ProgramGlocal Action Program(GAP)
本校の「総合的な探究の時間」として実施する本プログラムでは、授業等で身に付けた資質・能力を統合して、社会で活躍できる人材の育成を目標としている。1年次には、東広島市の地域産業である酒造りと環境保護を結びつける「KAMO×SAKAGURAプロジェクト」、2・3年次には、校内の困りごとをデザイン思考で解決する「賀茂高 Re-Design」や、自身の進路希望と地域課題を結びつける「未来の自分探究」に取り組んでいく。
プログラムでは、酒蔵の関係者や東広島市と連携し、地域で実際に社会的課題解決に取り組む大人を、講師として複数名招く。講師は、自身が取組む社会的課題について、活動内容や解決に向けた思いを語る。生徒は、それぞれの講師の主催する活動に参加したり、講師から自身の探究に助言を受けたりすることを通じて、実社会と関わりながら課題を探究していく。
プログラムの最終的なゴールは、生徒が社会との関わりの中で自身の夢や目標を見出すこと。実体験を通じて学びを深め、自らの可能性に気づくことで、将来を主体的に切り拓いていく力を育むことを目指す。

活動レポートReport
進路の深化と地域への愛着を実現する3年間の学び
「Glocal Action Program」は、3学年を通じて探究対象を「自分・他者→地域→社会・世界→自分」と広げ、深め、再び「自分」へと収束させて進路につなげるプログラム。1年生は、自身の好きなことや興味・関心について⾃⼰ 分析を⾏い、発表などを通じて他者とのつながりを深めていく。2学期からは日本有数の酒所という地域資源を活かしたプログラムに臨む。「お酒が飲めない高校生に何を学んでもらうのか、関係者と共に慎重に内容を検討した」と永田大介先生は話す。酒造りに欠かせない水資源を守る「環境保護」の視点や、原料費・燃料費の高騰が経営に与える影響といった「社会的な要因」など、多角的な視点から地域資源の価値を探究させる内容とし、毎年20 万人以上が訪れる10月の「酒まつり」には50 人の生徒がボランティアとして参加。開催準備の協議の場に生徒も参加し、「こんなに多くの方が関わっていることを知らなかった」「本気で話し合っている大人の姿に感動した」いう声があったという。吉迫里香教頭は「多角的な視点で地域資源を見つめ直し、真剣な大人たちに接することで、改めて地元に誇りを持つとともに、自分たちは地元を盛り上げていく主体でもあるという捉え方が出ています」と、地域を支える人材育成への手応えを話す。
2年生前半は、生徒たちが身近な課題を持ち寄り、デザイン思考を基にチームで解決方法を導き出していく。アンケートや比較実験等の検証方法を教員が教え、根拠に基づいた主張を導き出すノウハウの習得を主眼としている。後半の「未来の自分探究」は、進路関心を起点に地域でアクションしていくプログラム。東広島市の「東広島イノベーションラボ ミライノ+」と連携、起業家らが伴走する仕組みとしている。
3年生は、これまでの学びを「未来の学び計画書」としてA4判1枚にまとめていく。1年次に公務員を志望していた生徒が、探究を通して多文化共生を学んだことで、「公務員となって東広島市で困っている外国人の方を助けられるようになりたい」と計画書に書いていた事例を挙げ、永田先生は「3年間の体験を通して、地域に何が貢献できるかという視点から自身の将来のビジョンを明確にできるようになったことはうれしかったですね」と話す。地域の資源を多面的に捉え、社会とのつながりの中で自己の将来を描く。GAPは生徒たちに、地域への愛着と社会で活躍する力を同時に育んでいる。
2025年度に初めて実施した1年生の「KAMO×SAKAGURAプロジェクト」。「お酒」という一見高校生が探究するには難しいテーマを、多角的な視点でその価値を再発見させるプログラムへとつくり上げた。今後は商品開発やPR動画制作を検討しているという。
2年生の「未来の自分探究」では、将来子どもと関わる仕事を志望していた生徒は近隣の小学生を招いた理科教室を実施するなど、社会の中で実践することを徹底している
3年生のポスターセッションの様子。「今後はGAPの持続可能性を目指し、教員の指導のコツや勘所をまとめた指導案集の作成を検討しています」と永田先生は話す