カテゴリー 12024年採択

長崎県立口加高等学校

対象者数 160名 | 助成額 200万円

https://www.news.ed.jp/kouka-h/

Program対面からつながるリモート探究
~最南端から最先端~

 長崎県最南端の地にある全校生徒240名弱の学校において、本校に設置されている学科やコースのそれぞれの特色を活かしながら、フィールドワークや研究者等との対面指導の充実を図るとともに、地理的なハンディをICTの力で乗り越え、探究的な学びを進化・発展させる教育プログラム。

 本校がある南島原市は大学もなく企業も少ないが、校内全館Wi-Fiや一人一台パソコンの活用などICTが完全に整備されている利点を利用して、先行研究の調査を行ったり、学校でZoomのアカウントを取得し、リモートで繋がる手段を用意している。しかし、初対面でリモートでの対談をお願いするのは生徒にとっては難しく、積極的に外部の方とつながる生徒は少ない。多くの企業や大学がある町へ行き、実際にその分野の専門家に直接お会いし、先行研究について学ぶ機会を与えることで生徒の探究活動に対する意欲を駆り立てることができる。地元で感じることができない専門家との交流はその後の探究活動を深化させることにつながり、リモート会議等を活用することで継続的な意見交換への動機づけになる。

 特にグローカルコースでは、市内でのフィールドワークを多く行っており、特に海洋班は、実際に船を借りて検証実験を行うことがあるが、船を調達するのに苦労しており、本プログラムによって、より多くの現地調査や先行研究を知る活動が可能になるなど、探究活動のさらなる充実が期待できる。

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“ロカロクエスト”で地理的制約を乗り越える

 全校生徒209名の長崎県立口加高校は、普通、生活創造、グローカルという三つのコースを持つ普通科と福祉科を擁しており、各科・コースの特徴に沿った探究活動を行っている。地元の南島原市役所や介護施設などと連携を取りつつも、島原半島の最南端に位置することから、公共交通機関を使って生徒が校外に出ていくことが難しいという課題があった。周囲の環境についても「地元企業がほとんどなく、身近なキャリアモデルは看護師、教員、保育士、薬剤師などで、職業の選択肢が限られているのが現状です」と同校の冨永紘平先生は話す。

 そこで2024年度からスタートしたのが、「ロカロ(口加をカタカナに見立てたもの)クエスト」だ。丸一日使って、1・2年生全員をバスで長崎市や福岡県に送り届け、生徒たちは個人やグループで企業や大学、研究施設などを訪問し、探究活動で感じた疑問や悩み事について直接対話する。

 生徒たちが訪問先を決めると、まず教員が一報を入れ、その後は生徒自身がアポイントを取るようにしている。「アポ取りは全教員が分担して行っており、協力した先生方はこのつながりを生かしたいと、伴走の意欲も高まっています」と濵村満紀子教頭は話す。冨永先生も「クエスト後の探究活動の中身も、プレゼンテーションのスキルも向上しています」と手応えを話す。

 ロカロクエストは、直接対面が目的ではなく、その後もICTなどを活用してやり取りを継続しながら、探究を深化させていくことに主眼を置いている。クエスト後も継続的にやり取りをした生徒は2024年度は69%。そのうちグローカルコースのオリジナルパンフレット作成に取り組んでいた班は、長崎市内の出版社を訪問後、何度もオンラインで誌面作りのアドバイスを受けるなどやり取りを続けて、オリジナルパンフレットを完成。おのおの母校の中学校に届けに行った。「大人には思いつかないような色調やデザインで、中学校からは大変好評でした。今年度は90%以上の生徒に継続的にやり取りをしてもらうことを目標に掲げ、熊本県・佐賀県にも範囲を広げ、34カ所を訪問しました」(冨永先生)。地元企業も少なく、職業選択が限られてしまうという環境の中、多様な職業に触れ、専門家と話すこのクエストは、生徒たちの進路への希望や目的を持たせる貴重な機会になっていると冨永先生。会う、つながる、そのつながりを継続する。同校ではその積み重ねで地理的制約を乗り越えようとしている。

年度末には市内のホールで探究発表会を実施。普通科生活創造コースは、市花であるひまわりを活用した商品開発等について発表した。専門家や有識者との質疑応答も行っており、「これまでのパネルディスカッションに比べ、生徒の緊張感が全然違います」と冨永先生は話す。

口加高校グローカルコース広報班は、タウン情報誌を制作しているながさきプレス社にアドバイスを受け、オリジナルのグローカルコース紹介パンフレットを完成させた

AIに関する探究を行っている普通コース2年生は、半導体関連の基礎知識を学ぶために経済産業省九州経済産業局を訪問

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