カテゴリー 12024年採択

愛知県立犬山総合高等学校

対象者数 480名 | 助成額 200万円

https://inuyama-sougou.jp/

Program探究学習を軸としたカリキュラムの実践による
「チェンジメーカー」の育成
~ビジネス・デジタルの力で地域の課題解決に挑む~

 本プログラムは、3年間を通した体系的な探究学習プログラムである。生徒は、それぞれが持つ「強み」を武器に、地域課題の解決に挑み、「チェンジメーカー(=あらゆる課題を自分事としてとらえ、自分と社会を変えてみんなを幸せにする人)」として成長することを目指す。

 本校は、「起業家的人材育成」及び「DX人材育成」を大きな柱に位置付けた総合学科であり、ビジネスやデジタルを中心とした最先端の学びによって生徒のやる気に火をつけ、さらにそれを探究という文脈で地域課題の解決に生かすことで、生徒の自己肯定感や主体性を育むというカリキュラムを実践している。

 探究学習の流れとして、1年次には市役所と連携した4つのプロジェクトにおいて市役所各課より地域課題を紹介してもらい、生徒の自由な発想でその解決策を提案する。2年次では、8つの地域密着型プロジェクトに挑戦し、提案で終わるのではなくアイデアの実装までを行う。いずれも学校外の団体・機関のバックアップのもと、生徒のアイデアを提案で終わらせず、実社会の中で解決策を実行することを目標に取り組んでいく。3年次には、学校側が用意した枠組みではなく、自分たちがどんなプロジェクトを実行したいかという企画から取り組む。このように3年間を見通して探究活動に取り組むことで、生徒の成長とキャリア形成を確実にサポートする。

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リアルな社会課題の解決に挑む探究を軸とした総合高校の挑戦

 県立高校再編将来構想により、2023年4月に総合学科として新たなスタートを切った同校は、ビジネスおよびデジタル分野を柱に「生徒の新たなチャレンジを全面的に支える学校」への変革を進めている。その中核となるのが探究学習だ。「アントレプレナーシップⅠ」や「IT入門」などの専門科目で、生徒は各自の「強み」を磨く。その力をプロジェクト型の課題解決に生かし、自己肯定感や主体性を育む仕組みだ。

 1年次の「産業社会と人間」では、犬山市役所各課が挙げる地域課題への解決策を提案する。課題設定や情報収集、整理から発表まで、探究の基本プロセスを学ぶ。2年次の「地域探究Ⅰ」では、まちづくり、起業、共生社会実現など、八つの地域密着型プロジェクトに挑戦する。課題は企業や地域団体から提起され、アイデアを「実装」するまでが求められる。名古屋鉄道(名鉄)との「名鉄ポスタープロジェクト」では、生徒たちが犬山市のオーバーツーリズム問題や夜間観光の弱さに着目。公共交通機関の利用促進や夜間の観光客誘致の方法を探った。企業が社会課題解決に取り組むのは、利益追求だけでなく企業価値の向上や新市場の創出という意義がある。生徒はそれを肌で感じ取っている。3年次の選択科目「地域探究Ⅱ」では、生徒が自らテーマを企画・実行する完全なフリープロジェクトに取り組む。

 再編から3年間の実践で、「毎週金曜の午後は“探究”」という意識が生徒や教員に根付き、生徒の社会課題への関心や、解決への貢献意欲は飛躍的に向上した。探究をバックボーンとして進路選択を考える生徒が増えており、総合学科として「将来を見据えたキャリア教育」が機能しはじめている。

 一方、探究への取組に温度差が見られる生徒や、様々な配慮が必要な生徒への対応も忘れてはいない。奥村高志教頭は「誰一人とりこぼさない教育環境の整備が必要。どの生徒の探究にも教員が伴走できる学校文化をつくりたい」と話す。生徒の望ましい行動や社会性を育む「スクールワイドPBS」やSEL(社会性情動学習)の導入も検討しているという。

 また、外部人材による指導、生徒の学校外活動に伴う費用の確保も不可欠だ。奥村教頭は「今後3年間で取組の成果を形にし、外部との連携や予算面の基盤を固めながら、プログラムを定着させていきたい」と語る。

長尾康子(教育ライター)

2024年度の「全国高校生マイプロジェクトアワード愛知県サミット」に4チームが出場。災害時に外国人観光客をAR(拡張現実)で誘導するプロジェクト「PIKUTON」が最終選考に選ばれるなど、着実に「チェンジメーカー」が育っている。

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