カテゴリー 12022年採択

立命館宇治中学校・高等学校

対象者数 1250名 | 助成額 200万円

http://www.ritsumei.ac.jp/uji/

Program日本×IBが作る世界水準の探究プログラムで令和の教育を創る
~探究で学校内外をつなぎ、ネットワークの力で生徒も教員も育つ~

 本プログラムは、校内の三つの特色あるコースの探究プログラムの良さを相互に取り入れ、21世紀型学力の基盤となる探究する力の獲得を第一義的な目的とする。校外の組織・学校と緩やかなネットワークの構築も行い、生徒個別のニーズや学習段階への対応や、さらなる視野の拡大、生徒の活動の場を広げることを目指す。生徒たちはネットワークでつながった多様な学びの場に支えられ、教員は成長する生徒の姿から、探究学習を通じて新たな気付きを獲得して心のエンジンを駆動させていく。本プログラムの特に大きな特徴として以下の三つの点がある。

1.本校にあるIB/IM/IG全てのコースで、探究学習がカリキュラムのコア(核)として位置付けられた教育課程を実践することで、探究学習の多様な在り方を示す。また生徒は探究学習の学びを何らかの形で社会に発信し、主体的により良い社会を創る。

2.世界的に注目されるIB教育のエッセンスからも学べるよう、IBコア科目の取り組みを可視化し、日本の教育へ部分的に導入する。

3.他校や企業・団体とネットワークを構築し、協働しながら取り組みを進める。ネットワークを生かす取り組みは、プロジェクト協働、相互のイベント参加、授業の協働開発など目的に応じたものとする。

※ 各コース名は、IB(International Baccalaureate)、IM(Immersion)、IG(Integrated Global)の略

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生徒に与えるのは〝知識〟ではなく生徒が主体的に動ける〝何か〟

 立命館宇治高等学校が探究を核としたカリキュラムを始めたのは2018年度のこと。きっかけは、次のカリキュラムを決める委員会だったと酒井淳平先生は振り返る。「普段カリキュラムの委員会は各教科で時間の取り合いになることが多いのですが、その時は生徒に与える知識を増やすのではなく、生徒が自分から動ける何かのほうが大事じゃないかという意見が出て、全員一致したんです」。1994年に二つの学校法人が合併してできた同校は、生徒にも新しい教育に挑戦しようという勢いがあったが、近年は真面目だが受け身で「立命館宇治らしさ」がなくなってきている。危機感を再認識した教員が一丸となって、急ピッチで探究のカリキュラムを組んだ。

 現在も探究プログラムの開発を続けており、柱の一つが、国際バカロレア・ディプロマプログラム(IBDP)認定校としてのノウハウの横展開だ。同校はIBDPを実施するIBコース、1年間海外留学するIMコース、3年間日本で教育を受けるIGコースに分かれている。IBDPには探究要素が組み込まれた高度なプログラムがあり、そのノウハウをIMとIG、将来的には他校にも横展開できるよう、そのエッセンスを抽出して精査している。

 もう一つ重視しているのが、他校や外部機関との協働だ。WWLコンソーシアム構築支援事業拠点校の時のネットワークをベースに、全国・海外の高校生、留学生、社会人のメンターが集まり、それぞれのプロジェクトを協働してブラッシュアップするイベント「FOCUS」を開催している。日常の授業でも、今年度は仙台第三高校の生徒とオンラインでつないで生徒間の交流を深めた。また双方の教員でカリキュラムを共同開発し、互いのクラスで教鞭をとり合うなど、単なる「交流」で終わらないさらに踏み込んだ取組を行っている。「生徒の学習意欲とともに、特に若手教員の教育力が目に見えて上がっていったのが大きな成果でした」(酒井先生)。

 学校が外部ネットワークを強化する一方で、自ら外部とつながる生徒の行動力に驚くことが多いと酒井先生は話す。「自分たちで見つけてきた企業と共に開発・制作した製品を、文化祭で販売したいという生徒が昨年度から出てきています。教員は見守り役に徹し、生徒の自主性に任せることを意識しています」。“生徒が自分から動ける何か”の種をまいて4年目。芽吹いた生徒たちの成長は予想以上の広がりを見せている。

今年の文化祭では、近隣の支援学校に呼び掛けてその生徒たちが制作している磁器、海で拾った廃プラスチックを原料としたアクセサリー、コーヒー豆の袋を再利用したバッグ、家業で出た木材の端切れを使った木のコースターの販売(写真)が行われた。いずれも生徒たちが自主的に手を挙げて実施した。

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