Program岐阜から世界へ、世界から岐阜へ
~グローカル探究実践事業(GLI)を通じて、
広い視野をもつ生徒を育成する~
創立109年を迎えた加納高校は、県指定の地域共創フラッグシップハイスクール事業(FRH)を3年間、グローカル探究実践事業(GLI:GlocaL Inquiryの略)を2年間実施した。その中で確立した探究プログラムを実践する。
1年次生では個人での探究を行い、個人の探究スキルを磨き、2年次生ではグループで協働探究を行い、対話を中心とした探究活動を実践する。
本探究活動では、1年次では探究を身近な地域の岐阜を深く知り課題を発見することから始め、2年次では各自の興味・関心の範囲を学校外へと広げ、大学や外部機関とも連携し、世界や日本と自分の関わり、課題やその解決方法などを探究(リベラルアーツ、ロボコン探究、海外研修)する。また、2年次には探究の成果をポスターにまとめ、1・2年次合同の発表会を開催し、その成果と課題をプレゼンテーションするとともに、次年度の後輩たちに新たな課題を託し、探究活動を加納高校の学びの柱の1つとする。

活動レポートReport
地域の大人との交流が郷土愛と探究心を育む
創立110年の歴史を持つ加納高等学校は、普通科と音楽科、美術科を併設し、文化の香り高い進学校として地域の信頼を集めている。「本校卒業生に地元での活躍を期待する声が多いものの、実際は進学先や就職先を県外に求めるケースが大半です。
将来的に県内に戻ってもらうには、モデルケースとなる“地元の格好良い大人”との関係づくりが重要だと考えました。そこで、計5年にわたる地域共創フラッグシップハイスクール事業やグローカル探究実践事業の蓄積をベースに、若手・中堅教員が全国の探究先進校を訪問して学んできたノウハウを加え、2024年度から独自の探究プログラムをスタートさせました」と、探究授業を牽引する青木智宏先生は語る。
1年次は「10年後の岐阜」をテーマに個々の活動を通じて探究スキルを磨く。2年次は、自律型ロボットの製作に挑む「ロボコン探究」、マレーシアでの「海外研修」、生徒が各自でテーマを設定する「リベラルアーツ」の3分野から選択し、グループによる協働的な探究活動を実践。郷土との関わりを軸にしつつも、生徒の「学びたい、やりたい、知りたい」といった気持ちに応える幅広いフィールドが用意されている。
約7割の生徒が選択するリベラルアーツでは、人材還流型の地域活性化に取り組むNPO法人の協力のもと、和傘や地酒など岐阜の文化・特色を生かした地域おこしに取り組む方々を探究メンターとして招き、講演を実施している。「生徒たちの探究のヒントになるよう、単なる活動紹介にとどまらず、現場で生じる疑問や課題に対処するための姿勢や考え方なども話してもらうようお願いしています」(青木先生)。
こうした講演をきっかけに、グループごとに興味・関心を持つテーマを設定し、生徒自ら校外に働きかけて探究に取り組んでいる。「自分で訪問したい企業を見つけてアポイントを取るなど、普段の授業では見られなかった積極性を見せる生徒も増えています。いったん自分たちで考えたことを大人にぶつけて対話することで、探究サイクルを2回転でき、探究を深めている様子が見て取れます」と青木先生は手応えを語る。
「いずれ社会に出て困難に直面した時に、それらを明るく乗り越えられる“格好良い大人”になってもらいたい。本校での学びを通じて、そのための基盤となる力を培ってあげたい」という青木先生の言葉通り、同校の探究プログラムは、生徒たちが自ら未来を切り開く大切な一歩となっている。
島袋浩次(ライター)
探究活動の成果は1・2年合同の成果報告会でのポスターセッションにより共有される。「2年生にとってはプレゼンテーション力を磨きつつ、他グループからの指摘や質問を通じて探究を深める場、1年生にとっては、これから実践する探究活動を具体的にイメージする場となっています」(青木先生)。