カテゴリー 42022年採択

法政大学

対象者数 200名 | 助成額 238万円

https://www.hosei.ac.jp/sdgs/?auth=9abbb458a78210eb174f4bdd385bcf54

ProgramSTARTプログラム
(SDGs Target Active learning Revolutionary Trial Program)

 STARTプログラムは、SDGsをテーマに掲げ、本学が有する知的資源を活用し、多様なパートナーと連携しながら、21世紀を生き抜くために必要な課題解決能力「問いをデザインする力」「固有の学問領域にとらわれない思考」「社会のために行動する実践力」を身に付ける正課教育と正課外教育を組み合わせたプログラムである。

 学生たちは、「ゼミナール編」と「思考力養成編」から重層的に構成されたプログラムを受講することで、次の通りの資質や能力を身に付ける。まず、正課外として開講される「ゼミナール編」では、企業によるSDGs実践例の紹介を中心とした講義、社会人との対話やワークショップ、現地フィールドワークを通じて、SDGsの実践力を身に付ける。続いて、「思考力養成編」では、正課教育として開講されているSDGs科目の履修、SDGsオンデマンド学習動画の視聴、SDGsに関連した書籍を読むことを通じて、専門の重要性と俯瞰的で幅広い教養の必要性を理解し、幅広いモノの見方や自由な思考力を獲得する。学生は「ゼミナール編」と「思考力養成編」を往還することで、主体的に学び続けるサイクルを形成する。

 本プログラムへ参加することにより、学生は自らが所属する学部だけではなく、大学、地域、世代を超えたさまざまな人々との交流を通して、対話する力、自身の考えを他者に発信する力、他者の考えを理解する力を身に付け、価値観の多様性や横断的な専門知識の重要性の認識するといったことができる。

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SDGsをテーマに「21世紀型みらい人材」育成を目指すプログラム

 法政大学のSDGs+推進特設部会が主催するSTARTプログラム(SDGs Target Active learning Revolutionary Trial Program)は、その名が示す通り、SDGsをテーマにした「21世紀型みらい人材」を育成することを目指したプログラムだ。「自由を生き抜く実践知」を大学憲章に掲げる同大学にふさわしいプログラムと言える。

 同大学では「21世紀型みらい人材」を、「変化が激しく予測できない現代社会において必要とされる三つの力を有する人材」と定義しており、それは以下の三つを指している。

  • 問いをデザインする力
  • 固有の学問領域にとらわれない思考力
  • 社会のために行動する実践力

「プログラムの軸になっているSDGsにおいては、いまだ多くの課題があり、顕在化していない課題も多くある中で、自分自身はどのような課題を解決していきたいのかを設定する、つまり『問いをデザインする』ことが必要です。また、SDGsの課題はあらゆる学問分野にまたがっているケースが多く、総合的な課題解決が求められています。そして、それらを頭の中で考えて終わりにするのではなく、行動する力も当然ながら必要になってきます」と、本プログラムをコーディネートする同大学人間環境学部の金藤正直教授は語る。

 本プログラムの前身となったのは、2021年度の春・秋学期、2022年度の春学期に実施された「SDGs実践知ゼミナール」。コロナ禍の中、完全オンラインで実施され、協力企業の社員による講義や、提示された課題やケーススタデイなどにグループワークで取組み、その結果を発表するというゼミ形式のプログラムで、現在の「ゼミナール編」のもととなっている。

 この「SDGs実践知ゼミナール」は学内だけでなく、三大学連携協力協定を結んでいる関西大学と明治大学(三大学の創立者がともに「日本近代法の父」ボアソナード博士の教えを受けていることから2017年に協定締結)、法政大学とキャンパスが隣接する千代田区キャンパスコンソーシアム所属の大学生も受講可能としていた。

 2022年7月、三菱みらい育成財団の助成のもと、この「SDGs実践知ゼミナール」を発展させる形でスタートした本プログラムも同様に学外にも開かれており、2022年度は、関西大学、明治大学、共立女子大学の学生が受講。さらに三輪田学園高校、郁文館高校、郁文館グローバル高校、ID学園高校など、同大学とSDGsの連携をしている高校の生徒にも参加の輪が広がった。

