カテゴリー 12022年採択

東京都立竹早高等学校

対象者数 520名 | 助成額 200万円

https://www.metro.ed.jp/takehaya-h/

Program竹早の探究 ~ All Different, All Wonderful

 本校は全国随一の文教地区としても知られる東京都文京区に位置している。また、東京都教育委員会指定「英語教育研究推進校」「理数研究校」「海外学校間交流推進校」「探究的な学び推進事業」対象校でもある。これらの強みを生かして、大学研究室などと連携し、生徒は自らの興味関心に基づいた探究活動に取り組む。以下の3点を主な特徴とする。

①大学研究室訪問 
 八つの研究分野に合わせた研究室に生徒が赴き、研究者から直接指導を受ける。生徒の憧れが「実感」に変わる動機づけとする。

②本格的な論文作成
 探究活動の集大成として全員が論文作成に取り組む。「大学レベル」を目標に妥協のない指導を施し、未来を切り拓く人材の養成を目指す。数多くの文献・先行研究に当たらせる一方で、大学院生などの外部人材から支援を受ける。 

③国際交流活動 
 長期休業中に実施する「エンパワーメントプログラム」への参加を促す。海外の主要大学の現役大学生・大学院生を国内に招聘し、多彩なアクティビティを通じて、グローバル感覚を培う絶好の機会である。また海外の提携校との交流を深め、国際的な課題に関する意見交換の機会を設けたり、日本の文化の発信などを行ったりして、相互理解を深める。

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3年間の探究学習を柱にキャリア教育

 1900(明治33)年創設の東京府立第二高等女学校を前身とする都立竹早高校は進学校として知られ、「3つのC」(=Chance(機会)、Challenge(挑戦)、Change(変化・成長)を掲げている。

 2021年度に着任した堀切哲弥校長には、前任の都立本所高校でアクティブ・ラーニング(AL) に持続可能な開発目標(SDGs)を取り入れた探究学習を導入し、三菱みらい育成財団の第1期助成校(高校43校)に指定された経験があった。

 さっそくプロジェクトチームを立ち上げ、年14回の会議を重ねてグランドデザインや年間スケジュールを策定するとともに、進路・探究部を設置。学校全体で組織的に実施する体制を整えた。

 22年度から総合的な探究の時間として始めた「Tタイム」のスローガンは“All Different,All Wonderful”(みんな違ってみんないい)。3年間を通した探究学習を柱としたキャリア教育で、自己の在り方生き方を考えて将来を選択・決定する力を育み、異なる目標に向かって挑戦していってほしいという思いが込められている。

 1年生は「興味・関心を広げる」段階。八つの学問分野(人文、社会、国際、理学、農学、工学、情報学、生活科学・医療・保健・スポーツ)について、まず図書館にある新書を用いて、全分野に触れる「新書シャワー」を行い、興味・関心のあるものを見つける。その上で8分野をSDGsの観点から考察する「小探究プログラム」で、①問いの設定②情報の収集③整理・分析④まとめ・表現―という一連の流れを体験。東京大学と東京工業大学の研究室訪問(計16研究室から各生徒二つ)も挟んで、研究課題(リサーチクエスチョン=RQ)を立てる。

 2年生は「深める・まとめる」段階で、1年生で定めた研究テーマを基に個人研究を実施。3年生は「発信する」段階として2年間の論文作成、発表という形で結実させ、校内でのプレゼンテーションはもとよりコンクールなどに応募し、大学入試にも活用したい考えだ。

 文教地区の利を生かし、25人の大学院生をティーチングアシスタント(TA)として招いているメリットも大きいという。

 新カリキュラムでは、2年生でも文系・理系に分けず全員が共通科目(理科の基礎4科目を含む)を履修するのも、今や文理融合が求められる時代にマッチした格好になっている。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

3月に行われた1年生の学年末報告会には、40人を超える保護者も参加した。生徒は研究動機、背景、基礎研究、仮説、今後の見通しを意識して発表。TAは生徒に寄り添いながら的確なアドバイスを加えていた。

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