カテゴリー 22020年採択

一般社団法人 i.club

対象者数 100名 | 助成額 850万円

http://innovationclub.jp/

Programinnovation GO
~全国を舞台にイノベーションに挑む、高校生のためのオンライン教育プログラム~

 高校生が全国を舞台にイノベーションに挑むことで、自ら「問いを見つけ」「問いを深め」「心のエンジンを駆動させる」オンライン教育プログラム。

 具体的には、高校生がイノベーション(innovation)に挑むこと(GO)を目的に、日本の各地の新たな人・物・事に出合う「冒険編(問いをみつける)」と、冒険での発見からイノベーションに挑むプロジェクトを立ち上げる「実践編(問いを深める)」の二つをオンライン上で実施。高校生が全国を舞台にイノベーションに挑むためのオンラインプラットフォームを目指す。

・冒険編
オンライン上で参加高校生を公募。オンライン上で六つの地域を隔週で巡りながら、イノベーションに挑むことを目的とした、新たな人・物・事に出合うプログラムをZoomで実施。

・実践編
「冒険編」で実施した各地域につき、一つの高校生チームを選抜(6チーム)。各チームはイノベーションに挑むプロジェクトを立ち上げる実践を、メンタリング(3回程度)と地域への追加インタビューも併せてオンラインで実施。2021年2月にプロジェクト成果発表会をオンライン上で実施。

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全国各地とオンラインでつないだ「イノベーション」プログラム

 オンラインで全国各地とつながり、今までに会ったことのない人、見たことのない物、聞いたことのないことに出合い、イノベーション(=未来をつくるアイデア)を考え、形にしていくプログラム「innovationGO」。運営するi.clubを立ち上げたのは、代表理事を務める小川 悠さん。東大大学院時代にイノベーション人材を育成する大学のプログラムに参加した小川さんは、東日本大震災の支援のため、気仙沼の高校生に自らが受けた教育を実施。これに手応えを感じ、イノベーションにチャレンジすることで、未来をつくる力を育む教育(イノベーション教育)を全国で展開していく組織として2012年に一般社団法人i.club(innovation clubの略)を立ち上げた。各地の学校や自治体と共にイノベーション教育を展開していた中で、全国の高校生を対象にしたオンラインプログラムinnovationGOを2020年にスタートした。

  同プログラムは、大きく分けてFINDとMAKEという二つのコースに分かれている。FINDコースでは全国6地域(20年度は10地域)のプログラムが用意されており、エントリーした高校生たちは各地域のナビゲーターがローカル・プレーヤーにインタビューするオンラインライブを見ながら、「面白そう!」「やってみたいかも?」と思えることを見つけていく。ナビゲーターは、i.clubが約10年の間に全国各地で築いてきた人脈から、地域を熟知し教育にも関心が深い方にお願いし、ローカル・プレーヤーの人選もお任せしているという。「ローカル・プレーヤーは、現地で活動している生産者や事業者の方々。地域のアツい人は地元の人が一番知っていますから。私たちが現地で調整していたら、これだけ多くの地域では展開できなかったでしょう」(小川さん)。

  MAKEコースでは、大学生メンターと共にそのアイデアを形にしていく。FINDを受けていなくても、インタビュー動画を見てMAKEから参加をすることもできる。最後にはinnovationGO FESで全国の高校生たちが集まり、「やってみたい!」アイデアをプレゼンし、大賞を決めていく。20年度にはFINDに47人、MAKEに48人、21年度はそれぞれ64人と21人が参加している。i.clubの神田大樹さんは、「応募理由を見ると、学校で地域のことを調べているので他の地域のことも知りたい、自分で進めているプロジェクトのヒントを得るためにもっといろんな人に出会いたいと、いう声があります。学校も楽しいけれども、それだけでは物足りないという子たちがいるのではと思っていたのですが、まさにその狙い通りの子たちが集まっている感触があります」と話す。

