カテゴリー 12024年採択

栃木県立那須高等学校

対象者数 78名 | 助成額 99.4万円

http://www.tochigi-edu.ed.jp/nasu/nc3/

Program地域社会の未来を担う人材育成のための
「那須高校・魅力化プロジェクト」

 本校は、栃木県那須町に所在する全校生徒223名(普通科・リゾート観光科)の小規模校である。

「那須高校・魅力化プロジェクト」は、「総合的な探究の時間」を軸に展開される。本校生徒が、那須地域の魅力や課題についての様々な現状を知り(インプット)、それらの発展や解決に向けて自らの考えを発信する(アウトプット)プロセスを経験することで「地元でがんばる力」の育成を目指している。大きな特徴は、学校と那須町、その両者をつなぐ高校魅力化コーディネーターの3要素が関わりあうプログラムであること。特に、本プロジェクトのメイン活動である『那須まち人物図鑑』はコーディネーターと本校生徒・職員の協働製作であり、多方面から高い評価を得ている。本校生徒が那須地域で働く魅力的な職業人とインタビュー活動を通して触れ合うことで、地元で働く喜びや価値を見出すきっかけとなっている。今後は、現状で行っている『那須まち人物図鑑』の配付に加えて、地域にむけた成果発表会や県外での広報活動などを実施し、生徒が那須町・那須高校の魅力を広く発信する手段としてさらなる発展を目指していきたい。

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活動レポートReport

街の「人物図鑑」作成を通して地域と自分の未来を考える

「地域資源を活かした探究活動と個に応じた学習を通して、新たな可能性を見つけ、地域社会を支える人材を育成する学校」をスクール・ミッションに掲げる栃木県立那須高校。2017年に那須町とパートナーシップ協定を結び、2020年度から3年間は、栃木県の「未来を創る高校生地域連携・協働推進事業」の指定を受け、地域連携に特化した高校魅力化プロジェクトを実施してきた。

「総合的な探究の時間」を中心としたプロジェクトは、高校魅力化コーディネーターと生徒、教職員が力を合わせ企画・実施してきた。ちなみに栃木県内で高校魅力化コーディネーターが配置されているのは同校だけで、校内や那須町役場との打ち合わせが密に行われ、地域に根差した取組を成功させている。

 中でも、最も特徴的なプログラムが「那須まち人物図鑑」の作成だ。那須地域で活躍する魅力的な職業人を生徒が取材し、冊子にまとめるプロジェクトで年間約2500部を発行する。4回目の発行となった2024年度は1年生が制作を担当。従来の学校での取材から、実際の職場を訪問した取材へと発展させた。

 11月には「飛び出す人物図鑑」として文化祭での展開も行い、取材した人たちを招き出店やワークショップを実施した。生徒はコーヒーショップ、パン店、那須どうぶつ王国など、自分が取材した職場の人たちと共に販売や運営を行った。「生徒たちは自分がインタビューした人と一緒に、地域を盛り上げていこうという実感が持てた。人物図鑑でつながりを持ってきたからこそ、新たな文化祭の形と探究のあり方が発見できた」と、須藤千春主幹教諭は振り返る。

 3年生の約7割が就職を希望する同校において、人物図鑑の取組は進路意識向上に直接的な効果があるという。地域連携担当で、24年度に3年生を担任した竹林悠教諭は「現役の社会人へのインタビューで得た仕事への思いを自分事にして、自らの言葉で表現することで、より説得力のある志望動機を作成できるようになった」と、生徒の変化に目を見張る。

 2025年度は縦割り班の導入や、広報活動の強化、人物図鑑サミットの開催など新たな展開を計画中だ。地域との連携をさらに深め、小規模校の先進的モデル「スーパー・リージョナル・ハイスクール」を目指したい考えだ。

「人物図鑑」の初校を確認する1年生。

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