Program「みらいチャレンジ」で未来をチェンジ!
~社会とつながる探究活動で学びのイノベーション~
本校は、米子市と「ふるさと教育に関する連携協定」を締結して、市の全面的な協力を得ながら、まちづくりに関する地域の課題を見出して、持続可能性を意識しながら解決策について考察する「みらいチャレンジ活動」と称する探究活動を実施している。
本プログラムでは、グローバル社会の一員として、持続可能な社会を共創していくため、「みらいチャレンジ活動」における協働的な課題発見・解決の過程に、国際交流や近隣大学への訪問、大学生との交流体験を組み入れることで生徒の心のエンジンを駆動させ、課題を自分事としてチャレンジする力を育み、学びのイノベーションを生み出すことを期待している。
地方ゆえに学びが狭い範囲に限られるのではなく、海外との交流や県外の大学訪問等の事業により、生徒の視野を大きく広げることでマインドセットの転換を図り、学ぶ意欲や社会貢献意識の向上につなげて未来を変えていくマインドを育てていきたい。
プログラムの目標
(1)データを根拠にした情報収集の方法の獲得による探究の質の向上
(2)自分の意思でキャリアを選択していく力の育成
(3)グローバルな視点で考察する力の育成



活動レポートReport
地域連携とデータ活用を軸に探究活動を進化
約10年前から「みらいチャレンジ」という名称で探究活動に取り組んできた米子西高校。以前は調べて終わるという活動にとどまっていた「みらいチャレンジ」を進化させ、独自のスタイルを確立したいと、探究活動を担当する企画推進部では、令和に入ってさまざまな改革を行ってきた。
その一つが地域との連携強化だ。同校は、ふるさと教育を推進する米子市と連携協定を2020年2月に結んでおり、「鳥取県庁や米子市役所には本校出身の方が多く、高校時代に地域のことについて考える機会をつくりたいと考えました」と改革を推進する主幹教諭の東田健先生は話す。市役所が制作する「米子市まちづくりビジョン(七つの重点課題)」のパンフレットを生徒に配布し、職員に直接話を聞ける機会を設けるなど、地域社会への関心を促している。
もう一つ取り組んだのが、データ収集力・活用力の強化だ。その一環として、経産省等が提供する「RESAS(地域経済分析システム)」を用いたデータサイエンスに基づく教育に力を入れる。独自のワークシートを使いながら、中国経済産業局の職員の方に講師をしてもらった。「内容は難しかったかもしれませんが、生徒にとって、活用できるツールの存在を知ることができたという点ではいい機会になりました」(東田先生)。
1年生はプレ探究活動としてデータ重視の研究の進め方や課題に取り組む方法論を学ぶ。2年生は市が取り組む七つのテーマごとにグループをつくり、データ分析等に基づいた課題を見いだして、仮説を立て、検証を行い、成果発表を行う。今年度は中間発表会に市役所から21人の職員を招き、評価やアドバイスをもらった。
また探究活動の成果を把握するために、二つの独自アンケートも実施。経産省が定義している「社会人基礎力(前に踏み出す力・考え抜く力・チームで働く力)」と、プレゼンテーション能力を測るもので、「チームで働く力」は以前から高い傾向にあったが、「前に踏み出す力」「考え抜く力」もここ数年で上昇してきたという。「年々、コンテストやシンポジウムに自主的に参加する生徒が増え、積極的に校外に飛び出して挑戦しようとする意欲の高まりも感じられるようになりました」(東田先生)。
身に付けてもらいたい力を明確にし、生徒の強み・弱みを見える化するなど、企画推進部を中心に先生方が試行錯誤しながら積み重ねてきた改善の成果が、生徒の変化として表れ始めている。
地元放送局等が主催する「発明楽コンテスト」に、同校の生徒グループが初めて参加。地元の皆生温泉の足湯に近づくと光る提灯を持って散歩しながら、宝探しのように足湯を探す「お散歩ちょうちん」を提案し、大賞を受賞。地域の方のヒアリングなどを通して、ユニークなアイデアを生み出した。