全国から集まったinnovationGOの参加者たち

各地とオンラインライブで結び、ナビゲーターによるローカル・プレーヤーへのインタビューを実施。

FINDのキックオフでは、イノベーションの“作法”やグラフィックレコーディングの仕方などを高校生に伝える。インタビューやフェスのプレゼンの様子は、プロのグラフィックレコーダーに書いてもらい、楽しく振り返えられるような工夫も。

2021年度のinnovationGO FESの大賞を受賞したのは、神奈川県からの参加者が提案した沖縄のパッションフルーツを使ったお土産物の提案。

「新しい切り口」でプログラムを設計

 イノベーションという言葉には「新しい切り口」という意味もあるが、innovationGOには「新しい切り口」が随所に見られる。その一つが全てのプログラムが、オンラインかつスマホで完結できるように設計されている点だ。プログラムの開始はコロナ禍の時期と重なったが、「オフラインの代替としてのオンライン」という発想は最初からなかったという。「全国の高校生を対象に、全国各地とつながるプログラムをオフラインで実施するならば、地理的・金銭的問題は必ず生じるため、それらを解決できるオンラインの強みをとことん生かした設計を目指していました」と小川さんが話すように、オンラインだからこその強みを生かしたプログラムになっている。またスマホだけでも参加できるようにすることで、高校生たちの参加ハードルを低くした。実際半数以上がスマホのみで参加しているという。

  もう一つがブランディングだ。「私たちにとっても今回は初めての公募プロジェクト。“分かりやすさ”と“参加意欲をかき立てる魅力”を出していくためにはブランディングが重要だと考え、外部デザイナーと共に時間をかけて、innovationGOのロゴ、キャッチコピー、ウェブサイトを作っていきました」(小川さん)。サイトトップページでは「今しかできない、冒険に出よう。」というワクワク感を醸すキャッチコピーを前面に出し、FINDの情報は赤、MAKEは青をベースカラーにした“尖った”デザイン、アクティブな印象を与える動きやページ変遷で作られている。情報発信もTwitter、Instagram、FacebookなどのSNSから発信するだけでなく、2年目からは広告も打ったり、プレスリリースを配信するなど、広報活動にも力を入れている。

 20年度末からは、学外の公募型のプログラムに加え、「教室から」全国各地とつながるという意味を込めた「innovationGO from Class」という学校向けのプログラムを2校で展開。タブレットを活用しながら、地域と教室をオンラインで結び、1校ではコロナ禍で行けなくなった修学旅行の代わりとして3日間で気仙沼・富山・壱岐を、もう1校では1日コースで福島・広島・岡山を回り、インタビューの後に、グループでアイデアを出し合い、発表という形で実施した。生徒アンケートでは3分の2が「他の地域への関心興味が湧いた」と答え、教師からも高評価だった。

「もともとinnovationGOは学校現場での展開も考えて設計していました」と小川さんは話す。「これまで学校現場で活動してきた中で感じたのが、地域における探究環境の格差で、私は『探究格差』と言っています。探究活動を行う際、探究対象の素材やサポートが得られやすい地域とそうでない地域があり、高校生は選ぶことはできません。こうした探究格差を解消するのがinnovationGOです。地元になければ外に探しに行けばいい、という選択肢を社会に提示したいという想いがありました」。22年度も学校でのトライアルも実施していく予定だ。

innovationGO from Classの様子。広島のレモン農家のインタビューをオンラインでつないだ際には、あらかじめ取り寄せておいた農家さんのレモンを生徒に実際に手に取ってもらいながら、話を聞いてもらった。

innovationGOの事務局を務める小川さん(左)と神田さん(右)。全国を舞台にした理由を、「他の地域に行ったり知ったりするから、改めて地元の良さに気づいたりしますよね。また自分と同じ考えや思考を持つ子は今身の回りにいないけれども、全国のどこかにはいるかもしれない。全国の同世代の子たちとつながりを持てるプログラムをしたいと企画を温めていました」と話す。

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