カテゴリー 12023年採択

広島県立佐伯高等学校

対象者数 85名 | 助成額 100万円

https://www.saeki-h.hiroshima-c.ed.jp/

Program『オール佐伯』で学校・地域の危機を乗り越える
~総合的な探究の時間(SAEKI QUEST)を軸にした「つながり」の創出~

 学校と地域をフィールドとして、生徒が答えのない課題に挑戦する探究学習(SAEKI QUEST)を軸に、全教職員・全生徒が一体となった校内の推進体制を確立する。それとともに、生徒のプロジェクトを支援する学校と地域の「ヨコのつながり」と、地元小中学校との「タテのつながり」を創出し、『オール佐伯』で地域の未来を担う人材を育成する持続可能な体制を構築することで、過疎化に直面する学校・地域の危機を克服する。

 特徴は、教職員、生徒、地域関係者が合同で先進校の視察や交流を行ったり、専門家を招いた合同研修会を行ったりすることで、持続可能な「ヨコのつながり」を創出する点にある。さらに、民間企業と協力して地元小中学生と合同して「起業家養成ゼミ」を定期的に実施し、主体性や地域貢献意欲に溢れた生徒を小中学校と高校が連携した「タテのつながり」によって育成する。

 つながりの軸となる総合的な探究の時間(SAEKI QUEST)においては、地域の教育資源を最大限に活用し、地域の協力のもと生徒にさまざまな「本物」に触れる機会を提供することで、社会課題に対する当事者意識を高める。また、課題解決が企画段階に終わることがないよう学校と地域が協力して生徒のアイデアの具現化を支援する。

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活動レポートReport

地域の「横のつながり」と小中との「縦のつながり」を強化

 広島県廿日市市の中山間地域にある唯一の高校・広島県立佐伯高校は、アーチェリー部や全国でも珍しい公立高校の女子硬式野球部があり、日本各地から入部を希望する生徒が集まる学校として知られている。しかし、10年ほど前には地元の中学生の多くが、卒業すると沿岸部の高校に通うために土地を離れてしまい、佐伯高校は定員割れが続いて廃校の危機にも直面した。対策として特徴ある部活動に力を入れたことが功を奏して生徒数は増えてきたが、「部活だけでなく学校の授業にも魅力あるものを取り入れなければならないと考え、始めたのが探究活動『SAEKI QUEST(以下、SQ)』。先進校を見て回り参考にしながらも、本校にしかない特徴は何かと考え、地域に出て自分の目で見て、本物に触れるという『実践』を重視した内容で構築してきました」と同校の犬塚慧先生は話す。

 特徴の一つが、地域との「横のつながり」だ。もともと「地域唯一の高校を失くすわけにはいかない」と学校に協力的な住民は多かったが、全国から集まった生徒たちを下宿させる家が増えるにつれ、生徒を家族と同様に応援してくれる人が増え、廿日市市の手厚い支援のもとで地域との連携はより強固になったという。

 2023年9月27日に体育館で行われた中間発表には、保護者や地域住民も参加。探究の基礎を学んだ1年生と進路を視野に入れたテーマで個人探究活動を行った3年生はポスターセッションの形式で発表を、グループ探究を行った2年生はステージ上でプロジェクターを使って発表を行った。発表のテーマは、小中学生に関心を持ってもらえるような祭りの企画・開催、マコモダケを地元の特産にするプロジェクト、商店街を盛り上げるマップの制作、地元特産のイチゴの廃棄ロスを目的とした新商品開発などで、発表の場には地元の中学生も参加。中学生にSQに取り組む高校生の姿を見てもらう機会を意図的に増やしてきたことで、最近ではSQを入学の動機とする生徒も多くなっているという。同校では今年度から、さらに小中学校との「縦のつながり」の強化に力を入れ、小中高生を対象にした「起業家養成ゼミ」の開催も予定。「最終的な目標は、子どもたちが地元を離れてもいつかは戻ってきて、地域活性化のアクションを起こしてくれるような環境をつくること。そのためには、縦と横のつながりが絶対に必要で、SQを通してその連携を構築していきたい」と犬塚先生は話す。

中学生や住民などを前に発表をする2年生の生徒たち。SQがスタートして3年がたち、自分の探究活動をPRして国公立大学を目指す生徒たちも徐々に増え、3年連続で国公立大学合格者を輩出するなど進学実績にも変化が起きているという。

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