カテゴリー 12020年採択

群馬県立高崎女子高等学校

対象者数 560名 | 助成額 200万円

http://www.nc.takajo-hs.gsn.ed.jp/

Program「総合的な探究の時間」における、自己を見つめ、 主体的・自律的に取り組む課題研究

 1、2年次に、全生徒が「総合的な探究の時間」において取り組む課題研究をメインとしたプログラムである。「自分の将来進みたい方向や活躍したい場」に関係する内容を研究テーマとし、自ら課題を設定し、仮説を立て、検証を行い、結果をまとめ発表する活動を、1年次はグループで9カ月間、2年次は個人で1年間実施する。

 ゼミ形式により全職員で指導を行うが、探究活動の原動力となるのは生徒自身の意欲だと考え、教員がけん引するような指導は行わず、生徒の能力を引き出し、発想を大切にして育てる主体的、創造的な学習活動を展開する。

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個人研究までの手立てを講じる

 総合的な学習の時間が始まって以来、シンボルツリーであるシイにちなんだ「思惟の時間」という通称で実施。16年度から、3年間の系統立てたプログラムを「試行錯誤し、改善を重ねながら」(申請書)取り組んできた。現在は▽1年次=グループによる課題研究▽2年次=個人による課題研究▽3年次=論文の英語要約――という形を取っている。連携する大学の学生はもとより、3年生が2年生に、2年生が1年生にアドバイスする機会も重視している。

 メインは2年次の個人研究だ。学問分野の系統から希望を取り、人数を調整して担当教員数に合わせた12のゼミに分かれる。ただし担当教員は指示するような指導はせず、進行管理やアドバイスに徹する。あくまで自分でテーマを設定し、先行研究も踏まえながら1年間かけて計画、実施し、課題解決を図ることを重視しているという。

 1年次には、スムーズに個人研究を行えるための手立てを打っている。まず、1学期には講義の他、「新書を読む」を実施。最低3冊を読んで視野を広げるとともに、学問分野や先行研究について新書レベルの知識を身に付けることを狙う。夏休み前からグループをつくり、興味・関心や進路に関係するテーマを設定するよう促しているのも、「やらされ感」による探究を避ける工夫だ。

 テキストは現在、『課題探究メソッド』改訂版(岡本尚也著、新興出版社啓林館)を使っているが、以前は20年度まで探究部長を務めていた田中直樹教諭が『これから研究を始める高校生と指導教員のために』(酒井聡樹著、共立出版)を参照しながらプリント教材を作っていた。他の教員も探究活動の指導は手探りのため、全員が同じような状態から取り組める意義があったという。

 一連の課題解決の流れが生徒の成長の姿として見えてくると、「教員の見方も変わってきました」と現探究部長の新井伸栄(のぶよし)教諭は振り返る。今春赴任した中村嘉宏教諭も「探究を核として、教科横断的に資質・能力を育成するカリキュラム・マネジメント(カリマネ)や授業改善を進めていきたいですね」と意気込む。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

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