カテゴリー 12024年採択

神奈川県立横浜瀬谷高等学校

対象者数 951名 | 助成額 200万円

https://www.pen-kanagawa.ed.jp/yokohamaseya-h/

Program総合的な探究の時間「未来共創プロジェクト」を教育課程の
中核とするカリキュラムマネジメント
~「持続可能な社会の創り手として、
これからの社会で活躍できる資質・能力」の育成を目指して~

 神奈川県立横浜瀬谷高等学校では、学校教育目標である「持続可能な社会の創り手として、これからの社会で活躍できる資質・能力の育成」を目指して、3年間の体系的な総合的な探究の時間「未来共創プロジェクトⅠ・Ⅱ・Ⅲ」を、教育課程の中核に位置付けている。そして、総合的な探究の時間を各教科・科目や特別活動と関連付けるカリキュラムマネジメントを行い、教育課程全体での資質・能力の育成を目指している。

 総合的な探究の時間「未来共創プロジェクトⅠ・Ⅱ・Ⅲ」では、地域・社会課題の解決に向けて、横浜瀬谷高校独自で構築した産官学民との連携・協働による「未来共創コンソーシアム」と新たな価値を共創し、実際に行動する“都市型の地域・社会課題解決学習”に取り組んでいる。各学年の探究課題としては、1学年は学年共通の社会課題「Green×EXPO2027を控える瀬谷の魅力化」、2学年は食品ロス削減や脱炭素、サーキュラーエコノミーなど14の「テーマ別の社会課題」、3学年は「個人の興味・関心に応じた社会課題」を設定しており、調べ学習や課題解決の提案に留まるのではなく、実際に課題の解決に向けて「行動する」という課題解決の実践を重視することとしている。その際、よき伴走者として、横浜瀬谷高校独自で構築している産官学民との連携・協働による「未来共創コンソーシアム」を活用している。

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都市型探究で真正の学びを経験

 横浜瀬谷高校は、「未来共創プロジェクト」(総合的な探究の時間)を、持続可能な社会で活躍できる資質・能力の育成を目指し、教育課程の中核に位置づけている。このプロジェクトは、瀬谷高校と瀬谷西高校の統合を機に始まり、前身である瀬谷西高校の取組を継承しつつ発展してきた。

 50以上の企業や行政機関、大学、民間団体などで構成される「未来共創コンソーシアム」を形成し、生徒たちは地域の人々と新たな価値を共創する学習を通じて、都市型の地域課題解決に取り組んでいる。現実の社会課題を探究する「オーセンティック(真正)な学習」に、学校全体で取り組んでいる。

持続可能な社会を担う力を伸ばす

  2年後に開催される「GREEN× EXPO2027(国際園芸博覧会)」との連携は、プロジェクトの大きな柱となりつつある。近隣の旧上瀬谷通信施設跡地を会場とし、持続可能な社会の創造を目的に開催される園芸博は、学校の教育目標とも合致している。生徒たちの成功への意欲が、ユニークなプロジェクトを次々と生み出している。

 1年生は学年共通の社会課題として、地域の魅力を深掘りする探究活動を行った。会場設置のために伐採される木材を有効活用し、着生植物の着生板として再利用するプロジェクトや、地域農家と連携して花を栽培し、地域の高齢者との交流を目的としたマルシェを開催・販売するなど、循環型経済や地域活性化をテーマに取り組んだ。これらの活動から派生し、有志団体「未来共創ラボ」が立ち上がった。地域の養蜂家から提供された蜜蝋を精製してキャンドルを作ったり、地域の中学生向け探究講座の企画・運営を手がけたりするなど、独創的な活動を展開している。全校的な取組としては、JA横浜や㈱サカタのタネなどの協力を得て通学路に花を植える「フラワーロードプロジェクト」がある。在校生だけでなく、小学生や地域の人たちも多数ボランティアとして参加している。

 こうした取組が評価され、同校は園芸博で花や緑に関する出展を行う「花・緑出展」が内定している。また、園芸博終了後の会場は「里山」を体感できる公園として整備される予定だ。小林幸宏校長は「自然との共生を考え、学ぶ場として活用したい。これまでの生徒の活動がレガシーとなり未来の生徒の学びにつながれば」と語る。

長尾康子(教育ライター)

GREEN×EXPO 2027のPRイベントでプロジェクトの成果を発表する生徒たち。

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