カテゴリー 12024年採択

東京都立小金井北高等学校

対象者数 500名 | 助成額 200万円

https://www.metro.ed.jp/koganeikita-h/

Program未来を創るCOKITA

 本プログラムは生徒の個人探究を通して、COKITA(COaching コーチング、K/Critical クリティカル、Innovative 革新的、Teamwork チームワーク、Autonomous 自律的)の能力を育み、学びを楽しみ、そして未来を創造していく小北(小金井北の通称)生を輩出することを目的とする。

 1学年では個人探究のテーマ設定を目標とし、新書ビブリオバトル、講演会、大学や施設訪問などの活動を通して学問に触れ、知識を深める。また、オリジナル教材やSFCフォーラム主催の「論理コミュニケーション」を使用して、生徒の批判的・論理的思考力や表現力を育成する。

 2学年の個人探究では、生徒が教員や大学(院)生などからチュートリアル(個人指導)を受けて、論文を執筆する。また、生徒は分野別のゼミにも所属し、自らの探究についての発表や議論を行い、互いの探究プロセスを深める。3学年では、個人探究を継続したい生徒に対して、内外で発信していくための機会やリソースを提供する。

 年度末には成果発表会を開催し、個人探究の成果を下級生に継承し、地元の人々や他校の生徒・教員に向けても発信していく。

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生徒自らがテーマを見いだし 自走していけるプログラムに

 1980年の開校以来、「創造」「自律」「努力」を教育目標に掲げ、次代のリーダー育成を目指してきた小金井北高校。都の教育委員会から進学指導推進校の指定を受けるとともに、東京学芸大学との連携による教員養成プログラムを推進するなど、特色あるカリキュラムを実施し、年々進学実績を向上させる一方で、生徒の学びの姿勢に対しては課題意識もあるという。「成績面では優秀なものの、受け身の生徒が多く、特に面接の指導では自発的な意思表示が乏しく、大学や社会に出て活躍できるのかという懸念がありました」と進路指導を担う岡本鋭和先生は話す。

 そこで、探究学習の深化が求められている社会情況も踏まえ、2023年度から「コーチング」「クリティカル(批判的)」「イノベーティブ(革新性)」「チームワーク」「オートノマス(自律的)」といった、同校が生徒に身につけさせたい資質の頭文字を取ったCOKITA(=同校の愛称である「小北」)プログラムを開始した。複数の高校で探究学習を担った経験を活かし、岡本先生と共にプログラムをけん引する山村貴之先生は、その方向性を次のように語る。「以前の学校での経験から、より良い問いを立てるには、まず知識のインプットが必要と考え、1年次には新書ビブリオバトルや講演会などを通して知識を広げ、そこから自身が興味・関心を持つテーマを見つけることを重視。そうして見いだしたテーマについて2年次で探究を深め、論文を執筆するというプロセスとしました」。

 同校が重視しているのが、教員の異動があっても同レベルで継続できる持続可能なプログラムにすること。ほぼ全教員が論文指導を担当することで、ノウハウを全校で共有するとともに、独自に作成した論文作成用のフレームワークを配付するなど、生徒が自走できる仕組みづくりも進めている。また、上級生の探究成果は数回にわたる発表会で下級生にも共有されるため、年度を重ねるごとに探究の深まりが期待できるという。「最近では、探究成果をまとめたポスターを市民活動センターに掲示するなど、発表の場を学外にも広げており、在校生のモチベーションになると同時に、地域社会や小中学生に向けた魅力づくりにも活用しています。本校の探究活動は端緒についたばかりですが、下級生や新入生に受け継がれる中で、地域との関りを深めながら進化させていきたい」との両先生の思いが、確かな実を結ぶことを期待したい。

島袋 浩次(ライター)

2年生の探究成果発表会で大きな関心を集めたのが「大豆ミートの普及」。発表した生徒は、当初は探究活動に消極的だったものの、興味を持てるテーマに出会ったことで、自らメーカーに取材するなど、学ぶ姿勢に大きな変化が見られたという。そうした変化が、見学していた1年生も含め、周囲の生徒たちに波及することが期待される。

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