カテゴリー 12022年採択

山形県立山形東高等学校

対象者数 720名 | 助成額 200万円

http://www.yamagatahigashi-h.ed.jp

Program「山東探究塾」
〜地域・日本・世界で活躍するグローバルリーダー/
困難な課題に立ち向かうイノベーターの育成をめざして〜

 「山東探究塾」(総合的な探究の時間等)における教科横断的な課題解決型学習、「グローバル人材育成プログラム」における種々の取り組み、各教科・科目の授業におけるICTを活用した探究型学習を通して、グローバルリーダー・イノベーターとして必要な資質・能力の育成を目指す。

 「山東探究塾」では、1年次に探究スキルの獲得を目指した体験的な学習、2年次に生徒自らが設定した課題の解決に向けた実践を伴う探究活動、3年次に探究活動のまとめと自己実現に向けた自己探究活動に取り組む。実施に当たっては、高等教育機関、行政機関、企業、団体・個人等の指導助言も受けながら、外部と協働した取り組みを行うとともに、成果を校内外に発信することにより、さらなる挑戦への意欲を喚起する。

 「グローバル人材育成プログラム」では、講演、国際交流、英語ディベート、生徒自らが主催する模擬国連等に取り組むとともに、国際探究科等の類型に応じて、シンガポール研修や課題研究成果の英語による発表を実施する。

 さらに、教員が全授業でICTを活用した探究型学習を展開できるように、ICT教育の環境を整え、職員研修会や研究授業を充実させるとともに、教員が校外の専門研修に参加するなどして研さんを深める。

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活動レポートReport

ICTの普段使いで加速する3年間の探究活動

 2022年度で創立138周年を迎える山形県内で最も古い歴史を持つ同校は、社会に有為な、人間性豊かで優れた人材を育成する進学校として知られる。将来にわたり地域や国内外の課題を解決できる人材を輩出し続けるため、2018年度に「探究科」を設置し、探究型学習を推進している。

 総合的な探究の時間でおこなう「山東探究塾」は、3年間、地域と協働しながら展開するプログラムだ。「山東探究塾Ⅰ」(1年次)は教科「情報」と連携し「デザイン思考」の演習、外部人材の講演、討論会などを経て探究に必要なスキルを身に付ける。

「山東探究塾Ⅱ」(2年次)は、興味や関心、進路希望や適性に沿って自由にテーマを設定し、個人またはグループで活動する。大学や行政機関、企業や団体、個人の指導助言を受けながら協働的な学びを推進する。1人が複数のテーマを探究する、グループを掛け持ちすることも珍しくないという。シンガポールとの国際交流や英語ディベートなどのグローバル人材育成プログラムもⅠ、Ⅱに組み込まれている。

「山東探究塾Ⅲ」(3年次)は、2年次までの探究活動のまとめとして「研究集録」を作成し、進路につながるようさらなる探究や論文、自己推薦文の作成へとつなげる。

 3学年が同時に探究活動を進めていると校内での資料やデータのやりとり、連携先の窓口対応は膨大な量になる。現在、その処理はすべてクラウド上でおこなうようになり効率化が図られた。2022年度から生徒1人1台コンピューターの貸与も始まり、生徒たちは発表資料やコンテンツの共同編集がどこでもできるようになった。外部機関とのやりとりもSNSを通じて直接交渉にあたるなど、生徒たちはますます主体性を発揮している。メタバース上で開催される模擬国連に生徒が参加するなど活動の幅も広がった。

 今回の助成で教員のICT研修を拡充できたのも大きな前進だ。対面とオンラインのハイブリッド授業の配信は必要に応じてどの教員もすぐできるようになった。 新型コロナウイルスや自然災害、校外学習などで登校できなくても授業や山東探究塾は歩みを止めない。「これからも外に目を向け、社会で活躍するリーダーやイノベーターを育てたい」と森美千子教頭は話している。

長尾康子(教育ジャーナリスト)

「温泉と雪で熱発電チーム」のフィールドワーク。

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