カテゴリー 12024年採択

北海道札幌西高等学校

対象者数 960名 | 助成額 200万円

http://www.sapporonishi.hokkaido-c.ed.jp/

Program総合的な探究の時間(WRAPS)次世代リーダーへの轍づくり
~さあ、冒険しよう。問いが人を突き動かし、問いが世界を変える~

 本校の探究(WRAPS)は、生徒の興味関心・やりたいことを核としたテーマ設定をしている。企業・大学研究機関、他校と連携し、多様な人が学校に「ふらっと&flat」来ることができる環境を構築して、刺激を与える。さらに、高校生自身が会いたい人、行きたいところを見つけ出した場合は、「ふらっと&flat」地域に出るシステムも構築されている。

 また、WRAPSの時間では、探究の過程(問いの発見→仮説→検証(アクション)→リフレクション→言語化)のサイクルを大切にし、高校生自身が「今何をしたいのか、何をすべきなのか」を自然と考える環境となっているため、個別最適化を実現したプログラムである。

 様々な「出会い」を作るために、外部講師等を招聘して、生徒自身が見たこと・感じたことのない見方・考え方に触れ、生徒自身の探究や学び、生き方や在り方につなげていく。さらに、「探究リーダー育成研修(仮)」として東京研修を実施する。東京研修では、大学・企業訪問を主に行う。企業からは事前に課題をもらい、課題解決策を考え、提案する。また、大学では、探究に向かうマインドや場づくりなどを学び、今後の探究につなげる。東京研修に参加した生徒は、全体に還元するために事後発表を行い、さらに、「WRAPS最終発表会」の企画・運営も行うプログラムである。

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活動レポートReport

自走する探究者を育て探究文化の醸成を目指す

「自由・自律・叡智・創造」を校訓とし、創立110年を超える道内屈指の進学校として知られる。「総合的な探究の時間」の充実を図り、校内および北海道全体に探究文化を醸成することを目指している。「教科の学びも含め、卒業時には“一生涯、探究したい”と自走する探究者を育てたい」と、教務部の舘龍之介教諭は言う。

 同校の総合的な探究の時間である「WRAPS(West Rising Active pleasure Study:ラップス)」は2021年度に始まり、4年目を迎える。生徒の興味・関心、やりたいことを核にテーマを決めて進める、個人型の探究だ。1学年8クラスの規模になるため、校内体制は探究チームと学年副担任を合わせた20名で学年に伴走。また、同窓会「輔仁会」の協力も得て、様々な外部との連携を進め、生徒が多様な出会いや刺激を受けられる環境を構築してきた。

 WRAPSではすでに、社会に向けたアクションが生まれている。「食品ロス削減」「人が落ち着く空間とは」「購買意欲はどう喚起されるか」など別々の課題を持った生徒4人が、カフェのお試し運営をする中でテーマを仮説検証した例もある。

 こうした生徒の経験や探究の深まりをすべての生徒に広げていきたい、というのが同校の願いだ。そこで、2025年度からは1学年前倒しして、1年生1単位、2年生2単位、2年生は2時間(6・7時間目)、1年生は1時間(7時間目)に設定してWRAPSを展開する予定だ。1年生前半は「好奇心の解放と問いの発見」、後半は「協働による探究の深化」を、2年生では「探究の深化と新たな挑戦」をメインテーマとしてプログラムも整理していくという。また、教員の探究スキル向上のために、先進校視察は広く教員が参加できるようにした。

 今年度の注目の企画は、1・2年生を対象にした「探究リーダー養成研修」だ。2泊3日で東京の企業や大学を訪問。実社会で探究する社会人との出会いから、生徒の発想力や思考力などを刺激しようというもの。参加者は校内プレゼンを経て選ばれた16名で、事前学習・事後報告会の企画も任されている。

 彼らが探究のリーダーとなり、周囲に探究の面白さが伝われば、「同級生や後輩、卒業生や保護者、地域にも探究文化が広まっていく。それが生徒自身のキャリア形成にもつながるのが理想」と舘教諭は期待を込める。

「努力とは何か」。WRAPSでは1・2年生が哲学的な対話する場面もある。

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