カテゴリー 12024年採択

山形県立小国高等学校

対象者数 50名 | 助成額 100万円

https://www.ygt-oguni-h.ed.jp/

Program白い森未来探究学 ~地域に誇りと愛着をもち、
グローカルな視点で地域創生に挑む人材の育成~

 総合的な探究の時間と「全国高等学校小規模校サミット」の2つを軸に、地域に誇りと愛着をもち、グローカルな視点で地域創生に挑む人材の育成を目指す。

 総合的な探究の時間は、地域文化学」(1年)、「地域実践学」(2年)、「地域構想学」(3年)から構成される。地域の「人、もの、こと」を知り、そのよさを生かして地域課題の解決に取り組み、地域づくりに貢献できる資質・能力(主体性・挑戦心・協働力)を育成することを目指す。「地域文化学」では、①地域の自然や文化、産業を知り、地域づくりにキラキラと輝いて活動している大人の生き方に触れることで、自分の興味関心を高めていく活動、②多様な考えや価値をもつ他者を理解し、合意形成し、情報発信するためのスキルを身に付ける活動を行う。「地域実践学」では、1年時に知ったこと、興味をもったことを基にしながら、小国町をフィールドに個人探究(マイプロジェクト)として地域課題解決に挑む。

「全国高等学校小規模校サミット」は、日本各地の小規模高等学校の生徒が小国高校に集い、①各校・地域が抱える課題について意見交換しネットワークをつくること、②将来それぞれの地域で活躍する資質・能力や協働意識を育成することを目指して開催する。

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地域に開かれた環境を活かし地域で活躍できる人材を育む

 マタギ文化に象徴されるように、古くから自然と人間が共存してきた山形県小国町。豪雪など厳しい自然の中で暮らすため、住民同士が支え合う風土が醸成されており、町で唯一の公立高校である小国高等学校に対しても、地域ぐるみで生徒を育む環境がある。「2017年に(高校で)東北初となるコミュニティ・スクールの指定を受け、学外支援者と密接な連携が取れており、赴任当初は驚かされたほど」と教頭を務める舟山知美先生は語る。

 こうした地域に開かれた教育環境を活かし、同校では地域創生に取り組むための主体性や挑戦心、協働力を育む探究学習に注力。1年次は、地域をフィールドに興味・関心を高めながら基礎的な探究スキルを培う「地域文化学」。2年次は、生徒が個々にテーマを設定し、地域と交流しながら探究に取り組む「地域実践学」。そして3年次は、自身の将来像を踏まえ、地域課題解決への方策を提案する「地域構想学」と、段階的かつ実践的な探究学習を行っている。

 本プログラムのもう一つの柱となるのが、2018年度からスタートした「全国高等学校小規模校サミット」だ。「本校は全校生徒約70名の小規模校であり、同様の課題を持つ全国の高校生との交流を通じて、地域の将来に向けて何ができるかを考える機会となっています」と舟山先生は話す。

 他地域の生徒との交流による気づきもさることながら、ホスト校として生徒自身が企画・運営を担うことで得られるメリットも大きいという。「もともと生徒の発案から始まった活動で、当日の司会などもすべて生徒が担っており、コミュニケーション力やファシリテーション力など、多くの関係者と連携しながら課題解決に取り組むための資質が磨かれています」(舟山先生)。

 小規模校には「出会いが少ない」「閉鎖的」といったイメージを抱きがちだが、同校には探究活動を通じた地域の大人たちとの交流や、海外研修や国際教育による外国の学生たちとの交流、さらには全校生徒の4人に1人を占める他地域からの留学生との交流など、多様な価値観に触れる環境がある。加えて、小規模校だからこそ一人ひとりに出番があり、それぞれの役割を果たす中で、社会の一員としての自覚を育んでいるという。「地域規模の視野を持ちながら、地域社会で活躍できる人材を育成・輩出することが本校の使命。今後も地域と連携しながら、より充実したカリキュラムをつくっていきたい」(舟山先生)。

コロナ禍のためオンラインでの開催だった時期もあるが、2022年度からは集合形式で開催された「全国高等学校小規模校サミット」。2024年度は8県13校から112名が集まり、各地域の課題や探究活動の報告などを通じて互いに刺激を与え合ったという。

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