カテゴリー 12024年採択

学校法人 常盤木学園高等学校

対象者数 474名 | 助成額 200万円

https://www.tokiwagi.ed.jp/

Program未来を拓くアントレプレナーシップ教育「スタートアップ」

 サスティナブルな世界を構築するために奮闘する起業家の実践事例に数多く触れることで、次代の社会の創り手を育成することを目的としたプログラムです。思考法やメソッドだけではなく、生きがいや挑戦心をも育むことのできるプログラムだと自認しています。

 2022年度新学習指導要領施行に合わせて毎月1回土曜日午前中3時間、1単位相当の学校設定科目としてプログラムをスタートさせました。担任がメンターとなり、1年生の4月から8月は尾瀬自然学校を通した探究メソッドの習得、9月から11月は起業家講演、12月から3月は学校の魅力創出・課題解決テーマにグループワークとピッチ大会を行いました。ピッチ大会においては校長、副校長が審査員となり、生徒の提案について直接実施の可否を判断しています。

 2年生では仙台市内にある大型シェアオフィスに赴き、3名の起業家によるピッチ、パネルディスカッションを実施。6月から2月まで起業家をメンターにした起業プランを作成・発表し、2年間の集大成とします。

 このプログラムを受講することで、どのようなキャリアを重ねていったとしても主体的に社会や地域の課題に取り組む姿勢や力を醸成していきたいと考えています。

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社会が変わるのを待つのでなく、自ら社会を変革できる人材を育む

 1928年に私学女子高として誕生して以来、「自由と芸術」の精神のもと、社会で力強く活躍できる女性の育成に努めてきた常盤木学園高等学校。同校では、社会課題の解決に必要な思考力・行動力を身につける探究活動に注力し、2019度から「21世紀『わたし』デザイン」と名付けた独自の教育プログラムを展開。これに加えて、2022年度からの新学習指導要領施行に合わせて導入したのがアントレプレナーシップ教育「スタートアップ」である。

 本プログラムは、普通科1~2年生を対象に毎月1回、土曜日の3時間を1単位相当の学校設定科目として実施するもの。1年次には、起業家による講演やワークショップなどを通して起業マインドや実践方法をインプットした上で、「学校の魅力創出」をテーマにしたグループワークなどを行う。ここで培われた知見を基に、2年次には仙台市内のコワーキングスペースを訪問し、起業家の活動を目の当たりにしながら、自ら起業プランの作成などに挑んでいる。

 主幹教諭である植木規裕先生は「2年にわたるプログラムを経て、生徒たちの社会やキャリアに対する意識に大きな変化が見られます」と確かな手応えを語る。「例えば、総合型選抜を利用して進学する生徒が増えるとともに、論文や面接に際してプレゼンテーション能力の向上が見られます。また、志望校への入学自体を目的とするのでなく、社会に出てやりたいことが明確にあって、それを実現するためにこの大学に行きたいというように、キャリア意識が具体化・明確化している生徒が増えています」。

 こうした取組のかいあって、最近では本プログラムを受けたいと同校への入学を希望する中学生や保護者も増えているという。同時に、地域の産業界や大学との連携も拡大。例えば、東北大学が主催する高校生向け起業体験プログラムへの参加を機に、同大学から研究者を招いてインプットの充実を図るなど、地域ぐるみで次世代を育成する環境が生まれつつある。

「近年、社会における女性活躍が促進されつつある一方で、いまだ『ガラスの天井』と呼ばれる状況も根強く残っています。そうした現状を踏まえ、誰かが環境を変えてくれるのを待つのでなく、自ら主体的に価値を生み出し、その価値を発信して社会を変えていける人材を育てていくことが本校の使命だと考えており、本プログラムは、そのきっかけになり得るものだと期待しています」と植木先生は力強く締め括った。

2024年5月には、2年生リバティコース全員が仙台市のコワーキングスペースを訪れ、3名の女性起業家によるプレゼンやパネルディスカッションを体験。生徒からは「今後の進路を考える上で参考になる話を聴けた!」という声が多数挙がっていた。

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