カテゴリー 12022年採択

専修大学北上高等学校

対象者数 515名 | 助成額 200万円

https://www.senshu-u-kitakami.ed.jp/

Program「SENTAN-専探-」
カリキュラム内の探究的な学びと課外での自己深化型学習をつなげるプログラム

 本プログラムは、課内(各教科の授業)で「心が躍動する問い」に出合い、その問いを「自ら学び・深め」「未来につなげられる」課内外・学校内外の枠を超えた環境の構築を目的としている。

 

○「SENTAN」〜課内での探究的プログラム〜

 科横断・異学年で多様な学びを推進する総合的な探究をより深める時間として、1・2年生合同の「SENTAN-day」を行う。「なぜ自分は学ぶのか」を、地元の事業者・市役所等のメンターと共に深めるソクラテスミーティングや、内発的な問いを共有し深め合う授業チャレンジを通しながら、自立的な学びをメンターともつながりながら実践。またこのプログラムをきっかけに学びを地域に広げていく。

 

○探究課外「専北塾」の特徴

 課内で探究的な学びを進めていくと、生徒一人ひとりにたくさんの問いが生まれる。その問いはもちろん自走しながら深めるものだが、専門的基礎知識がないと自分一人では深められない問いもある。「専北塾」は、授業で生まれた問いを深め、自分の専門性を磨くために、部活動と並行で自らの意思で参加するプログラム。授業での問いと塾での気付きが相互につながりながら、学びを深める。

レポートアイコン
活動レポートReport

新校長とアドバイザーが新課程と学科改編に合わせ

「SENKITA(専北)」が愛称の専修大学北上高校は2021年度、前身の学校法人黒沢尻女子高校(商業科)から数えて創立70周年を迎えた。22年度入学生から新学習指導要領の全面実施が始まるのに加えて現在、23年度の完成に向けた新校舎の建設が佳境に入っている。

 そんなタイミングで20年度、同高に赴任したのが岩手県立遠野高校長だった阿部伸校長。県立時代に抱いてきた、高校生が主体的に取り組んで成長できる学校づくりの理想を実現したいと考えたという。

 白羽の矢を立てたのが、県内で多数の高校に総合的な探究の時間の支援をしてきたNPO法人「いわてNPO―NETサポート」の菊池広人事務局長。同高の「学校改革アドバイザー」として阿部校長の片腕となってきた。

 県立高校に先駆けて20年度中にスクール・ポリシーを確定し、教職員との対話と研修を重ねて合意形成を図ってきたことも大きかったという。21年度には経済産業省「未来の教室」実証事業の指定も受けた。22年度の新カリキュラムに合わせて、新たな学びの形に合わせた学科改編も行った。普通科では特別進学、大学進学、総合進学の3コースを「ディープラーニング(DL)コース」(2年次から学問探究、PBLの2専攻)と「アクティブラーニング(AL)コース」(同福祉・保育・幼児教育、情報ビジネス、スポーツの3専攻)に。商業科は「グローカルビジネス科」と名称変更し、資格取得を目指す県内唯一の自動車科は従来通り。新校舎の完成で、名実共に「未来を創る学びの場」が実現する。

 探究活動は、まず1クラスで試行。21年度には早くも全校生徒に展開することができた。22年度からは通年のプログラムとして実施している。

 教育課程内での「SENTAN―専探―」は、まず1年生で学科横断的な学びの場をつくり、問い・仮説設定・検証のスパイラルを豊かなものにする。さらに前半は1・2年生合同の「探究WEEK」で多様かつ専門的な視点を組み合わせ、個人で探究したい課題を探る。後半はゼミ形式で、学びたい教員の下に集まって生徒自ら探究のサイクルを回す。2年生では専門性を掘り下げるため、地域内外で探究を応援してくれる人を見つけ、学ぶ場を自ら構築する。

 教育課程外では探究課外「専北塾」を設け、授業で生まれた問いを深めて専門性を高める機会としている。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

「SENTAN―専探―」で同級生に授業を行う生徒。受け身ではなく、自ら取り組む生徒を育てることを狙っている。改革初年度、夏季休業中などに5日間試行したのが、専北の総合的な探究の時間の原点だ。

ビデオアイコン
成果発表動画Presentation

一覧に戻る