カテゴリー 12022年採択

親和女子高等学校

対象者数 370名 | 助成額 200万円

http://www.kobe-shinwa.ed.jp/

Program未来学プロジェクト
~「私のミライ」と「未来のワタシ」の交差点~

 「総合的な探究の時間」を通して、SDGsの目標達成というマクロな動きと、私事と捉えミクロ化して行動する力を育成する。そのために、文理融合的な課題を設定し、主体性、積極性だけでなく、他者と協働して活動する協調性をも養う。

 そして、校内外に積極的に発信する場を設け、プレゼン能力を育てるとともに、学外の方の批評を受けることで、多様な世界観を学ばせる。特に今年度は、近隣の高校で集まり、合同発表会を企画している。また女子校であることを一つの視点として「ジェンダー」を捉え、女性目線で見た未来社会に関与できる能力を培い、ジェンダーフリーの世界を生きていく力を身に付けさせる。

 近年増加しつつある医療系を中心とした分野への進学志望を、農学系・理工学系の分野への関心を高めるため、今年度は、その方面の現役の大学生や院生に、「総合的な探究の時間」を中心に積極的に関わってもらうようにし、視野を広げさせる。一方で、多様性を重視し、文理にこだわらない異分野融合で物事を捉える目も育てる。

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〝未来のワタシ〟のありたい姿、〝私のミライ〟に向けた学び

 親和女子高校は、女子中等教育の場が求められた明治中期、「人間形成」を志して創立された、神戸市で最も歴史ある女子校だ。その伝統を誇る同校では、SDGsに代表される現代の社会課題を自分事として学び、考える「総合的な探究の時間」に力を注いでいる。高校1・2年生を中心としているが、中高一貫のカリキュラムを活かして中学から学ぶコースもある。

「『将来どんな仕事に就きたいか』よりも『どんな人間になりたいか』を生徒に問いかけている」と話すのは、探究学習を主導する大橋宏記先生。「人の役に立つ人間になるために何をやるのか、“未来のワタシ”を具体的に語れる人間になってほしい。そのために今から見聞を広め、世の中を知ることが大切」。未来のありたい姿からバックキャストして今を考えるという長期的な視点で活動を推進している。

 生徒は5名ほどのグループで課題設定から調査・研究、成果発表に取り組む。テーマは文理融合型で多彩だ。ユニバーサルデザインフォントの導入から教育の機会均等につなげたり、食品ロスのテーマでは小売企業への取材から子ども食堂の運営課題の解決や、食品廃棄物の肥料化を模索するなど複数の施策にも広がった。中には大学との連携で科学的手法に挑戦するグループも。京都女子大学の教授や千葉大学の研究に触発されて、味噌汁を活かした熱中症対策を提案したり、廃木材の活用を考え、スギやヒノキの香りのリラックス効果を研究するなど、個性的なものも多い。

「『自ら発信する経験』と『外からの刺激』を重視しています」と大橋先生が話すように、私学4校を集めての合同発表会を初めて行った他、学外の探究発表やコンテストへの応募も推奨。好成績を収めるグループも現れた。生徒は「客観的な意見が聞けて勉強になる」と前向きだ。さらに学外からの刺激を最大化するため、定期的に大学生にファシリテートしてもらったり、「デザイン・クリエイティブセンター神戸」を通じて神戸を拠点に活動する様々な分野の専門家の助言を得るなど、自治体や民間団体の協力も仰いでいる。今後はさらに学外との連携を深め、教員の視野も広げていきたいと大橋先生は語る。

 幾多の社会課題と“私のミライ”をマッチングさせていくには、主体性と広い視野が必要となる。社会と個人、未来と今が交わる学びの場で、自立の精神と未来を拓ひらく強さを育むのが同校のミッションだ。

ウクライナ情勢に詳しい神戸学院大学の岡部芳彦教授を訪問し助言を得る。

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