Programプレゼンテーション演習プログラム
~SDG‘s/地域課題 答えのない課題に自分なりの答えを~
1年次はSDG’sに関する2テーマ、文房具アイディアコンテストを題材にしたプレゼンテーション演習を実施(令和6年度)。コース(クラス)オープンでグループを作成して活動する。小テーマ毎にグループメンバーを変更し、多様な価値観に触れられるよう工夫を凝らす。
2年次は地域企業と連携し、企業が抱える課題についての解決策を提案。地元企業4社「イタリア料理店Due:新庄市」「地域おこし協力隊:鮭川村」「薬販売ラッキーバッグ:最上地域」「里芋農家 泉菜:新庄市」の協力を得て活動(令和6年度)。企業(クライアント)からの要望に対する企画プレゼンテーションを複数回実施することで、ブラッシュアップしながら進めていく。成果発表会は、新庄市民文化会館を会場に、協力企業はもちろん、保護者、地元中高など広く案内して約200名が来場し開催している。
「田舎」「魅力がない」などの劣等感が強く内在する地域性の中で、授業を通して豊かな地域性や魅力に気づき、地域外との比較を行いながら生徒の地元への正しい認知を促そうとするプログラム。

活動レポートReport
キャンパスはこの町のすべて プレゼン教育で人生を開拓せよ
同校は地域(山形県新庄市)唯一の私立高校で、生徒の約8割が地元出身。それを活かした地域連携型の校外活動の豊富さが魅力となっており、地域活動のための欠席を許可しているほどの力の入れようだ。
スクール・ミッションとして「とがっためんこい子」の育成を掲げているが、ここで言う「めんこい」とは「地域から応援される人」を指す。つまり、地域を愛し、地域に愛される若者を育てることが理念だ。自身も地元出身だという髙橋慶司先生も「校内にとどまらず、地域全体が学び舎だと捉えている」と語る。
一方で、生徒の中に「この町は田舎で魅力がない」という自虐的な先入観があることも問題になっていた。そこで、地域連携を通して生徒が地域の価値や資源に気付き、地域は生徒たちを支える、相思相愛の関係を築きたかったのだ。同時に「自らの手で人生を開拓しよう」を校訓とし、自ら考え、自分の言葉で伝える力を育てようとしていることも特徴だ。その中で、約6年前から注力を始めたのが「プレゼンテーション教育」である。
1年次はSDGsテーマの中から「身近な貧困」と「住み続けられるまちづくり」を題材とし、PBL形式で取り組む。もちろんフィールドは地元・新庄市だ。この際、外部(自治体や企業など)とのアポイントはすべて生徒に委ねている。当然、生徒たちは緊張や失敗もするが、それが社会性や地域の一員としての自覚も育んでいく。さらに民間企業が主催する文房具アイデアコンテストにも取り組み、文房具の商品開発企画に挑戦している。顧客ターゲットのペルソナ設定などを細かく検討し、商品の魅力を「誰に」「どう」伝えるかという技術を磨くねらいだ。
これをふまえて2年次は、地域企業と連携した現実の問題解決に挑む。特徴は、構想で終わらせず「実装」まで持ち込むことだ。実際に商品化や事業化にまでこぎつけた企画も多数ある。その分、企業からの要求や議論はかなり厳しく「高校生のレクリエーションの延長」であることを許さない。しかし、それこそが生徒の「プレゼンテーション力」を劇的に成長させるのだ。
事業開始後、地域の大人と関わる機会は以前にも増して活発になった。何より、身の回りの課題を自分ごととして捉え、進路へとつなげていく生徒も増えたという。今後は、AI時代を見据えたリテラシー育成にもアクセルを踏み込む計画だ。
松見敬彦(教育ライター)
地域側から協働の依頼があるほど連携が深い同校。机上論ではないリアルな問題解決型学習が、強い当事者意識を育む。まずは1年次でマクロ視点(SDGsなど)の問題意識を磨き、2年でより身近なミクロ視点(地域企業連携)の実践に入る、収束的な学びの動線も特徴だ。