STARTプログラムをコーディネートする法政大学 人間環境学部 金藤正直教授

オンラインで開講された2022年度のゼミナール編

「ゼミナール編」と「思考力養成編」の往還で学びのサイクルを作り出す

  プログラムの変更点は、「ゼミナール編」と「思考力養成編」の二層構造になったこと。「ゼミナール編」では、講義やワークショップに現地フィールドワークも加え、SDGsの実践力を身に付けていく。「思考力養成編」は、SDGsに関連する同大学の授業科目から構成された「SDGs科目群」、リストアップされた書籍からSDGsを学ぶ「HOSEI SDGs BOOK List」、SDGsを学習できる動画コンテンツなどを多数用意し、「ゼミナール編」を受講する中で新たな知識が必要になった際、受講者がこれらに自由にアクセスして学ぶことができる仕組みを構築した。受講生は「ゼミナール編」と「思考力養成編」を往還することにより、学びのサイクルを作り出せるようになった。また、誰がどのコンテンツにアクセスしたかは、「ポートフォリオSTART(Googleスプレッドシート)」で共有しているため、事務局はもちろん、受講者同士にも分かる仕組みで、学びのヒントを得たり、刺激を受けたりするのにも役立っている。

  本プログラムの「ゼミナール編」も、2022年度はフィールドワークを除いてオンラインで開催されたが、2023年度は同大学の市ヶ谷キャンパスで、7月から2月の隔週水曜日、18時から19時40分まで、全て対面形式で行われた。リアル開催により講師も受講生の反応を直接感じられるし、受講生同士のコミュニケーションも格段に上がった。しかし、同時にデメリットもあった。2022年度には100名近く集まった受講者が、2023年度は半数近くに減少してしまったことだ。

「平日の夜に実際に足を運ばなくてはならなくなり、参加のハードルが少し上がってしまいました」と語るのは、本プログラム運営の事務局を務める同大学総長室付教学企画室の荒井俊樹さん。しかし参加のハードルが上がったことで、より学習意欲の高い受講者が集まり、熱のこもった意見交換が交わされることは何ものにも代えがたい。今後も対面開催を中心としながら、遠隔地からはオンラインでも参加できるようにする、開講曜日を土曜日も含めた複数にする、プログラムを担当講師企業ごとに分割して受講できるようにするなど、参加しやすくする工夫が考えられている。「そうすることで、他大学生、高校生はもとより、本学とパートナーシップを結ぶ企業からの受講参加も望めるのではないかと思っています」と荒井さんは語る。

2023年度のゼミナール編は、隔週水曜日、法政大学市ヶ谷キャンパスで対面にて行われた

60団体以上が加盟する法政大学SDGsパートナーズがサポート

  2023年度の講師企業は、さまざまな企業・団体が加盟する法政大学SDGsパートナーズを中心に検討し、最終的に、日本旅行、セブン&アイ・ホールディングス、三井住友海上火災保険、みずほフィナンシャルグループの4社に協力を仰いだ。受講者を所属大学、また大学生と高校生がバランス良く混ざるように7つのグループに分け、それぞれの企業事例に対する講義、グループごとのディスカッション、最後にグループ発表を行うという形で進められた。

「2022年度は、思考力養成編における各受講者の学習ポートフォリオを見ると、どうしてもSDGsを全般的に学べるコンテンツに偏っていたのですが、2023年度は各協力企業から事前に専門的な推奨コンテンツを提示してもらったおかげで、より深い学びにつながったと思います」と荒井さんは語る。

  8月に一泊二日で行われた現地フィールドワークは、日本旅行の企画によるもので、場所は那須塩原市。「脱炭素社会に向けて、大学生、高校生の行動変容につながる旅とは」をテーマに掲げ、那須平成の森で人と自然が共生する暮らしと自然環境との調和を実体験。さらに那須疏水を活用した小水力電力発電施設の見学と、実際にその水力発電で発電された電力を使った取り組みの一例として、日産自動車からのEV(電気自動車)の講義と試乗体験などが行われた。フィールドワークの帰りは、一緒に食事をしてから帰るグループも多く、「これも普段から一緒にグループワークをしているからこそ。単なる教育プログラムではなく、所属大学や世代を超えたつながりが生まれることも、本プログラムの大きな特長です」(荒井さん)

  グループ発表の前になると、講義のある水曜日以外にも、各グループでスケジュールを組んで、オンライン上でやり取りすることも多いという。受講者からの感想にも、「SDGsとビジネスが密接につながっているということを学べました」などの声とともに、「世代を超えてともに学ぶことから、新たな気づきが得られました」などの声が多く寄せられている。高校生が年上の大学生とのワークによってより高みを目指すようになるだけでなく、専門分野からの考察が中心となる大学生にとっても、高校生の先入観のない発想から生まれるアイデアに驚かされることは多く、お互いが良い刺激を与え合っているようだ。

「SDGsは一つの大学で行えばいいというものではありません。他大学や高校生にもっと広く門戸を開き、受講者自身にも多様性を感じてもらった上で、社会に出て活用していただきたい。そのためには、対面形式は基本的に継続しながらも、選択肢をもっと増やし、受講しやすいプログラムを模索していきたいと思います」と、荒井さんは今後の目標を語ってくれた。

2023年に那須塩原市で行われた現地フィールドワーク

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