カテゴリー 12022年採択

愛知教育大学附属高等学校

対象者数 320名 | 助成額 200万円

http://www.auehs.aichi-edu.ac.jp/

Program愛教大SEHプロジェクト
~人生を切り拓く探究力の育成を目指した探究活動「附高ゼミ」の実施~

 愛教大SEHプロジェクトとして、本校では探究活動を教育活動の一つの柱として設定し、3年間を通しての探究活動で「人生を切り拓く探究力」の育成を目指している。

 1年生では、探究基礎講座を実施して探究活動に必要な知識や技能の習得を目指した活動を行う。そして2年生の10月から3年生の10月にかけて実施する「附高ゼミ」で探究活動を行い、「探究力の向上」を3年間かけて目指していく。

 

【附高ゼミの特色】

1.学年を八つのゼミに分けた少人数のゼミ活動

 30人学級を4クラスで構成されている1学年を八つに分けることで教師の支援を受けやすい探究活動が実現する。

 

2.愛知教育大学との連携

(1)開始前の連携

 1年生の間に探究基礎講座としての講義やゼミ選択に向けた研究室訪問など「附高ゼミ」開始以前から大学と連携している。

(2)「附高ゼミ」での連携

 高校教員がファシリテーターとしてゼミの中心となり、大学教員をアドバイザー、大学生をサポーターとして配置し、生徒の探究活動を手厚く支援することが可能である。

 

 このような特色あるゼミ活動を通して、「人生を切り拓く探究力」の育成を目指す。

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活動レポートReport

同一キャンパスを生かし魅力化の柱に探究活動

 都道府県師範学校を前身に持つ国立教員養成系大学で、附属高校を持つ大学は少ない。その一つである愛知教育大学附属高校は、大学が愛知県刈谷市の現在地に統合移転(それまでは名古屋、岡崎の各分校)して3年後の1973年度に新設された。大学と同一キャンパス内にある地の利を生かし、2022年度から始めたのが「附高ゼミ」だ。第2学年の9月から3月までを附高ゼミⅠ、第3学年の4~10月を附高ゼミⅡとしている。

 きっかけは、21年度からの定員削減に対応する学校の魅力化だった。学年200人(40人学級×5クラス)から120人に削減されるのに伴い、全国に先駆けて30人学級を実現(学年進行で23年度に完成)。併せて、3年間を通した探究活動を柱に「人生を切り拓く探究力」の育成を目指すことにした。附高ゼミは、その中心を担う位置付けだ。大学も22年度にカテゴリー5(教員養成・指導者育成プログラム)で応募したものの競争が厳しく(採択2件)、附属高校が大学全体の「未来共創プラン」の一端として高大接続を先導する格好になった。

 ゼミは各学年8講座を設け、学級担任と副担任を配当。10~20人ほどの生徒を受け持ち、テーマ選択→探索活動→問い設定→仮説設定→実証探究→まとめ→発表→振り返り―を一連の探究の型として設定し、生徒が自分で主体的に学習を進められるように支援していく。

 強みは何といっても徒歩10分ほどの距離で大学教員や院生の協力が得られることだ。8講座も、大学側の4学系(教育科学系、人文社会科学系、自然科学系、創造科学系)に対応する格好。初年度に15人のアドバイザー・協力者で始まり、2年目の23年度はさらに日常的な協力関係が広がっている。

 家族社会学などを専門とする山根真理教授も、初年度から携わっている一人。「高校生ならではの問題意識の持ち方がある」という実感を持っており、進学後さらに探究活動を発展させるという「大学教育が問われている」と受け止める。

 ゼミに関わる教職大学院生の一人は学部からのストレートマスターで高校の非常勤講師も務め、年間を通して現場の実態を学べる「おいしいどころ取りです」と笑う。

 附高ゼミに入る前には、「探究基礎講座」(第1学年)や「SDGs総選挙」(学校編、地域編)を実施。今後、地域と密着した探究活動もさらに深めようとしている。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

毎週木曜日7限目に行われる附高ゼミの風景(6月撮影)。校内で手厚いサポートが受けられる他、大学の施設に出向いて実習を受ける生徒も少なくない。

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