カテゴリー 12024年採択

栃木県立佐野東高等学校

対象者数 589名 | 助成額 200万円

https://www.tochigi-edu.ed.jp/sanohigashi/nc3/

Program啓(Kei)~未来をひらく~

 探究型キャリア教育「キャリアプロジェクト啓~未来をひらく~」は、3 年間を通じてありのままの自分に向き合うプログラムである。 “Kei”という呼称が定着した「総合的な探究の時間」での地域との連携活動は、本校のミッションである「地域社会の発展に貢献できる人材の育成」の達成を目指すものである。

 1年次では、地域探究として、地域の人的・物的資源とのコラボレーションによる新商品の企画開発にチャレンジする。2年次では、機械・自然科学・建築土木・電気電子・まち・国際・教育・こども・栄養・医療の10のゼミで活動し、大学や市役所など地域との連携や協働により、個々の課題を深める。3年次では進路実現に向けた実践編として、これまでの自分を振り返り、これからどう行動していくかを保護者・教員の前で語り、大学等の受験に挑む。1年次より生徒一人ひとりが課題に取り組み、ポスターセッション等のアウトプットの経験を積み重ねている。また、多くの他者との関わりが、社会の一員としての自分の存在意義を認識し、社会に貢献しようという意識の醸成につながっている。自分自身を見つめ、社会の一員として未来への一歩を踏み出すためのプログラムである。

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活動レポートReport

「好き」を起点にした探究型キャリア教育

「知を啓き 心を啓き 新しい伝統の扉を啓く」という教育理念を表す校是「啓」にちなみ、探究型のキャリア教育プログラム「啓(Kei)~未来をひらく~」に2023年度から取り組んでいる。地域の発展に貢献できる人材育成を目指し、各学年に応じたキャリア形成のためのプログラムを展開してきた。

 1年生では地域の魅力と課題に向き合う活動を通して、他者の考えを知り、地域への理解を深める。文化祭「葉聖里祭」での活動を中心に、地域の商工会議所と連携したキッチンカープロジェクトを実施。各クラスに2万円の予算が与えられ、商品の企画から提案まで行い、実践的な探究活動を展開する。利益を上げることが目的ではなく、からあげ、ワッフル、水餃子などの地域のキッチンカー業者と打ち合わせを繰り返しながら、自分たちの思いを形にするまでのプロセスを楽しく経験するのが狙いだ。

 2年生は大学や企業、市役所等と一緒に課題に向き合う活動を通して、社会課題の解決に「当事者性」を発揮するのが目標。興味・関心に応じて10のゼミに分かれ、大学や市役所などとの連携のもと研究活動を開始する。2024年度は2学期に「KeiプロDay」という特別な日を設け、全ゼミが実地研修を行った。例えば「機械ゼミ」は足利大学工学部を、「まちゼミ・国際ゼミ」は佐野市の地域おこし協力隊を訪問するなどして、取組の最前線を見学。各自の研究へのアドバイスももらった。3学期のKeiプロジェクト発表会では外部関係者も参加し、リフレクションに力を入れた。

 3年生では進路に向けた実践が中心になる。生徒は三者面談の際に、これまでのKeiプロを振り返り、大学等で学びたいことや将来について保護者や担任にプレゼンテーションをし、進路意識や学習意欲の向上につなげている。

 同校が大事にしているのが生徒の興味・関心から始まる探究だ。以前は、社会課題に直接的に取り組もうとするあまり、研究テーマが壮大になりがちで生徒たちが混乱してしまう傾向があった。現在は生徒の興味・関心を出発点とし、そこから自然に社会課題へと視野を広げていくことを目指している。「“好き”の先に、世の中の課題が見え、自分たちはそれを解決したいのだと思ってくれるといい」と、担当の金澤仁美教諭は話す。2025年度は、卒業生や大学生をメンターとして活用する新たな取組も検討したいとしている。

ポスター発表会ではシールによる生徒の相互評価を取り入れた。

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