Program自ら人生を切り拓く力を育てる「東高シンカ」
本校は4月からスクール・ミッションを再定義し、東高シンカ(進化・真価・深化)の実現のため、生徒の心のエンジンを稼働させ、主体的に学ぶ生徒を育成する2つのプログラムを実施する。
1 キャリア形成 探究プログラム
本校のデベロップメントポリシーの1つ「叶える力」を身に付けるために、入学時から系統的なキャリアプランニング能力の育成を充実させる。
(1)「総合的な探究の時間」では、企業・大学研究機関等と連携し、生徒ひとりひとりが自身の興味関心と出会い、深め、探究し、社会へ踏み出す探究活動を実践する。
(2)LHR及び放課後に、各界で活躍する有識者や著名人等を招聘し、生徒が「本物の声」に触れる機会を創る。人との出会いは、生徒たちにとって心が動く瞬間であり、ものの見方・考え方を広げるきっかけとなる。先駆者たちの「なぜ」に触れることで、生徒たちの「なぜ」を問う力を育み、キャリア設計の動機付けとする。
2 国際理解教育の推進プログラム
本校独自の外国との国際交流の内容を、多様な価値観に基づき思考や発想を出し合いながら創造的な活動や探究的な活動を行うプログラムへと深化させ、世界規模での課題解決に向けた探究的な学びを促進する。

活動レポートReport
地域から世界へ広がる探究で「自走する学び」の芽が育つ
校訓「克己自彊」の精神のもと、2024年度に再策定したスクール・ミッション「自ら人生を切り拓く力を育てる」を実現するため、探究活動、キャリア教育、国際理解教育を統合したプロジェクト「東高シンカ」を推進している。「シンカ」には、「進化」と「深化」を掛け合わせて、生徒の「真価」を引き出すという意味が込められている。
総合的な探究の時間の「HIGASHI QUEST」において、1年生は「地域課題」をテーマに、北海道大学や道庁職員など外部人材に学び、道全体の課題や可能性を考える。2年生は興味・関心に基づくテーマでフィールドワークを行う。生成AIを活用した遠隔医療の可能性や、短時間で質の高い練習をするスポーツ科学まで、生徒たちの取り組む分野は多岐にわたる。そこで、地域のNPOや大学院生の助言を受けながら研究を行っている。3年生はこれまでの学びを進路選択に生かせるよう、さらなる探究を進める計画だ。
探究と並行して、キャリア教育の拡充も図った。希望制で放課後を中心に開く「キャリアトーク」は、同窓生のネットワークを生かした本格的なもの。公認会計士や獣医、音楽家など第一線で活躍する、30~40代のプロフェッショナルを招き、学びと社会とのつながりを生徒が実感できる講演会を開いている。
伝統の国際理解教育も探究型に転換中だ。カナダへの短期研修は、事前調査から現地プレゼン、帰国後の発表までを一連の探究サイクルとして捉えなおした。オンライン交流の相手国は、中国やニュージーランド、そして新たにベトナムが加わった。将来的にはベトナムの高校生との相互交流プログラムも実現させたいという。
プロジェクト初年度を終え、須藤克志校長は、「生徒は受け身的な学習態度から脱却しつつあり、自走する学びの芽が育ってきている」と、手応えを感じている。1年生は、探究の意義や進め方を理解することができた。希望制の「キャリアトーク」には2年生が積極的に参加。講師への質問も活発で、職業観の広がりが見られたという。
当面の課題は、プロジェクトを学校全体で推進する体制づくりと、持続可能な外部人材活用だ。札幌市内東西南北の道立4校による「学びのコンソーシアム」も立ち上がった。授業公開や探究の共同推進を通じて、互いに学び合いながら教育の質を高めていく取組にも注目が集まりそうだ。
長尾康子(教育ライター)
生徒の興味・関心を広げるために教員が発行する「考えるヒント」を読む生徒たち。始業前に配付している