Program「TATSUNOvision2030」プロジェクト
「一人ひとりの活躍がつくり出す 住み続けたいまち」
&「地域に愛され必要とされる学校」を目指して!
本校がある辰野町は人口減少社会を見据え、2030年に目指すまちの将来像を「一人ひとりの活躍がつくり出す住み続けたいまち」を基本構想として「地域の良さを実感し、地域に誇りを持ち、住み続けたいと思えるまち」を目標に定めている。
辰野町にある唯一の県立高校である本校は、2030年を目途とした高校再編整備計画の対象校であり、学校存続のためにも「魅力ある高校づくり」「魅力ある教育活動」が求められ、中学生が行きたい、保護者が行かせたい、地域が活かしたい学校づくりに邁進している。
総合的な探究の時間、普通科(学際探究・地域探究・スポーツ探究)コース授業でSDGs学習・地域貢献・スポーツを通して、地域活性化・異文化理解等を学び、地方からの国際交流を目指す。また、商業科では空き店舗を利用して商店街の活性化を考案。これら学んだSDGs学習を、地域の方々や小中学生に広げる活動を生徒会活動の柱とする。全校をあげて探究プログラムに取り組む。
本プログラムにより、2030年に向けて辰野町と辰野高校が、両者の目標を達成するために、地元商店街・企業、幼保小中学校・大学等教育機関、近隣市町村等と協働して地域が抱える課題を理解し、地域の活性化及び地域を担う人材の育成を図ることを目指す。

活動レポートReport
地域活性化の架け橋としての 探究
長野県辰野町に位置する辰野高校は、2030年には商業科が移転し、普通科単独校となる予定だ。同校では「地域高校として存在意義のある学校」を目指し、地域と連携した様々な取組を進めている。町の目標「地域の良さを実感し地域に誇りを持ち住み続けたいと思える町」に共鳴し、地域貢献と活性化の一翼を担う。
普通科は三つのコースが設置され、各コースで特色ある探究を展開している。「地域探究コース」では、事業者や町との連携を通じて、生徒が地域創生の企画・運営に関わる。これまで酒造メーカーの160周年蔵開き支援、小学生との協働企画「アップサイクルファッションショー」などに取り組んだ。国の天然記念物である「しだれ栗」の自生地で外来植物の駆除活動を行うなど、地域課題の解決に実践的に働きかけている。「スポーツ探究コース」では、幼稚園児へのソフトバレー指導や、子どもから高齢者まで参加できる「辰野高校スポーツフェスティバル」の開催など、町民を巻き込んだイベントが好評だった。「学際探究コース」では、地域に根差しながら国際的な視野を育むことを目的に、台湾・南投県埔里(プーリー)の高校生とオンライン交流を実施。2025年度には現地交流も計画している。それぞれ日本と台湾の地理的な「ど真ん中」の町の友好関係構築に貢献していくという。
商業科の生徒たちは、サッカーの松本山雅FCと連携している。ホームゲームで辰野町の物産ブースを出店し、地域PRと産品の販売促進に課題研究として取り組んだ。
自己肯定感の高まりを加速
「これらの取組を通して、生徒は自分の考えを持ち、発信する力を高めた。とくに自己肯定感の向上に結び付いている」と話すのは、小澤潤也教諭だ。地域との連携は口コミのおかげで依頼が絶えず、毎年、新たなプロジェクトが生まれ、それが生徒たちの積極性を引き出している。
この好循環を維持するための課題は、地域と学校をつなぐ専門コーディネーターの整備だ。年度末に活動報告会「辰野フォーラム」を開催するのに合わせて、自己評価を盛り込んだ報告書を作成し、成果と人的資源の必要性を外部にアピールしたい考えだ。
長尾 康子(教育ライター)
活動成果は「辰野フォーラム」で発表。