カテゴリー 12022年採択

佐賀県立佐賀商業高等学校

対象者数 480名 | 助成額 200万円

https://www.education.saga.jp/hp/sagashougyoukoukou/

Program本物を知り、伝統を守り、社会に貢献する商業人を育てる
~生徒と企業、地域人材をつなぎ、学びを深める体験型プロジェクト~

 プロの「商業人」を育てる佐賀商業高校。高度資格取得に向けた取り組みや地域企業と連携した商品開発、調査研究活動などを通して、社会で即戦力となる人材育成を行っている。卒業後はさらなる資格取得を目指し大学や専門学校等へ進学する生徒も多数いる。

 そんな生徒たちに、持続可能な社会の担い手として、また日本の未来を担う商業人として、日本の伝統やものづくりの良さ、プロの技術を知り、守り、生涯にわたり「自分にできる社会貢献」を考え、実践する姿勢を身に付けさせたいと考え、今回のプログラムに取り組む。プログラムは、企業や地域と連携した体験活動を重視し、「伝統文化を守るプロの仕事に触れること、プロの心と技を学ぶこと」「SDGs各項目を自分事として捉え、社会問題解決に向けた実践・発信活動を行うこと」の二つの柱で実施する。

 日本の環境や技術、人材を守り伝承することの大切さを再認識し、未来のために今の自分や周囲を変える意識と実践力を持つ商業人としての意識付けを行う。併せて企業と連携し、プロの視点を交えることで、仕事を通じた社会貢献の在り方を知るとともに、社会のさまざまな仕組みや企業活動を知り、社会貢献につながる職業への興味を持たせ、職業意識の啓発を促す。

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伝統文化とSDGsの両面から“商業人”を育む

 1907年(明治40年)開校という歴史を持つ佐賀商業高校は、地域から「県内第一の商業高校」と目されており、次世代育成の担い手として、また地域課題を解決する牽引役として、地元産業界から厚い期待が寄せられている。「こうした期待に応え、地域経済、ひいては日本経済の将来を担う“商業人”を育てることが本校の使命」と、プログラムを推進する平野佐矢子先生は語る。

 同校が考える“商業人”とは、商品を生み出す技術や、作り手の思いなどをしっかりと理解した上で、その価値や意義を消費者に正しく伝えながら販売し、産業社会に貢献できる人材。そのような若者を育てるべく、本プログラムは地域との強固な連携を背景に、二つの柱から展開している。

 一つは、老舗菓子店の協力のもと、佐賀の伝統文化である菓子作りを体験する取組だ。佐賀県内を横切る街道は、南蛮渡来の砂糖を長崎から全国へと運ぶ「シュガーロード」と呼ばれ、文化庁から「日本遺産」に登録されている。

「そうした歴史のもとに受け継がれてきたプロの技術や心を学ぶことで、豊かな感性を育みながら、日本を支えるモノづくりの大切さを再認識し、自身の職業選択の参考にしてもらいたい」と平野先生は取組の意義を語る。

 もう一つの柱が、SDGsを自分事化し、実践、発信までつなげることだ。ここでも、地域企業の協力を得て“現場”に触れる経験が、実践的な取組を支えている。学生服メーカーと連携した端材リサイクルによる商品づくりや、コンビニエンスストアとの地産地消おにぎりの開発、自動販売機メーカーへのボトルレス自販機の提案など、高校生らしい自由かつ生活に則したアイデアに、企業からも驚きの声が上がっているという。

 取組の成果は、クラスごとのプレゼン大会を経て、優秀な取組が年度末の成果発表会で報告される。「自分たちの成果を、企業や自治体など校外も含めた大人に向けて発表する経験は、“商業人”に成長するための貴重な機会となっています」(平野先生)。

 このプログラムは、1年次に「家庭」の時間で実施しており、今後はここでの成果を、いかに2年次の「探究」や3年次の専門的なカリキュラムと連動させるかが課題だという。まだ始まったばかりのプログラムが、これからどんな人材輩出につながるか、期待しながら見守りたい。

クラスから選出された代表グループによるSDGsアイデアプレゼン大会学年大会の様子。寸劇や対話などを取り入れるなど工夫を凝らしながら、高校生の柔軟なアイデアを披露した。

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