カテゴリー 12022年採択

宮崎県立宮崎南高等学校

対象者数 1061名 | 助成額 199.8万円

https://www.miyazaki-c.ed.jp/miyazakiminami-h

Program産学官連携による都市型コミュニティ・スクールを目指して
~地域の次世代リーダーとして、地域に根差し、貢献できる人材の育成に資する産学官連携による人の地域循環教育~

 地域の教育資源を幅広く活用した探究的な学びを重視し、郷土愛を育みながら、持続可能な社会の創り手としての視点を持った次世代リーダーおよび地域社会や国際社会に貢献できる人材を育成する。また、地域の課題から世界の課題を思考させることにより、世の中の課題を自分事として考え取り組む姿勢を養うプログラムⅠ〜Ⅲを実施する。また、このプログラムを地域社会と連携しながら実施することにより、地域と協働した教育活動を実践する拠点校を目指す。

 プログラムの内容として、1学年次にプログラムⅠ『地域の現状・魅力を知る地域力』を実施することにより、地域の可能性や課題を考える力を養う。2年次にプログラムⅡ『地域資源の新しい価値についてグローカルな視点から見出す力』を実施することにより、地域資源の新しい価値や課題解決の方法をグローカルな視点から探究し、地域や国際貢献への使命感を持たせる。3年次のプログラムⅢ『地域の価値を発信するための行動力・実践力』ではプログラムⅡを通して得られた成果を地元の企業・大学・行政に提案。さらに国際社会との交流の場を設定し生徒の成果を国内外に発信する。

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従来のやり方に固執せず柔軟性をもって変えていく

 宮崎南高校の探究活動は、2019年から取り組んだ文科省の「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」でのノウハウを基に実施されている。1年生は探究の基礎的なスキルを学びながら、クラスを超えたグループ活動で「鵬イノベーションコンテスト」に取り組む。地域の企業や行政、大学などから九つの分野の課題を出してもらい、解決策を考え発表するというもので、「1年生だと『問い』を自分たちで立てさせても浅いことが多い。現場から課題を提示してもらうことで、生徒たちが現状を知る機会にもなります」と、河原美那子先生は話す。2年生は自分たちで「問い」を立てて探究活動を進め、その内容を3年生で企業・大学・行政に提案するという内容になっている。また同校は普通科とフロンティア科に分かれており、フロンティア科は各班それぞれに大学の先生がメンターとしてついたり、現場研修などを行うなど、生徒の特性に沿って内容を変えている。フロンティア科を担当する西田慎一先生は、「昨年度は生徒たちが自分たちで各々の取組をつなげたイベントを外部向けに実施するなど、年々進化してきています」と話す。

 同校の探究活動の特徴は「柔軟性」にある。2023年度からは、生徒間で「問い」の立て方に温度差があったことから、校内で作っていた探究用の教科書を、外部の教科書に切り替えた。さらに先生が生徒に寄り添う“伴走”のサポートとして、外部の大学生・大学院生のオンラインメンターサービスを採用。また、先生が伴走するグループ分けは、普段接している生徒の方が対応しやすいだろうと、先生の専門性ではなく担任クラスの生徒が多くいる班を優先的に担当してもらう体制へと変更した。これだけのトライアンドエラーを実施できる理由は、「現場の声の吸い上げ」にある。毎週、先生たちの相談の機会を設け、悩みを聞き、生徒アンケートを年数回実施し、変化をきめ細かく把握している。生徒・教員の現状と課題を把握したうえで、最適と思われることを取り入れ、その結果を検証し、次年度に活かしている。「探究が生徒の進学やキャリア形成に役に立つというエビデンスを取り、それを基に探究活動を進めることが重要」と河原先生が話すように、過去のやり方に固執せず、客観性をもってPDCAを回しているからこそできる取組だ。「柔軟性」と「客観性」は、異動がある公立校にとっては探究活動を持続させる一つのキーワードになり得るだろう。

普通科の生徒と対話をする教員。「1人の教員が受け持つのは四つの班。一つの班と最低10分は対話するようにお願いしています」と河原先生は話す。

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