じゃなくていい。選択肢を与えて、子どもに選択させる。強制されて気づかされるものもある。バランスが大事で、これを観察して見つける作業が必要、という気付きがあった。(カテゴリー5)
2月7日参加の皆さま
2月14日参加の皆さま