カテゴリー 12020年採択

東京都立本所高等学校

対象者数 480名 | 助成額 200万円

https://www.metro.ed.jp/honjo-h/

Program「本所の探究~2030年を見据えた挑戦~」
SDGsを視野に入れ、自分の興味関心のあることを探究していくプロセスを通して、自ら考え行動し、自己の生き方在り方を見つめ、より良く社会を生き抜く力を育てる探究学習

1.探究の見え方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して未知の境遇においても主体的に課題を発見し、創造的、協働的に解決していくための資質・能力を育成する。

2.八つの学問分野から自分の興味関心に近い分野を選択し研究して発表する。生徒の興味・関心から問いを立ち上げ、その問いに「根拠」を添えて論文を書き上げる。

3.東京都教育委員会指定「持続可能な社会づくりに向けた教育推進校」として、 国連広報センターやユネスコと連携してSDGsについて学び、教科、行事、生徒会・委員会、部活動等全教育活動でSDGsに取り組む。

4.大学院生が月に1〜2回授業の補助に入り、助言等を行う。昨年度は墨田区商店街連合会と連携。大学研究室や外部研究機関への訪問を行う。

5.長期休業中に実施する希望者対象「マレーシア・ボルネオ島海外SDGs研修」を通して、自然環境や地域・地球規模の諸課題について自分事として捉え、探究心を育成する。帰国後に成果の報告会を実施し全体に還元する。(今年度は新型コロナウイルス感染症のため、行き先を国内に変更を検討中)

6.2030年の社会で活躍できる人材を育成することを目指し、自分が将来やりたいことを見つけ、主体的に進路を切り開いていく力を身に付ける。高大連携により、 学問を知り、学問への興味関心や研究意欲を高める。

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ALにSDGsを取り入れて

  東京スカイツリーが写る学校案内の表紙には、「探究の本所」のキャッチフレーズが掲げられている。「持続可能な開発目標」(SDGs)を視野に入れているのが特徴で、3年間を通して生徒に自ら考え行動し、自己の在り方生き方を見つめ、より良く社会を生き抜く力を育てることを通して、探究を柱とした学校改革を目指している。

 1年生では、産業能率大学が考案した授業に基づくガイダンスで視点を広げた後、「新書回転ずし」(5月、次頁の写真参照)で興味・関心を広げる。SDGs講演会(7月)や新書1冊の読了(夏季休業中)を経て、9月には、いずれもSDGsの17のゴールと結び付けた①自然科学②人文学・芸術③情報テクノロジー④社会科学⑤国際⑥健康スポーツ⑦生活科学(ライフスタイル)⑧地域活性化――の学問分野・プロジェクトから一つを選択する。
 選択後、各分野で大学や企業などの外部講師から講義を受け、調査・研究やフィールドワークを実施。12月には行動計画を作成する。2年生からは個人探究に入り、最終的には5000字の論文にまとめ、3年生でポスター発表会を行う。

 探究に取り組む前の本所高校では、インターンシップを中心とした総合的な学習の時間を行い、生徒にも落ち着きが見られてきた。しかし、主体性の欠如が次の課題として浮かび上がってきた。若手教員らが中心となってプロジェクトチーム(PT)が組織され、17年度から3年間、都教委からアクティブ・ラーニング(AL)推進校の指定を受けた。ちょうど同年度に異動してきた堀切哲也校長の提案で、19年度から「持続可能な社会づくりに向けた教育推進校」指定も受けることになった。

 探究部と進路指導部を合併した「進路・探究部」も発足。同校勤務が10年目となる安藤さよ子主幹教諭(進路・探究部主任)と、採用3年目ながら東京学芸大学の教職大学院生時代から同校に関わってきた直井良太教諭のコンビが中心を担った。
 ALの先進校視察で福島県立ふたば未来学園に行って刺激を受けたという直井教諭は「カリキュラムも重要ですが、同時に教員が思いを伝えることが大切です」と指摘する。
 当初は消極的だった教員も、変化する生徒の姿を見て変わっていったという。「私たちにも探究をさせてくれたことに感謝しています」と安藤主幹教諭。
 今後は「探究リーダー」に運営や進行を任せるなど、より生徒主体の活動にしていきたい考え。「中堅校のモデルになりたい」と堀切校長は意気込む。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

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