カテゴリー 12025年採択

愛媛県立三崎高等学校

対象者数 153名 | 助成額 200万円

https://ehm-misaki-h.esnet.ed.jp/

Programせんたんプロジェクト

 伊方町唯一の高等学校である本校では、地域課題の発見・解決を通じたSTEAM教育を推進し、地域社会と深くつながる探究的な学びを展開している。変化の激しい社会を生き抜くために必要な「生きる力」や「多面的に学び、考える力」の育成を目指し、3年間を通して段階的に成長できるカリキュラムを構成している。

  1年生では、校内新聞の作成や保育所・高齢者施設との交流を通して基礎的な探究力や課題発見力を養う。2年生では、「海ごみ」「農業」「アート」「メディア」などのテーマ別グループに分かれ、企業や地域の有識者と連携した実践的な探究活動に取り組み、コンテスト出場も視野に入れながら発表力・協働力を高める。3年生では、身近な課題をもとに自らテーマを設定しアクションを起こす「マイプロジェクト」に取り組み、社会実践を通じて自走力や創造力、他者との協働力、社会的価値の創出に向かう姿勢を育成する。

  全学年を通じて、伊方町全体を学びの場として、フィールドワークやデータ分析を積極的に取り入れ、探究ノートやルーブリック評価を活用した進捗管理を行うことで、デザイン思考・社会実装力といった実践的スキルの習得につなげている。さらに、生徒自身が自己のウェルビーイングと向き合い、自らの生き方や価値観を探究する姿勢の育成も重視している。

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地域に密着した豊かな学びが学校の魅力づくりにつながる

 四国の最西端、佐田岬半島の“先端”に位置する愛媛県伊方町。この地で唯一の県立高校である三崎高等学校では、「伊方町全体を学びの場」と捉え、地域との協働を軸にした探究活動に注力してきた。「その背景には、若者の流出による人口減が止まらぬ中、将来的に地域に戻って来る“ブーメラン人材”を育成するため、地域への愛着を高めながら、社会変化を生き抜くための力を育む狙いがありました」と中井賢哉校長は語る。

 同校自体も、生徒数の減少から一時は分校化が検討されたものの、地域との温かな交流のもとに実践的な学びを追求できる環境が魅力となり、「地域みらい留学」制度を利用して県外も含めた他地域からの志願者が急増。5年間で全校生徒数が倍増したことで分校化を回避するなど、「みさこうの奇跡」と呼ばれる成果を挙げた。

 その原動力となった「せんたんプロジェクト」は、3年間を通じた段階的な探究学習プログラムだ。1年次では地域理解を深めながら探究の基礎メソッドを学習。2年次ではテーマごとのグループに分かれ、地元企業と連携しながら地域の課題解決に挑む。3年次では生徒個々にテーマを設定し、自身のキャリアに結び付く「マイプロジェクト」に取り組んでいる。「各学年ともに重視しているのは、全国各地から集まった多様な生徒一人ひとりのニーズに応える個別最適な学びを実現すること」と探究学習を主導する河野雄太先生は語る。

 こうした取組の継続・充実化に向け、グランドデザインの構築を進めている。「これまでも、校内新聞や地域の方々へのインタビュー記事の作成、放課後時間を利用した『未咲輝ゼミ』など、幅広い活動を行ってきましたが、その時々の担当教員の熱意や人脈に依存しがちでした。今後、教員の異動があっても質の高い地域探究学習を維持できるよう、外部の有識者の知恵も借りながら、生徒の学びを支援する体制を強化することが目標です」と河野先生は今後の展望を語る。

 「分校化の危機を乗り越えたという成功体験は、本校はもちろん地域全体のレガシーになっています。培ってきた地域との信頼関係を生かして探究学習を充実させることで、本校を起点に地域外から人材や注目を集めることができるはず。そうした環境のもと、生徒たちにこれからの人生を豊かに生きていくための力を育んでもらいたい」と中井校長はビジョンを語った。

「未咲輝ゼミ」では、“地域と共にある学校”を目指し、地域の方を講師に招き、郷土料理や弾き語り、Webサイト制作、空き家再生など、生徒一人ひとりの興味・関心に即した多彩な活動を通じて、生涯学び続ける姿勢を養っている。

伊方地域には集落ごとに異なる多彩な文化があるが、人口減少とともに担い手不足が深刻化している。一時は途絶えていた祭礼が同校生徒の参加で復活するなど、伝統文化を再確認・継承する機会として地域住民からの期待が高まっているという

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