カテゴリー 12025年採択

青森県立三戸高等学校

対象者数 85名 | 助成額 100万円

https://www.sannohe-h.asn.ed.jp/

Program三戸みらいキャンバス
~地域の、そして自分自身の「みらい」を「三戸郡」というキャンバスで描こう~

 高校のある青森県三戸地域を「真っ白なキャンバス」に見立て、高校生が自らの興味・関心や将来のキャリアから考えた地域活性化プロジェクトを企画・実行し、地域と自分の「みらい」を自らの手で彩り豊かに描いていく。これが、プログラム名に込めた想いである。

 本校の総合的な探究の時間のキーワードは、「すべての人のウェルビーイングの向上」と「学校を中心とする持続的な地域発展」である。1年次では、心を揺さぶる様々な体験活動を行う。1学期は「三戸町魅力発信カリキュラム」にて、伝えたいことをキャッチコピーと写真で表現する町の宣伝ポスター制作を通じて、見る人の心に届ける方法を学ぶ。次に、1年次の後半には他者の依頼や人々の困りごとについて、本当に解決したい課題を見いだし解決策を打ち出す『デザイン思考』を学び、「地域探究ワールドカフェ」にて地域で活躍する先人たちの想いを聞く。そしていよいよ、1年次の3学期から、「地域活性化プロジェクト」の企画に入る。

 プロジェクトの企画・実行は、教員だけではなく地域の大人たちの協力のもと行う。「すべての人のウェルビーイングの向上」の「すべての人」には、地域社会、地球規模はもちろん、生徒自身や教員も含まれる。だからこそ「生徒自身の興味・関心」から踏み出していく。生徒自身が楽しみながら学び、伴走支援する教員や地域の人々も共に学び、そして地域社会・地球規模のウェルビーイングの向上を達成していく。

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活動レポートReport

自分の「好き」を地域で動かす逆転発想の地域連携モデル

 同校は三戸地域で唯一の普通(科)高校だ。しかし数年前まで、地域への密着性は決して高いとは言えず、生徒の志望動機の多くは「家から近い」という打算的なものだったという。さらに、少子化と高校再編の波で、統廃合の対象にもなっていた。そこで高校がある三戸町が意を決し、抜本的な改革として「三戸高校魅力化プロジェクト」に着手。高校魅力化コーディネーターを登用し、生徒の全国募集を導入し、三戸高校も積極的な地域連携などに乗り出していく。

 中心となったのはやはり地域連携だが、同校のそれはやや毛色が違う。一般的な地域連携は、生徒が地域課題の解決策を考えるというアプローチが多い。もちろん、それも意義ある取組だが、同校は「生徒の興味・関心を地域に落とし込む」スタンスを取る。つまり、まずは生徒が挑戦したいことありきで、それを地域や地域課題を舞台に実現していくという逆転の発想である。皮切りは、「クリエイティ部」の新設。デザイン思考や情報発信の手法を学び、地域課題の解決などを目指す部活動だ。その活動の一つが地元・三戸町のPRポスターを作ることだったが、これが地域住民からも高評価で、翌年から1年次の総探プログラムに位置付けられた。ここで大きいのは、自分たちが好きで始めた活動が、地域の問題を解決し、地域の人に喜んでもらえたという実体験だ。その自己有用感が、地域への愛着と次の探究活動意欲を強く育んでいく。

 これをふまえ2年次には、地域を舞台に生徒がプロジェクトを企画し、実行する。大事なのはやはり自分の「好き」が起点になることだ。美容師を目指すある生徒は、町のイベント時に子どもたちのヘアアレンジサービスを提供した。また、デザインに関心を持つある生徒は、地元名物「南部せんべい」を使った新商品開発を実現した。

 こうして地域に飛び出していった生徒たちの輝く姿は、やがて地域の認知も高めていく。最近は住民への連携依頼も、「三戸高校」と名乗るだけで、「もしかしてクリエイティ部? いいよ、手伝うよ」という反応が返ってくることさえあるそうだ。

 同校の赤井翔太先生は「高校を中心に町のみんながつながる環境を」と熱く語る。コーディネーターの村田修子さんも「三戸高校は、生徒のためだけの高校ではない」と笑顔を見せた。生徒は自己実現を果たし、地域は元気になる―そんな理想の共生関係は、いま着実に芽吹きつつある。

松見敬彦(教育ライター)

ポスター用の撮影をし、みんなで見栄えを確認! 地域に飛び出して輝く高校生の姿が、地域からのイメージも変えていく。生徒や教員へのアンケートでも「中学生にこの高校をお勧めできる」「将来はこの町の活性化に貢献したい」という回答が大半を占めるようになった。

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