カテゴリー 12022年採択

香川県立高松高等学校

対象者数 700名 | 助成額 200万円

https://www.kagawa-edu.jp/takah02/

Program杉原千畝・幸子氏から広がる人道の輪
~高校生同士の交流が世界へと繋がる~

 本校は杉原千畝氏の妻幸子氏の母校である。命のビザで有名になった杉原千畝氏は第2次世界大戦中にナチスドイツから迫害を受けたユダヤ人避難民を多数救ったことで知られている。しかしその業績は妻幸子氏の支えなしには成し遂げられなかった。

 自らの命の犠牲もいとわず、目の前の困難な状況下の人たちに手を差し伸べ、命を救うことを最優先とした勇気ある二人の行動。当時の状況を今一度振り返り、改めて人として本来進むべき道、国際平和とは何か、真の民族融和などについて現代の高校生が身近なこととして考え、議論し、そして周囲へと発信していく。校内での啓発活動を通して、本校はもちろんのこと近隣の高校にも人道の輪を広げていく。

 そして2023年は幸子氏の生誕110周年である。千畝氏の母校である愛知県立瑞陵高校と積極的な交流を行い、愛知と香川の高校生同士の交流を深めていくことを計画している。そして杉原夫妻の孫まどか氏を講演に招くと同時に、その後イスラエル大使館へ表敬訪問し、高校生の視野を世界へと広げていく。3年後にはイスラエルを直接訪問することによって現地の高校生と触れ合い、交流し、人道の輪を世界に広げていくことも視野にプログラムを進めていきたい。これらの取り組みの中核を担う存在として情報発信源となっていく。

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活動レポートReport

高校生が自ら動き人道の輪を広げる

 1月21日土曜日に、高松高等学校で「人道プログラム 香川県内高校交流会」が開催された。第二次世界大戦中、ユダヤ人に危機が迫っていたリトアニアで「命のビザ」を発行した外交官として知られる杉原千畝氏と妻・幸子氏の業績を起点に人道について考えるというもので、近隣校からも生徒や先生が参加。計66名の生徒がグループに分かれ、「自分が千畝氏だったらどうするか」についてディスカッション、発表を行った。交流会は、有志の生徒たちが企画・主催したもので、同校の三﨑輝久先生は「コアとなった生徒たちの活動が、本校や近隣校の生徒に波及して、人道について考えるきっかけなってもらえたら」と話す。

 高松高校と杉原夫妻の縁は、幸子氏の母校であったことに由来する。コロナ禍で行動が極端に制限される中、生徒たちは外と全くつながりを持つことなく3年間を過ごすのではという危機感を持った三﨑先生が、視野を広げるきっかけとしたのが杉原夫妻だった。まずは夫妻の孫にあたるまどか氏への訪問、千畝氏の母校である瑞陵高校(愛知県)とのリモート交流会を実施。2022年度には有志の生徒たちが瑞陵高校や、「命のビザ」を受け取ったユダヤ人が生活を送った「神戸ジューコム」の跡地、また「ホロコースト記念館」(広島県)を訪問する研修を実施した。今回の交流会は、同校・近隣生徒に研修内容を伝えるとともに、一緒になって「人道について考える」きっかけづくりとして開催された。これを第一弾として今後も同様の企画を継続していきたいと、有志の生徒たちは話す。

 2023年度は幸子氏生誕110周年であり、生徒たちが主体となって、瑞陵高校や神戸での研修を継続するとともに、幸子氏の生誕の地・沼津や、逃れてきたユダヤ人が最初に着いた日本の地・敦賀での研修、イスラエル大使館やリトアニア大使館への訪問も計画している。「国際社会で自分の意思を明確に持ち、世界平和実現のため人道的見地に立って的確な行動が取れる人物の育成」という目標に向けて、生徒主体の取組が後輩へ受け継がれていく。「人権や平和というテーマを教師が取り上げたり、講演会で伝えても、生徒たちにとってはなかなか自分事にはならない。自ら動くことで本当に理解できるものだと思いますし、きっかけがあれば、本校の生徒は自律的に動くものと確信していました。杉原夫妻は生徒たちの心を動かす素晴らしい財産を残してくれました」(三﨑先生)。

1月21日の会の様子。高松高校や近隣の高松商業高校・高松工芸高校の生徒たちはみな自主的に参加。高松高校の1年生は「公共」、2年生は「世界史」の授業でこの会のことを報告し、参加できなかった他の生徒たちにも幅広く伝えていく。

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