Program向陵Plearning~ともに創る未来への一歩
「向陵plearning」は向陵の地で、答えのない未来社会に立ち向かう自信と行動力とを育むことを目指す探究プログラムである。
本校生の多くは、将来興味関心ある分野で専門性を身につけ、社会貢献したいという強い希望を持ち、日々熱心に学習している。「向陵plearning(プラーニング)」は、生徒ひとりひとりが自身の興味関心と出会い、深め、探究し、社会へ踏み出す力を支援するプログラムである。「自分を知り、他者とつながり、ともに作り上げ、一歩踏み出す」ことができる人材を育てることを目標としている。「本と出会い、本をもとに人に伝え、本を通じて学問、社会とつながる」「体験(触れる)」「協働(ともに学ぶ)」を三つの柱を備えている点が特徴である。
2年生の夏休みには「アカデミック・インターンシップ」に参加し、グループ毎にテーマに合う大学や研究機関を直接訪問し、講義やゼミ、実験や大学生活の体験を通してテーマを探究する。探究したテーマは「中間発表会」を経て、全校発表会「向陵オープンセミナー」で熱い質疑応答を交わしながら共有される。
各個人の興味関心をもとに県内外の大学・研究機関、地域の小学校と創造的連携を行うことでより効果を上げる仕組みを推進する。



活動レポートReport
本を通じた学びを分かち合い社会とのつながりを育む
杜の都を眼下に見る丘陵の地で、約半世紀にわたる歴史を積み重ねてきた仙台向山高等学校では、全国に先駆け1999年から実践的なキャリア教育「向陵プラン」を開始。これをベースに、2018年に新たな探究学習体系へと発展させたのが「向陵Plearning」だ。「この20年で社会環境や生徒たちの傾向が変化したことを踏まえ、全職員参加で育てたい生徒像を描くグループワークを実施。『マニュアルのない社会において、考える力と表現力を備えて主体的に活動できる生徒』を育てるために、フォーカスしたのが本との出会いでした」と、主幹教諭の早坂晴子先生は振り返る。
向陵Plearningは、生徒一人ひとりが自身の興味・関心と出会い、深め、探究し、社会へ踏み出す力を養うべく、段階的な学びが設計されている。1年次は「興味関心と出会う」をテーマに、書評合戦「ビブリオバトル」や「ブックトーク」を実施。自身の興味・関心を言語化し、相互に伝え合う学びを経験し、興味・関心を同じくする生徒同士が3~7人のグループを形成する。
2年次は「学問・社会と出会う」をテーマに、グループごとに本からの学びを伝え合う「グループブックトーク」で探究を深めた後、夏休み期間中に「アカデミック・インターンシップ」に参加。グループごとのテーマに沿った大学・研究機関を訪問して講義やゼミなどを体験する。その成果は全校探究発表会「向陵オープンセミナー」で共有された後、原稿用紙18枚に及ぶレポート作成によって深掘りされる。
3年次は「未来に向けて発信・行動する」をテーマに、個人として探究成果を発表する「パーソナル・プレゼンテーション」を通して、互いの興味・関心を共有し、尊重し合いながら学ぶ姿勢と資質を育んでいく。
「ある生徒が『読書は一人で楽しむものと思っていたが、本校での経験を通じて、読書で得た学びを共有する喜びを知った』と語っていたのが印象的」と早坂先生が語るように、一連のカリキュラムを経て、生徒の学ぶ姿勢には大きな変化が見られる。
「本校は卒業後に進学する生徒がほとんどですが、大学に入って終わりではなく、進学後に社会とのつながりを考えながら成長していける生徒を送り出したい。そのためにも、大学・研究機関との連携強化はもちろん、地域の小学校でのビブリオバトルなど、外部との連携の輪をさらに広げ、共に新たな価値を生み出す“創造的連携”を深めていきたいですね」(早坂先生)。

毎年秋に開催される「向陵オープンセミナー」の大きな特徴が、質疑応答の激しさだ。生徒からの積極的な発言・指摘が、来賓の研究者を巻き込み、熱い議論が繰り広げられている。この場を通じて上級生から下級生へと受け継がれていく「質疑応答の力」が、同校生徒の強みになっているという。