カテゴリー 12022年採択

愛媛県立川之江高等学校

対象者数 353名 | 助成額 200万円

https://kawanoe-h.esnet.ed.jp

Program“Catch The Dream”
~ 夢へとつながる探究的な学び ~

 本校が所在する四国中央市は、少子高齢化、人口減少、南海トラフ地震への対策等、さまざまな課題を抱えている。課題解決のためには、「自ら考え、他者と協働して、行動する」力の育成が必要である。そこで「総合的な探究の時間」に企業、大学、行政と協働して、課題解決のための探究学習プログラムを実施する。地域の力を借りて、生徒と外(世界)とをつなげ、探究的・体験的・実践的に地域課題に取り組ませることで、自分の進路を切り拓く力を育みたい。

 

【三つのキーワード】

①時間 「過去」から「現在」への繋がり

②人間 「人」と「人」との繋がり

③空間 「世界(社会)」との繋がり

 

 「時間」・「人間(じんかん)」・「空間」の「繋がり」を意識しながら探究していく中で、自分と外(世界)との関係を理解していく。次に、理解から課題の発見へと進み、周囲と協働して課題解決への行動へと向かう。その過程で、「将来、社会人になってしたいこと」を意識させて、「今の自分にできること」「今の自分がやるべきこと」を把握させていきたいと考えている。今の自分だけではできなくても、「繫がる」ことでできる可能性と、自分にもできるという自己肯定感を高め、将来やりたいこと “夢” を見つけるプログラムである。

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活動レポートReport

多様な知見を持つ卒業生から地域課題のヒントを得る

 2023年3月、愛媛県立川之江高等学校の探究活動成果発表会が、地元のホールで行われた。学外の関係者にも周知し、保護者なども参加。校外での発表会は初めてだったが、「質疑応答では、発表・聴講側双方で活発なやり取りがあり、普段の授業とは違う一面を見せてくれた生徒もいて驚きました」と、同校の深川範人先生は話す。

 2年生は関心のあるSDGsのリサーチを行い、そのテーマと地域課題とを結び付け、解決策を模索してきた。中には、LGBTQ+やオストメイトの方への観点から、校内の男性トイレにサニタリーボックスを置くというアクションに結び付けたグループもいた。「活動の目的は、今の自分にできることとできないことを認識し、将来かなえたい“夢”を見つけてもらうこと。生徒たちに本気で取り組んでもらうためにも、真に地域に貢献するアクションを実現したいと思っています」(深川先生)。

 探究活動を深化させる刺激剤の一つが「川之江先輩塾」だ。8年前から、学術分野に携わる卒業生の出前講座がスタートし、今は企業分野にも枠を広げている。「先輩塾」を主導する愛媛大学の吉田広教授は「在校していた時に比べて生徒数は半数になり、進学率も低下しつつあるという話を関係者から伺い何かできればと思い、卒業生に声を掛けてスタートしました。ありがたいことに今まで依頼を断られたことはありません」と話す。「先輩」たちの講座の本番は8月。まずは6月にオンラインで自身のキャリアや現在の研究・仕事の内容を伝え、実施する講座のテーマを生徒に向けて説明。希望する生徒は興味を持った講座に参加する仕組みだ。今年度のオンラインの説明を聞いた2年生の脇惟斗さんは「歴史に興味があるが、これまで考古学に携わっている人の話を聞いたことがなかったので、講座に参加したい」、同じクラスの谷口結菜さんは「親が看護師なので、小児看護の話に関心があり、面白い話が聞けそうでワクワクしています」と話す。「今年度からは地元をテーマに取り入れた講座も企画いただけました。先輩から地域課題解決のヒントをもらえる機会になればと考えています」と、真鍋昌嗣教頭は期待を込める。

 地元を離れ様々なキャリアや知見を積んだ先輩方の力を借りながら、地元のために何ができるか考える。母校への思いでつながったネットワークを取り込むことで、探究活動にどのような影響が出てくるのか、今後が楽しみだ。

2023年6月にオンラインで行われた「川之江先輩塾」で生徒からの質問を受ける吉田教授。吉田教授の他、全国各地の大学で多様な専門分野の研究に携わる「先輩」9名が参加した。

同校2年生の(手前から)谷口さんと脇さん。「こんなすごい経歴を持つ方が先輩にいるとは知らなかった。有名大学の名前を聞いても自分とは遠いものと思っていたけれども、今日はとてもリアルに感じた」(谷口さん)、「地元ならではの話もあって親近感がわいた。自分も何十年後かには『先輩』側に立ちたい」(脇さん)と話す。

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