カテゴリー 12022年採択

島根県立松江東高等学校

対象者数 364名 | 助成額 200万円

https://www.matsuehigashi.ed.jp/

Program地域共創人育成Project アドバンスト
~子どもも育つ 大人も育つ 地域共創の拠点づくり~

 本校では、これまで地域の大学や行政、企業・団体等と協働し「地域社会の未来に向けた新しい価値の創造」を目指す人材育成を行ってきた。本プログラムはそれをさらに発展させ、生徒自身が「子どもも育つ 大人も育つ地域づくり」にチャレンジすることを目指す。本校の生徒たちが、自らの「地域共創力」すなわち「地域を共に創るハート」と「実践力」を伸ばしていくさまざまな学びや取り組みを通して、協働する「大学生や社会人の成長」や取り組みの参加者として関わる「地域の子どもたち」にも「地域共創のハート」を育てることを目指す。

 

<中核となる活動>

1年次:「MATSUE探究Ⅰ」地域の課題に関心を持つ・地域の価値を知る

2年次:「MATSUE探究Ⅱ」地域とつながり、共に挑戦する

 

これらの学びを3年次の「よりよい地域づくりにつながるアクション」に発展させる。

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活動レポートReport

大学生や企業と「共に学び合う」持続的なプラットフォームへ

 市内に三つの普通科高校がある松江市では、中学生が主体的に学びの場を選択できるよう、県教委が2021年度から市内3高校の学区を廃止。これに伴い、各高校が魅力化に取り組むなか、松江東高校が掲げたのが「地域共創人」の育成だ。2019年度から文部科学省「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」の指定校として、新たな価値創造に取り組んだ。

 以降3年にわたり、市や地元企業・団体等との連携のもとに地域の課題をテーマとした探究学習を実践。「自社の業務と地域社会との関わりを改めて問い直せた」との声があるなど支援する地元企業等の大人たちにも好影響を与えており、生徒たちによる地域プロジェクト立ち上げも起こり始めている。このような成果の一方で課題もあった。「約40 名の生徒を1~2人の教師が受け持つ体制では、生徒一人ひとりへのフォローが困難でした。また、探究学習の成果が『気づき』『発見』にとどまり、具体的な「学び」には十分至っていませんでした。これら課題の解決策として期待したのが、地元の大学生との連携です」と主幹教諭(取材当時)の佐々木玲子先生は語る。

 世代の近い大学生との協働は、時にアドバイスを得られ、時に一緒に悩むなど、生徒たちにとって理想的な「伴走者」となり、駆動し始めた心のエンジンを、より具体的な活動につなげていく原動力となった。一方で、大学生にとっても自身の学びを深める機会となり「過去、現在、未来の自分を見つめ直すことができた」との声も聞かれている。当初は同校卒業生数名から始まった取組は、口コミで広がり、いまや幅広い大学・学部・学科から50名を超える学生が参加するまでに拡大している。「双方にメリットを提供できたことで、一過性で終わらない、継続的な取組の土台ができました。今後も地元企業等との連携と、学生との協働とを両輪にし、さらには地域の幼・小・中学校も巻き込んで、本校を地域一丸となって地域共創人を育むプラットフォームにしていきたい」と佐々木先生はビジョンを語る。

 実際、進学を控える同校3年生からは、「卒業後は大学生として後輩の学びを支援したい」との声が上がっており、地域での学びの好循環が期待されている。人口減少問題を抱え、地域の将来を担う人材育成が課題となる松江市において、「子どもも育つ 大人も育つ」同校の取組が、大きな希望となるだろう。

探究学習の成果を実社会で発揮すべく、松江商工会議所を中心とするMATSUE起業エコシステム推進会議が主催する事業支援プログラム「キラボシプロジェクト」に応募。2022年度はエントリ―した10組すべてが採択され、生徒たちにとって大きな自信につながった。

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