カテゴリー 12023年採択

京都府立井手やまぶき支援学校

対象者数 39名 | 助成額 100万円

https://www.kyoto-be.ne.jp/ideyamabuki-s/cms/

Program「みがく むすぶ きりひらく~小学部×中学部×高等部をつなげるむすびカリキュラム~」
地域(井手町)の中で光り輝く生徒の心にエンジンをかけ、
未来をきりひらくやまぶきプログラム

 本校は知的障害、肢体不自由のある児童生徒の在籍する小学部から高等部の三学部を設置する特別支援学校である。児童生徒を「より良い社会と幸福な人生を創り出せる人」に育てることを目指し、そのために小学部から高等部12年間をどのようにむすぶか、その授業・カリキュラムづくりを研究のテーマに設定している。     

 具体的研究として、小1~4年の1stステージ、小5~中2年の2ndステージ、中3~高3年の3rd ステージを柔軟に4-4-4年制でむすぶ「むすびカリキュラム(むすび混合スタディ)」を進めている。また、本校の理念『光輝 地域(まち)を照らせ』『地域と共に歩む学校』にあるように地域の総合力を活用した「やまぶきプログラム」で育んでいる幼児・児童期からの力を土台に、日本の社会を支え発展させる次世代人材を育成し、未来をきりひらくための高等部生の心のエンジンを駆動させる。 

 高等部にあっては、これまで培った一人一人の生徒の働く力を「みがく」作業学習、自立活動の指導プログラムの開発等、さまざまな取組を進める。本校の子どもたちすべてが、地域の中で光り輝くとともに、よりよい共生社会と幸福な人生を「きりひらく」生徒の育成を目指す。

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未来を切り拓く「むすびカリキュラム

 京都府立井手やまぶき支援学校は、2022年4月に開校。23年度は児童生徒155人と教職員約100人が、小学部・中学部・高等部をつなげた「むすびカリキュラム」に取り組んでいる。同カリキュラムでは、小学部から高等部までの12年間の学びを4・4・4制に分け、小学部1~4年で「遊びの指導」、小学部5年~中学部2年で「生活単元学習」、中学部3年と高等部で「作業学習」を軸にした12年間をむすぶカリキュラムを創造している。この「むすびカリキュラム」により中学部・高等部への」移行がスムーズになり、教員は学部を超えて学習内容を共有した授業を展開することができる。12年間、一貫性のある指導を行い、児童・生徒一人ひとりの成長に寄り添うことを目的としている。

「三菱みらい育成財団の採択は、スタートを切ったばかりの同校にとって、新しい取組を推進する大きな後押しになった」と同校高等部総括主事の小林利恵子先生は話す。採択をきっかけに、「地域と共に歩む」「自立活動」「作業学習」「学校広報」等の六つのプロジェクトを立ち上げ、各学部の教職員が担当者となり、様々な取組を実施している。「学校広報」は、高等部の生徒たちが主体となって取り組み、井手町の方々に取材を実施。同校の広報パンフレット作りを進めている。2023年11月には「実践発表会」を実施。府立の特別支援学校の関係者や保護者などを招いて、学部混合授業の公開、参加者に木工やボルダリングなどを教える生徒主体型のきりひらくワークショップ、教員によるポスターとビデオ発表、文部科学省初等中等教育局視学官(併)特別支援教育課特別支援教育調査官の菅野和彦氏による講演を行った。

 同校では、年間を通じて様々な分野の研修会の実施や外部講師を活用し、指導者の専門性の向上を図っている。「医療的ケアの対応、知的障害の程度の違い、不登校等、特別支援学校には多様な子どもが在籍している。その子どもたちに向き合うために、私たちが最新の情報、専門知識を学んで、身に付けていく必要がある」と江口直美副校長は話す。知的障害のある児童生徒の自立と社会参加のために教員たちが担う責務は重い。子どもたちの心のエンジンをかける上では、教員の指導技術を高めていくことが必須となっている。新たな制度と体制を組んだ同校では、「地域と共に歩む学校」として、地域で光り輝く児童生徒の育成を目指したプログラムを推進している。
 

実践発表会では、中学部と高等部の生徒が校内にあるビニールハウスで作業学習「農園芸」に取り組む様子が公開された。「むすびスタディ」として、木工・農園芸・清掃を共通題材として位置づけている。

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