カテゴリー 12020年採択

福島県立葵高等学校

対象者数 400名 | 助成額 200万円

https://aoi-h.fcs.ed.jp/

Program生徒の主体的に生きる力の育成
~課題探究活動「葵ゼミ」をとおして~

 「私の選択には、意志がある。」のスローガンの下、本校では、学校全体で生徒の主体性を育む取り組みをしている。その中心となる「葵ゼミ」は、1・2年次に全員が履修する「総合的な探究の時間」における課題探究活動である。「葵ゼミ」の目標は、葵高生の一人ひとりが自分の人生を自らの意志で選択し、主体的に生きてゆくことができるようにすることである。

 1年次は、探究のスキルを身に付けるとともに、会津若松市役所や地域の事業所、近隣大学等と連携し、社会や自然、地域課題等について考え、視野を広げていく。2年次は、それまでの経験を活かした個人研究を進め、自ら設定した課題を解決することを狙いとしている。また、育てたい資質・能力として策定したルーブリック「葵高生が身につけたい10のチカラ」により、教師間での目標の共有と、生徒による自己評価を指導の改善に活かすといったカリキュラム・マネジメントを推進している。

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学校改革の必要性を契機に

 1909(明治42)年創立の会津高等女学校を前身とし、02年度に県立会津女子高校が共学化されて現在の校名になった。しかし、会津地方は人口減少を深刻な地域課題として抱え、中心校の一つである葵高校も将来は安泰ではない。そこに高大接続改革も加わり、学校改革が必至だった。そこで16年度から「高大接続システム改革プロジェクトチーム」を発足。創立110周年に当たる18年度には「葵高校教育改革プロジェクトチーム」(APT)に衣替えした。

 APTは①アクティブ・ラーニング(AL)普及チーム②葵ゼミ統括チーム③英語4技能育成チーム④ポートフォリオ作成チーム⑤学校評価委員会――で構成する。総合的な探究の時間「葵ゼミ」を教育の活動に据えるとともに、教科を超えた授業研究や学校評価も視野に入れたものだ。

 スローガン「私の選択には、意志がある」も、18年度に制定。人工知能(AI)による技術革新時代には「人間ならでは」の育成が大事になることから、自分の意志で、責任をもって一つひとつの選択ができるような高校生になってほしいという願いが込められている。

 「葵ゼミ」では、1年次に「ロジカルシンキング講座」で探究のスキルを身に付け、会津若松市役所や地元企業、大学などの出前講座により、地域の課題を通して社会への視野を広げる。2年次には①育児・教育②文化・社会③政治・経済④スポーツ・健康⑤医療・福祉⑥理工・情報⑦農業・生活――のゼミに分かれ、個人研究を深める。

 自立性(自己分析力、自己肯定力、自己抑制力)、主体性(思考力、創造力、行動力)、社会性(責任力、洞察力、協働力)の柱に英語コミュニケーション運用力を加えた「葵高校生が身につけたい10のチカラ」も策定。生徒も年4回、ルーブリックで自己評価を行っている。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

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