カテゴリー 12023年採択

青森県立三本木農業恵拓高等学校

対象者数 200名 | 助成額 200万円

http://www.sanbongi-ah.asn.ed.jp/

Program三本木農業恵拓高等学校普通科
「さんのう探究-地域共創プログラム開発」(総合的な探究の時間)

 本校は校訓に掲げる「自主(進んで学ぶ力)・創造(学び生み出す力)・敬愛(協働して学ぶ力)」の3つの能力を伸ばすため、総合的な探究の時間において地域課題研究に取り組む。その中でも、特に、地域の課題を自ら発見し、解決策を考え、実践することを重視している。それは、地域課題について、傍観者ではなく自ら社会変革に取り組む人材を育てるためである。

 1年生は地域の安心・安全を守るための課題解決に自ら取り組む。2・3年生はテーマを絞らず自ら地域の課題を設定し解決に取り組む。この取り組みをより充実させるため、地元自治体、大学、企業との連携により地域における課題、探究の方法、プレゼンテーションの技法、アイディアの考え方、デザイン思考等について理解を深める。加えて、企業にはカリキュラムや探究学習の運営等について学校に伴走していただくことで、県内における探究の先進事例をつくる。

 さらに、本校は全国的にも珍しい、普通科と大規模な農業に関する学科が併置された学校である。従来の農業高校の伝統を生かし、農業に関する学科における課題研究も含め、全学科で行われている探究活動について相互に発表を見る機会を設け、互いに学び合う。

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普通科総合探究に農業高のノウハウ

 三本木農業高校といえば1898(明治31)年創立の伝統校というだけでなく、2008年に公開された映画『三本木農業高校、馬術部~盲目の馬と少女の実話』(佐々部清監督)や、卒業生の向井愛実さんがプロジェクト活動を基に著した『いのちの花』(14年、WAVE出版)を原作とする同名の演劇を劇団銅鑼(東京)が24年も全国巡演(5~7月)を予定するなど、ドラマ界からも注目されてきた。

 21年度、高校再編により十和田西、六戸の両高校と統合し三本木農業恵拓高校として開校したが、旧三本木農の校舎を使い農業の各学科と普通科が併置されたため、これらの学科の融合による教育環境の充実が課題であった。

 中村豊校長によると、3年間で両学科が相乗効果を上げてきた。とりわけ普通科は、課題研究や農業クラブ活動(三農式アクティブラーニング)をはじめ専門学科として既にあった研究活動のノウハウを基にして探究型学習を作り上げてきた。卒業後も農業の良き理解者としての消費者や、農業関連産業への就職を期待している。三菱みらい育成財団の指定も、そんな普通科を対象としたものだ。

 総合的な探究の時間(計5単位)では、地元の十和田市がセーフコミュニティの国際認証を受けていることから1年次で「三農生が取り組むセーフコミュニティ」と題し、出前講座を活用しながら交通安全など四つのテーマから一つを選んで課題を掘り下げ、解決策を考えて実践し、プレゼンテーションを行う。2年次は地域に関するテーマを自ら探し、プレゼンとポスター発表を実施。3年次では1・2年次で新たに生じた課題や他教科等で発見した課題等に取り組み、調査や解決策等の検討、考察をさらに深化させリポートにまとめる。

 研究開発部と普通科の主任を務める木村巧教諭(国語)は県教委指導主事として三農の再編計画に携わった後、同校の開設準備室に異動したという。両学科融合のポイントは「コンテンツの共有より、理念をどう共有するかです」と説明する。近年、各教科で重要性が指摘される「オーセンティック(真正)な学び」も専門学科なら当然、実践してきたものだ。

 その上に外部の企業経営者や大学教員などが多数関わることで、地域の課題や問題解決の手法も学ぶことができた。教員も、生徒を対象とした大学教員による探究の講義に参加している。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

外部講師を招いて11月16日に行われた3年生のポスター発表会。農業の魅力発信による地方移住の促進を提案した福田大夢さん(左)も三農に来て初めて農業に興味を持ったといい、地域課題解決のため経済学部への進学を目指す。

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