カテゴリー 12023年採択

秋田県立新屋高等学校

対象者数 160名 | 助成額 100万円

http://www.araya-h.akita-pref.ed.jp/

Program新屋高校SSC(SDGs×STEAM×Career)プロジェクト

 最新ICT教材や人材を活用したデジタル教育やアントレプレナーシップ教育を推進し、これからのデジタル社会で活躍するために必要となる「論理的思考力」や「提案力」、「問題解決能力」などの資質・能力を身につけた人材育成を目指す。また、クラウドファンディングや会社設立などを足がかりとして、地域社会と繋がりながら、新規事業の創出や社会課題解決に向けて「継続的にリアルに学ぶ」場を創出し、本校の重点目標である「本気で挑戦し続ける新屋高校」に繋げる。

【特徴】

①システマティックなアントレプレナーシップ教材や評価テストの活用

(「イチから起業オンラインfor School」/「高校生Ring」/「EdvPath」)

②最新ICT教材やIT専門人材の活用(ドローン/VR/メタバース等)

③地域リソースの活用(県内外起業家/公立美術大学等)

④教員の探究講座などの研修参加促進

⑤クラウドファンディングの実施(SDGsボードゲーム秋田県版の作成)

⑥会社の設立/事業のプランニング/予算/決算

⇒①~⑥に取り組み、設立会社を社会とつなぐ「場」として活用し、「本気で挑戦し続ける新屋高校」を後押ししていく。

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起業体験を通して喜怒哀楽を味わう

「大ざっぱな事業計画だが、1個当たりの原価を出すことは可能か」「大量に売り切るには、回転率も考えないと」

 10月7日、秋田大学内で行われた「秋田スタートアップガレージU-18 JPX(日本取引所グループ)起業体験プログラム」の会社設立説明会。11月11日に秋田市内の交流拠点「エリアなかいち」で開かれる飲食品の販売会を目指して新屋高校の1年各クラスが立ち上げた5社が高校生らしくユーモアを交えてプレゼンテーションすると、県内で飲食店を経営する5人の投資家から次々と現実的な指摘が飛んだ。

 すぐに事業計画書を修正して再提案し、全社に各3万円の投資が決まると株券を発行。司法書士の下で株式会社の登記手続きまで行われた。終了後、スープ3種類を提供する「チェルビック」で会計を担当する千葉蕗子さんが「厳しい意見をもらって悔しかったけど、みんなで話し合い修正し、いい経験になりました」と振り返ると、社長の佐藤輝さんも「今後は具体性を持って発表したいですね」と意欲を表明。「ただ調べて発表させる探究ではなく、リアルな場で喜怒哀楽を味わってほしい」という阿部大輔教諭の狙い通り、たった半日のイベントでも成長した表情を見せていた。

 SSCプロジェクトは、2021年度の第1期県SDGsパートナー登録や、県DX推進計画に基づく高校普通科「デジタル探究コース」設置(23~26年度)指定などを契機に開始。能力に応じてもう一歩の前進を期待したい生徒たちに「本気で挑戦し続ける新屋高校」を学校の重点目標に掲げ、総合的な探究の時間にデジタル教育やアントレプレナー(起業家)教育をハイブリッドさせて①論理的思考力②提案力③問題解決能力―を育むことを目指す。

 7月から近隣の公立秋田美術大学や秋大の学生と一緒に、一から起業を学んだ。その後、同校では秋大が提供する「秋田スタートアップガレージU-18 」に県内で教育事業を展開する一般社団法人セイルオン・ジャパン(奥真由美代表理事)も参画し、1年生がプログラムに取り組んできた。販売会では天候に恵まれなかったにもかかわらず、投資家も見守る中、各社が約5~9万円を売り上げて、いずれも配当を出すことができた。12月21日に株主総会を開き、会社を解散した。

 2年次以降はコースを選択する20~30人に対象を絞り、企業内起業と県内外での出店に取り組むことにしている。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

「人さまからお金をいただくには、私たちもへとへとになる」―。生徒の説明に本気で商売
の厳しさを説いた大同観光の佐々木貴徳社長(左)は「若い人には、どんどん起業してほしい」と期待を掛ける。

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