カテゴリー 12022年採択

徳島県立城西高等学校神山校

対象者数 90名 | 助成額 100万円

https://joseikamiyama-hs.tokushima-ec.ed.jp

Program循環型農業の実践を通した探究型学習プログラム

 本校は、「地域で学び、地域と育つ神山校」をコンセプトに、学校設定科目“神山創造学”を核に、地域住民から借り受けている耕作放棄地の「まめのくぼ」を活動フィールドの中心にプログラムを展開する。

1年生でフィールドワーク等を通して“伝える力”、2年生ではチームプロジェクトや専門コース別の実習を通して“協働する力”を、3年生ではテーマを設定し探究的な活動を行って“深める力”を育んでいきたい。

 

【目標】

1.専門性を生かした地域生産・交流拠点の実現

2.人・自然の安全に配慮した持続可能な循環型農業を実践

3.多様な発表機会の確保と探求手法の確立

 

【活動内容】

・ 里山の景観保全と整備:石積みに関する技術を身に付け、棚田を整備し、農地活用の拡充を図る。

・ 神山小麦やソバの栽培技術の確立と商品開発:神山町の気候や環境に適応した在来種の栽培マニュアルを作成し、地域へ伝承する。

・ シードバンクの確立:70年以上神山町で受け継がれてきた在来種の神山小麦の種を継承する。

・ どんぐりプロジェクト:神山町の種子や挿し木で苗を育て、地域性種苗の生産拠点と環境緑化を整備する。

・ 循環型農業の実践:安全安心な農産物の生産体制を構築し、有機JASの認証を受ける。

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多様性にあふれた地域で学び、地域と育つ農業高校

「まめのくぼ」と呼ばれる約1500㎡のかつての耕作地は2mの雑草木に覆われ、田んぼの水路には土砂が詰まり、荒地となっていた。農業高校として75年の歴史を持つ城西高等学校神山校の生徒たちが、その耕作放棄地を整備し、町に70年以上伝わる神山小麦や蕎麦を育て、棚田を形作る石積みも自らの手で修復。在りし日の美しい景観を取り戻しつつある。2017年からスタートした学校設置科目「神山創造学」における取組の一つだ。

 神山創造学では、1年生で町の人へのヒアリングや仕事体験を通し、その内容を書き起こすことで「伝える力」を身に付けていく。2年生ではグループに分かれてのテーマ別プロジェクトや専門コース別の実習を通して「協働する力」を、3年生は1・2年生の経験を活かして「深める力」を育んでいく。これらの活動は町の人たちの協力の下で行われているが、神山町には他の自治体にはない特徴がある。

 山に囲まれた神山町は人口約5000人の過疎地ながらも、移住促進やサテライトオフィスの誘致などで成果を出し、「地方創生」の先進地として知られている。移住・滞在している県外からの若い世代や外国人、ビジネスマン、クリエイターなど様々な領域の専門性を有する人たちが、町唯一の高校である同校の取組に協力。古くからの住民から歴史や山間地域で暮らす知恵を学び、新たな住民から刺激を受けながら、生徒たちは小麦や蕎麦の栽培、神山小麦のシードバンク、自然環境保護や防災に役立つ石積みなどの技術を習得するとともに、地域課題の解決にも貢献している。

 10年前に赴任し、神山創造学を担当する佐藤智子先生は、学校の変化を肌で感じてきた。「以前は他に選択肢がないと入学する生徒もいたのですが、神山創造学が始まってから、自ら動いて発言する生徒が増え、その生き生きとした姿を見て『この学校に来たい』と志望してくれる中学生が増えました。教員もマインドを切り替え、『教える』以外のスキルを身に付けようと、外部の協力者からファシリテーションやコーチングの手法を学んでいます」と話す。

 同校では2019年から地域留学として、「神山校で学びたい」という全国からの生徒も受け入れている。多様性が魅力を生み、その魅力がまた多様性を招く。町の特性を生かしながら、“神山校らしさ”をいかに深化させていくか。町と高校が共にwinwinとなる可能性を秘めている。

「まめのくぼ」の棚田で在来小麦を栽培し、収穫した2年生。自分たちの手で育て上げた達成感がその笑顔にあふれる。

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