カテゴリー 12022年採択

岡山県立倉敷鷲羽高等学校

対象者数 436名 | 助成額 200万円

http://www.washu.okayama-c.ed.jp/

Program「You Make 鷲羽!プロジェクト」

 「自律、挑戦、思いやり」のハートを育む「You Make 鷲羽!プロジェクト」。普通科(文理コース、食物コース、保育コース、体育コース)とビジネス科を有する本校は、岡山県倉敷市児島に位置し、校舎から瀬戸内海が一望できる。児島は国産ジーンズ発祥の地で、制服や畳縁は全国トップシェアを占める。本プロジェクトでは、総合的な探究の時間「児島未来学」を軸に、1年次はさまざまな職業について学び考える「はたらくLAB」、2年次は地域の魅力再発見と各コースの特長を生かし地域と交流するイベント「鷲羽フェスティバル」、3年次は自分の進路に向けて研究テーマを深める「課題研究」を行う。それに加え発展的活動として、地域のエシカルな活動を調査・支援する普通科・新聞部の「With Washu」、ビジネス科・ビジネス研究部の「着地型ツアープラン作成」、地域と連携した実験教室等を行う「サイエンスプロジェクト」がある。

 また、米国の姉妹校デービス高校とも連携し、地域課題から世界へと視野を広げる契機ともしたい。これらの活動を通して、自律(自分で考え、判断し、行動する力)し、挑戦(物事に前向きに向上心を持って取り組む力)し、思いやり(自他を尊重し、より良い社会の創造に貢献する力)のある生徒の育成を目指す。

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地域とのつながりを深め将来を切り拓く「自信」へ

 倉敷市児島は、古くから海運や塩業で栄え、ジーンズや学生服、畳縁といった個性ある繊維産業が花開いた街だ。地元住民の公募で名付けられた倉敷鷲羽高校は、教育目標「You Make 鷲羽! 自律・挑戦・思いやり」を掲げ、一人ひとりが地域社会をつくる大切な一員であるという思いを生徒に伝え続けている。

 その理念を体現するのが、2020年から始まった探究活動「児島未来学」だ。地元と共に地域の課題解決に取り組むことで、自らの価値観を構築し、将来の進路を見つめる。「児島未来学を始めて、引っ込み思案だった生徒が、新しいことに挑戦したいと自ら手を挙げるようになりました」と、探究学習担当の岡田真理子先生はその成長に目を見張る。彼らの表情に自信がみなぎるようになり、教員たちも驚いているという。

 プログラムには3年間かけて取り組む。1年次の「はたらくLAB」では、児島青年会議所の協力を仰ぎ「仕事講演会」を実施。会社員、経営者、公務員、フリーランスなどさまざまな職業人を講師に招き、多様な仕事観を知る。2年次には、地域を取材し、魅力を伝える活動「児島とことこ」を、地元の情報発信サイト「倉敷とことこ」から発信。プロのライターから取材や記事作成、情報発信のコツを学び、「伝える力」を向上させている。生徒が企画・運営した「鷲羽フェスティバル」では、町おこしに知見のある起業家にアドバイスをもらいながら、地域の魅力を発信している。3年次は、地域の課題を分析・解決する「課題研究」を行う。例えば食物コースでは、地産地消をテーマに商品開発に取り組み、農家や菓子店と共同で地元産の柑橘類「じゃばら」のケーキを販売。その他、食育をPRする新聞をこども食堂で発行するなど、多様な題材に取り組んでいる。「プロの視点に刺激を受けて、生徒の夢が広がっていくのが何よりうれしい」と岡田先生。今後も「いろいろな世代とさまざまな価値でつながるきっかけをつくりたい」と意欲を見せる。 

 今では、地域から課題を一緒に解決してほしいと声がかかるように。「生徒や教員が、自発的に地域とつながっていくんです」と三村直子校長はうれしそうに語る。「教員自身が楽しんで挑戦することで、生徒に熱意を伝え、学校にノウハウを根付かせる仕組みを整えていきたい」。結果、「自律し、挑戦し、思いやりのある生徒の育成」を果たすのが児島未来学の目的だ。

2年次に実施した夏休み中のフィールドワークについて発表する生徒たち。クラス発表会から学年発表会を経て、代表作品を「倉敷とことこ」から発信している。

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