カテゴリー 12023年採択

埼玉県立不動岡高等学校

対象者数 1080名 | 助成額 200万円

https://fudooka-h.spec.ed.jp/

Program学際的な「科学的素養」を持った「明日の世界を創造する品格あるリーダー」を育成する未来探究プログラム
~生徒自らが主役となり実践する課題研究~

 本校は、「明日の世界を創造する品格あるリーダーの育成」という教育目標の実現に、創立以来130年以上にわたり邁進してきた。そして、文理の枠を超える複雑な課題が山積する現代においては、その解決のために知性と情熱をもって行動できる人間こそが明日の世界を創造する―こうした理念のもと、本校は、文理融合の学際的カリキュラムを編成し、「未来探究プログラム」を始動させた。SSH、SGH、外国語科・普通科統合という本校の3つの強みを最大限に生かした探究プログラムである。

●1年次(1単位):未来探究基礎

 探究を進めるための基礎を習得。データ収集や統計解釈の方法、プレゼン技術等を学び、SDGsをテーマとした探究活動に取り組む。

●2年次(2単位):地域課題研究-Local・異文化理解-Global・理数探究-Science

 自らの興味関心により3つの領域に分かれ、課題の発見、仮説設定、調査・検証、考察、発表までをグループで進める。時に失敗も経験しながら、科学的手法と論理的思考に基づく課題解決とは何かを身をもって学ぶ。

●3年次(1単位):論文作成

 自らの探究活動を文章化し、個人の省察を通して今後の進路を展望する。

 さらに、海外研修(豪州、独、仏、マレーシア等)や国内研修(研究所・大学訪問、野外実習、ふくしま合宿等)で培われる国際的視野と科学的素養が、不動岡高校の探究活動をより高みへと引き上げる。

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活動レポートReport

多彩な探究イベントで生徒に刺激

 高齢化や外国籍の人々との共生など課題先進地域の伝統校として「明日の世界を創造する品格あるリーダーの育成」を目指す同校。スーパーグローバルハイスクール(SGH)、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の実績を持つ外国語科と普通科を統合し、2022年度から新たな普通科が始動。学際的な「未来探究プログラム」で、科学的手法と論理的思考により課題解決を探究する「科学的素養」を育てている。

 1年次の「未来探究Ⅰ」は、探究の土台となるICT機器の活用やデータ分析手法などを学んだ後、SDGsのゴールから一つを選びグループで探究する。ボードゲームでSDGsの理解を深める外部のプログラムを取り入れ、実例や解決策を学んだ。

 2年次「未来探究Ⅱ」は、①地域課題研究 ②異文化理解 ③理数探究から一つの領域から選択し小グループで活動する。

 ①地域課題研究の領域は、テーマが多彩だ。昨年度、あるグループは自分たちの町の課題を「世代間交流が少ないこと」として小学生向けの「昔遊び」のイベントをプロデュースした。「今年度も壁にぶつかりながら生徒は活動している。協力を頼みたい企業や団体にアクセスできないこともあるが、それも経験」と、岡田直人教頭は話す。

 ②異文化理解の領域では、加須市主催の「外国人向けの防災講座」に生徒がボランティアとして参加。やさしい日本語や英語を交えて災害対応を伝え、文化交流を図った。③理数探究の領域では、理科学研究所を見学するなど高度な研究に触れている。

 全校的な探究のスタートに合わせ、助成金を活用した探究イベントも活性化している。9月には三浦半島南端の城ヶ島を訪れる「地学野外実習」を実施。海岸の地層見学や生物観察をおこなった。バス代負担のない希望制にしたところ、学年やクラス、普段は部活動で忙しい生徒なども加わり、それぞれの探究テーマのヒントを得られたという。

 12月には「ふくしま学宿」をおこなう。東日本大震災後の地元自治体(加須市)に避難者を受け入れたことをきっかけに始まった研修で、今年度は「新技術」であるロボット実習やVR体験をおこなう予定だ。

 3年次「未来探究Ⅲ」は、2年次の探究プロセスを振り返り、大学での学びや自分の生き方へとつなげていく。「採択校の実践にも学び、探究の質を高めていきたい」と岡田教頭は話している。

長尾康子(教育ジャーナリスト)

三浦半島・城ヶ島での「地学野外実習」。

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