カテゴリー 12023年採択

北海道更別農業高等学校

対象者数 90名 | 助成額 100万円

http://www.sarabetsunougyou.hokkaido-c.ed.jp/

Program「課題解決能力の育成と地域活性化を目指す農業学習の展開!!」
~更別村との連携を基軸としたプロジェクト学習~

 本校は、北海道十勝農村部の更別村に位置する1学年2クラスの農業高校であり、特徴的な学びとして学校農業クラブのプロジェクト学習に取り組んでいる。学習内容は、農業生産や食品加工を基軸として、地域の産業界はもちろん更別村の幼児から高齢者までの幅広い世代と連携学習に取り組んでいる。

 本プログラムでは、プロジェクト学習の充実化を図り、生徒の課題解決能力を養うとともに高校生の学習活動を通して持続可能な農村社会の発展に寄与することを目指す。

 本校のプロジェクト学習は、「作物栽培」「家畜飼育」「農畜産物加工」「草花活用」「福祉」の5分野を柱にしており、今年度は具体的に次の4点の活動を行う。

①作物栽培・家畜飼育に関わる持続可能な農業経営学習

②本校や地域の農畜産物を原料に付加価値を付ける加工学習

③ヒマワリ迷路やガーデニング学習を行い、草花を通して地域の方と交流

④更別村の高齢者と交流し、人と繋がる福祉の学習

 村唯一の高校として、村の活性化に尽力するとともに、生徒には変化の激しい時代を生き抜く資質・能力を身に付けさせる活動に取り組む。

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活動レポートReport

少人数制の「分会」で農業教育の潜在力を発揮

 十勝管内南部にある更別村は総面積の70%が耕地で、畑作や畜産が盛ん。農業産出額は年間約100億円、人口約3200人の食料自給率はカロリーベースで6800%と22万人都市の1年分を賄える(村ホームページ)ほどの豊かな農業地帯だ。

 更別農業高校は帯広空港から車で約15分と、約25分の帯広農業高校(帯広市)より近い。ただし生徒が通うには不便なため寮の他、1980年代から保護者がバス会社と交渉してスクールバスを運行している(現在は帯広市など3コース)。村からも高校存続のため、スクールバス経費や路線バス定期代、海外実習経費など年間約3000万円の手厚い支援を受けている。そんな環境もあって、全校生徒数90人ながら教職員30人の2学科体制を維持。2年次から農業科では農業経営と農産加工の2コースに、生活科学科ではグリーンツーリズムを踏まえた生活文化コースと、介護職員の初任者研修も受講できる生活福祉コースに分かれる。村内在住生は少数派で、帯広市などから多様な課題を抱えて通学してくる生徒も少なくないのが実態。しかし、そこで農業教育の潜在力が発揮される。

 基盤となるのが、週2時間の「分会活動」だ。23年度は機械(ツリーハウス造り)、作物(更別村におけるスペルト小麦の栽培試験) など8分会がプロジェクトに取り組む。各分会の生徒数は4人ほどで自然に役割分担もでき、生徒が自主的に活動する。群馬県立農業高校出身の首藤大介教諭も「熱量を持って接すると、生徒も感化されます」と手ごたえを感じている。

 16年度から商品化に取り組んでいるレトルト食品は現在、村特産の豆を使ったカレー「さらのうキーマ」(中辛)と「さらのうREDキーマ」(辛口)が主力で、村はもとより北海道のふるさと納税の返礼品にも選ばれた。加工分会Bでは甘口の開発に着手しており、取材に訪れた日には市販の23種類と食べ比べて4象限マトリクスに位置付ける活動に「味にはこだわりがあります」と水を飲むのも忘れるほど真剣に打ち込んでいた。

 持続可能な酪農をテーマとする畜産分会では三菱みらい育成財団の指定を受け、12月から乳牛の子宮を借りて黒毛和種の肉用牛を生産する受精卵移植に着手。飼育体制を確立して28年秋以降の出荷を目指している。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

加工分会Aでは、老人ホームに通い詰めてナタデココの大きさなどを調整した「サラコッタ」(さらべつのパンナコッタ)を商品化。地元信用金庫の支援を受け、札幌で400個、大阪・難波でも200個を完売した。

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