静岡県立駿河総合高等学校
対象者数 233名 | 助成額 100万円
Program地域防減災コミュニティプロジェクト(LDCP)
~多様な価値観で、まちの未来創造を生徒・地域とともに~
総合的な探究の時間で身につけたい力を明確にし、1年次生から3年次生まで4単元構成で学びを貫き、生徒自ら主体的・協働的に各教科で育成する資質・能力を生かしながら「探究サイクル」を回すプロジェクト学習である。その中で、2年次生233名全員が「防減災」を切り口に『地域コミュニティ』に関わりながら、高校生にできることを、実際にアクションを起こすことで社会貢献を体現し、これからの社会を切り拓いていく力を身に付けていくプログラムである。年間を通し、県危機管理局・区役所地域総務課・静岡大学・自治会3地区・静岡大学国際連携推進機構・市女性会館・地元企業・子育て支援センター・福祉施設と様々な事業所と協働し、社会の課題を自分ごととしながら解決に向かうプログラムである。
静岡県は大きな地震が発生すると予測されており、また近年は水災害が多発している。地域離れしている高校生を再度地域に戻し、災害時には地域の力にしたい。実際に、令和4年9月23日に起きた大雨による災害では、いち早く救助やボランティア活動に参加した生徒がいた。このプロジェクト学習が次への一歩となり、机上だけの学びはなく社会とつながる学びになるよう、地域と協働して取り組んでいる。教育資源として、地域の協力体制、大学生による伴走、フィールドワーク、2度の中間報告会、最終報告会、成果報告会がある。
高校生233名が長期間をかけて防災・減災を切り口に地域コミュニティの形成・醸成に授業で取り組み、派生した活動が生徒自ら放課後や休日に出ていくという、自走と地域共創を狙ったプログラムである。

活動レポートReport
地域の課題解決に向けて〝自走〟できる生徒を育む
2013年に都市型総合学科高校として開校した駿河総合高校では、スクール・ミッションの「社会や地域に積極的に参画し貢献する人材の育成」を目指している。「このため従来から探究学習を重視していましたが、校内での学びだけでは限界があり、生徒が校外に出て自ら課題を発見する仕組みが必要だと考えました」と学校魅力推進課の課長を務める遠藤健先生は語る。
地域の人々との協働で課題解決に取り組むことで、より良い社会づくりに向けて〝自走〟できる生徒を育てようと、2021年度から2年次の探究授業にプロジェクト学習(PBL)を導入。テーマとしたのが防災だった。「静岡県は南海トラフ地震への対策として地域ぐるみで防災への取組を進めているため、生徒たちの興味・関心も高く、行政や大学、企業、自治会などとの接点も作りやすいと考えました。また、防災は子供や高齢者、地域を訪れる外国人など、あらゆる人々に関わるテーマなので、学びの多様性も確保できます」(遠藤先生)。
当初は生徒のモチベーションにバラつきがあり、協働先にも戸惑いがあったというが、継続するうちに校内外で「未来の静岡を支える生徒を地域全体で育てよう」との目的意識が共有され、軌道に乗ってきたという。「協働先の皆さんの理解もさることながら、率先して取り組む生徒たちの存在が大きかったですね」と遠藤先生は振り返る。協働先でのフィールドワークをきっかけに、自ら地域の大人たちに働きかけてコミュニティを立ち上げ、高齢者施設での防災イベント開催や、外国人観光客向けの避難所マップ作成、さらにはSDGsイベントの開催など多様な活動を展開。校内での発表会に加えてマスコミでも紹介されたことで、生徒の間に「自分たちにもできる」との意識が広がるとともに、地域からの理解と期待も高まっているという。
「最近では自主的な姿勢が浸透し、防災や地域振興に関わる仕事に興味を持つなど進路選択にも影響を与えています。中には卒業後も活動を継続できるようNPO法人を立ち上げた生徒もいるほどです」と遠藤先生は目を細める。「きっかけさえつくってあげれば、生徒たちは自分で羽ばたいていくもの。その活動に伴走できるよう、全生徒を探究部の所属とし、放課後や休日の活動も正式な学校活動と位置づけています」と語る遠藤先生をはじめ、教員や地域の人々の温かい視線に守られ、同校生徒の活躍の場はさらに広がっていくだろう。
※ LDCP=Local Disaster prevention Community Project
島袋浩次(ライター)
4人一組のチームによる活動内容の成果は、2度にわたる中間報告会と、協働先や他校生、中学生も招いて開催する最終報告会で発表される。多様な切り口からの活動が報告され、生徒同士が刺激を与え合っている。