カテゴリー 12022年採択

広島県立広島井口高等学校

対象者数 600名 | 助成額 200万円

http://www.inokuchi-h.hiroshima-c.ed.jp

ProgramACT-i 「デザイン思考」で世界を創造する

 本校は、グローバルな舞台で社会に貢献するために、深く思考し、主体的に行動できる生徒を育てることを教育目標としている。本プログラムは、学ぶことの意義を社会と自己との関わりの中で認識させるとともに、他者と協働して問題解決や改善につながる合意を形成することを目的とした活動を通して、差異を受け入れ、相手の価値観を尊重する態度を養うことや、自分は何者かという“自分軸”を持つこと、そして世界に貢献する志を抱いて、リーダーシップが取れるようになることを目指すものである。

 ユーザーへの共感から始め、課題を設定し、新たな解決策を発想、プロトタイプを制作していく創造的問題解決の手法である「デザイン思考」を用いた探究活動や、ハワイの姉妹校・アイエア高校と、「平和」や「環境」をテーマに協働して取り組む探究活動に特徴がある。

第1学年前期:自己と向き合い、社会に目を向けてSDGsと自己とのつながりを認識する。

第1学年後期:「デザイン思考」の手法を学び、身近な課題の解決を探る。

第2学年通年:「デザイン思考」を用いて、グループで課題を見いだし、解決策をデザインし、研究発表会で取り組みの成果を報告する。一部の探究活動は、ハワイの姉妹校・アイエア高校と協働して取り組む。

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デザイン思考のプロセスから〝共感〟に基づく課題解決を学ぶ

「グローバルな舞台で社会に貢献するために、深く思考し、主体的に行動できる生徒を育てる」を教育目標に掲げる広島井口高校。その実現に向けて多様な手法を調査した結果、採用したのがシリコンバレー発の課題解決手法「デザイン思考」だ。運営担当の宮岡まなみ先生は「他者への共感を起点に課題を発見し、その解決に向けて試行錯誤を繰り返すというデザイン思考のプロセスが、生徒たちに成長へのきっかけを与えてくれると期待しました」と語る。

 同校では、2021年度からデザイン思考を活用した探究学習プログラム「ACT-i」をスタート。1年次後半にデザイン思考の手法を学び、2年次には少人数のグループ単位で、同手法を用いた課題解決に取り組んでいる。「デザイン思考の特徴は、課題解決へのアイデアをプロトタイプにして、実際に課題を抱えているユーザーにテストしてもらうというプロセスにあります」と語るのは、同プログラムを担当する佐伯佑紀先生だ。「私たちが重視しているのは、良い結果を出すことよりも、そのプロセスで得られる他者への“共感”や“気づき”。課題発見から試作・テストまで、生徒たちが実際の社会との関わりを通じて、視野を広げ、思考を深めていくのを目の当たりにできるのがうれしいですね」(佐伯先生)。

 課題解決のテーマは、あくまで生徒たち自身で決定するが、その指針として同校が推奨するのが「環境」や「平和」などSDGsに基づく視点だ。あるグループでは、食品廃棄物を削減するため、地域のJAや農家と協力して、店頭に並ばない規格外野菜による“食べられる食品容器”を考案。何度も失敗を繰り返し、商品開発の大変さを実感しながら、自分たちの取組が社会に受け入れられる喜びを体感している。

 また、「平和」をテーマにしたグループでは、世界各国の歴史教科書を比較してそれぞれの歴史観を分析。ハワイの姉妹校との協働により、共通の歴史資料集編纂に取り組んでいる。世界には自分たちとは異なる歴史観を持つ人びとがいることを認識した上で、互いの価値観を認め合いながら平和に導いていく大切さを学んでいる。

「本校の生徒は、言われたことはできても、課題を与えられるのを待ったり、正解を求めがちな側面がありました。デザイン思考を学び、探究活動として実践することで、失敗を恐れずグローバルな課題に挑戦する人材を育てていきたいですね」と宮岡先生はプログラムに込めた思いを語った。

2023年1月には代表生徒6名が姉妹校であるホノルルのアイエア高校を訪れた。日米両国の生徒たちが合意形成を図っていく上での貴重な第一歩に。今後、数カ国の高校生とネットワークをつなぎ、この活動を深化させていく予定だ。

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