Program「ローカル・プライド」を持ち地域課題を
ワクワクしながら解決できる人材を育成
本プログラムではローカルプライドを「地域の真の豊かさについて探究し、より創造的に地域に関わりたいと思う気持ち」と定義し、生徒のローカルプライドの醸成と探究学習を組み合わせて行う。
ローカルプライドの醸成では、①地域を知る②地域のことを考える③地域で暮らす人と話す④地域の真の豊かさを探究する、の4つの活動を行う。
探究学習では、次の5つ段階を各学年で行うことで、生徒が将来地域を創造していくことができる力に必要な基礎を学ぶ。①体験活動:地域の魅力を体験して知る活動を行う。② 課題の設定:体験活動や学習で得たことを通して、課題を設定し課題意識をもつ。③ 情報の収集:必要な情報を取り出したり収集したりする。④整理・分析:収集した情報を、整理したり分析したりして思考する。⑤ まとめ・表現:気付きや発見、自分の考えなどをまとめ、判断し、表現する。
また、ローカルプライドの醸成、探究学習を通して、ローカルプライドを持った大人と関わることで、生徒にロールモデルを示し将来のキャリアデザインを考えるきっかけにする。
本プログラムは全校生徒で取り組み、さらにもっとやりたいという生徒に対して学校と地域の橋渡しをし、生徒が安心して地域で活動できる環境を構築する。

活動レポートReport
地域の魅力を生かした学びを体系的なプログラムに
北アルプスの麓、標高約700メートルに位置する白馬村は、冬季五輪の会場にも選ばれた国際的なリゾート地。同地で唯一の高校である白馬高校は、多くの五輪選手を輩出したスキーの名門校として知られるものの、近年では生徒数の減少が危惧されている。そこで、県下の高校では初となるコミュニティ・スクールの指定を受け、地域とともに魅力向上に取り組んできた。
「もともと本校は観光・スポーツ・国際交流など地域特性を生かした教育に注力してきました。特に2015年に新設された国際観光科では、観光事業者の協力のもと生徒が外国人観光客のガイドを務めるなど、実践的な学びを強化。そうした活動を体系立てて全校化するとともに、もっと生徒の内発的動機を刺激して『ワクワク感から始まる学び』を実現すべく、2024年度から教育プログラムを再編しました」と、探究学習を担当する浅井勝巳先生は語る。
1年次では、普通科と国際観光科の学校設定科目「北アルプス学」と探究授業を通じて、地域の魅力を調査・発信しながら探究の基礎を習得。2年次は「持続的な観光」をテーマに、県外も含めたフィールドワークを通じて地域と観光のあり方を探究。3年次は、「自分を知る」「身近な人を知る」「地域で生きる人を知る」という3段階の記事作成を通じて、地域課題と照らして自身のキャリアを考える機会を設けている。「こうした3年間の学びを通じて、生徒たちにローカル・プライド、つまり『地域の真の豊かさについて探究し、より創造的に地域に関わりたいと思う気持ち』を培ってもらうことが、私たち教員の願いであり、地域の期待でもあります」(浅井先生)。
そこで重視しているのが、実際にローカル・プライドを持って活躍する大人との交流だという。「インバウンド拡大を背景に、白馬地域の魅力向上に取り組む事業者との交流は、生徒の自主性を育む貴重な機会と捉えています。実際、リゾート開発や商品開発、自然保護など多様なテーマに取り組むなかで、自身の進路を見いだす生徒も増えています。今後も学内と地域を自由に行き来できる環境を整備しつつ、観光やフィールドワークに訪れる外部の方々や、他地域の高校とも交流するなど、より広い視点から探究できる機会を設けていきます。そこで得られる経験を通じて、社会に出て困難を乗り越えられる力を身につけてほしい」と、浅井先生は確かな手応えとともに、さらなる学びの充実への思いを語った。
島袋浩次(ライター)
2022年度から、1年次の普通科・国際観光科の学校設定科目として開講された「北アルプス学」では、理科的と社会的、双方の視点から地域の魅力を探究する。フィールドワークを通じて地域の自然環境や歴史・文化、課題などを体験・考察した成果は、各自がまとめたレポートや動画で共有され、互いに評価し合うことで深められている。