カテゴリー 12020年採択

神奈川県立光陵高等学校

対象者数 640名 | 助成額 200万円

https://www.pen-kanagawa.ed.jp/koryo-h/

Program「心やさしき社会のリーダー」へ、光陵の伝統とSDGsのミックスアップ!

 教職員を含めた教育資源、SDGsの視点と生徒の学びを融合(ミックスアップ)させることで、生徒に新しい視点を芽生えさせ、「心やさしき社会のリーダー」として、成長を促すことを実証していく。

 総合的な探究の時間(名称 :KU)において、生徒個々に探究活動を実施。探究活動における「テーマ設定」を重要視し、設定の種となるべく、各教科・科目等において探究的な学習活動を展開し、それを統合するのがKUであることを実証していく。

 さらにテーマ設定に「SDGs」を取り入れ、単なる生徒が持つ興味・関心だけでなく、「SDGs」と関連付けるように工夫する。生徒が「私の興味・関心が社会貢献につながっている」という自覚を持つことにより、生徒の自己肯定感の高まりが期待できると考える。また、横浜国立大学との連携を行っており、同教育学部附属中学校とは連携型中高一貫校である。その教育資源を活用し、探究活動の指導・助言や成果発表会を開催していく。

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社会貢献と自己肯定感の向上

  横浜国立大学の附属高校にする構想も含んで1966年に創設された光陵高校(当時は県立横浜立野高校山手分校)は、09年度から同大教育学部附属横浜中学校と連携型中高一貫教育を実施するとともに、中高大連携事業にも取り組んでいる。
 目指す生徒像を「時代を担う心やさしき社会のリーダー」に置き、▽高い目標に基づく、自ら課題を発見し解決していく思考力や判断力▽豊かな人格に基づく、他者と協働し対処していく力▽豊かな教養に基づく、社会に貢献する力――を育もうとしている。

 その中核となるのが、総合的な探究の時間「光陵ユニバース(KU)」だ。研究と発表の指針となる「KU研究ノート」は、学習のねらいや全体計画はもとより、研究と調べ学習の違いからテーマ決定の方法、文献調査や実験、観察、アンケート、インタビューの方法などを詳しく解説。現在11版の改定を重ね、「本校の財産になっています」(担当の久保田正芳総括教諭)。
 特に18年度から取り入れたのが、SDGsの視点だ。それにより、生徒の興味・関心を社会貢献につなげ、自己肯定感の向上にも寄与できると考えた。昨年度は1学年を対象に、一般社団法人イマココラボのカードゲーム「2030SDGs」を実施。教科・科目の学びがKUで統合されることで、生徒が多面的な視点でテーマを設定し、深い探究活動につなげることをねらう。キャリア教育としても期待を込めている。
 優秀な研究成果は「i‐ハーベスト発表会」(横国大主催、神奈川県教委共催)で発表する。中学生4人、高校生5人、大学院生1人が登壇するが、高校時代に代表を逃したOBが院生として挽回を果たすことも。19年度の発表会で石渡光さん(当時2年生)が発表した「ゴキブリで飢餓を解決できるか」は、実際に家でデュピア(アルゼンチンモリゴキブリ)数千匹を飼って食料生産コストや試食会で食用の利用可能性を追究した力作だ。

 このように生徒の心のエンジンを駆動させられる背景には、新しいアイデアも気軽に提案できる校内の雰囲気があるという。「教職員が生き生きと探究して『楽しい』と目を輝かせることが、生徒の探究活動を推進することになる」と小島淳子校長は話す。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

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