Program知的なときめきから世界を変える
-社会に感動を与える探究イノベーター育成システムの構築-
岐阜県内唯一のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校として研究・開発をしてきた「3年間を通した系統的な探究学習のカリキュラム」を発展、深化させるとともに、成果を岐阜県内で共有し普及するための探究学習支援ネットワークを構築する。
生徒は「自らの内に問いを見出し、粘り強く解き明かす」ための探究学習に取り組む。1年次は主体的なテーマ設定と探究を促すメタ思考の深化を促すプログラム、2年次は自らの問いに基づく協働的な探究活動に取り組み、研究成果を発信する。
このための、本校の探究活動プログラムの特徴は、以下の3点である。
1.探究:生徒が自ら内発的動機に基づく問いを発見し、粘り強く解き明かし深めていく力を育成する。課題は幅広くその対象とし、3年間をかけて全員が取り組む。
2.開発:科学的・主体的に探究を深化させる探究イノベーターを育成するため、情報活用力を含めた探究の基礎スキルを身につけるためのカリキュラムを開発する。
3.普及:本校の探究学習および指導方法等の成果は、県内の高等学校、小中学校を対象として普及する。これにより、地域の探究学習の水準の向上を協働的に促進する。

活動レポートReport
学科や学年を超えた協働で「知的なときめき」を培う
恵那高等学校は、大正期以来の歴史を持つ県下有数の伝統校にして進学校。普通科と理数科を併設する同校では、グラデュエーション・ポリシーに「自ら問いを立て探究する生徒」を掲げ、両科それぞれで探究学習に注力してきた。「特に理数科では県下唯一のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校として確かな実績を積み重ねており、その成果を普通科にも波及させると同時に、両学科の交流による文理融合の〝総合知〟を培うべく、3年間を通した系統的なカリキュラムを整備しました」と、探究理数科主任の佐々木先生は語る。
理数科は科学的な課題、普通科は地域の課題と、学科ごとに探究テーマの範囲は異なるものの、1年次で探究基礎を学びつつ各自で探究テーマを設定、2年次からグループ単位で探究活動を行い、3年次の外部発表とキャリア形成につなげるという流れは共通している。また、2年次には両科合同で研究発表交流会を実施し、互いに刺激や気づきを与え合うことで、その後の探究活動の深化が促されているという。
「生徒たちが〝知的なときめき〟、すなわち内発的な動機に基づく自分だけの問いを導き出せるよう、私たち教員は待つ姿勢を重視。安易に答えを与えるのでなく、時間がかかっても生徒が自ら考え抜くまで見守るよう意識しています」と佐々木先生は同校の指導方針を語る。
その一環として、近年では異学科間の「横の協働」に加え、異学年間の「縦の協働」にも注力。生徒同士が対話を通じて学び合うことで、教師に頼ることなく、自分たちで探究を深めていく意欲が芽生えているという。「例えば、1年生が3年生の実験に参加することで、探究に取り組む基本的な姿勢を体感できます。一方、3年生が1年生のテーマ設定や2年生の経過発表に参加し助言することで、それまで自分が身につけてきた探究力が周囲に影響を与えうる、まさに『世界を変えられる』ことを実感できるのです」と佐々木先生は語る。
こうした学びに対する生徒たちの思い入れは強く、卒業時に「本校での探究が終わってしまうのは寂しい」との声も聞こえるという。佐々木先生はそうした声を喜びつつ「その気持ちは、きっと今後の自己実現のよりどころになる。これからの人生で壁にぶつかったとき、本校で得られた〝知的なときめき〟を、自分だけの問いを解き明かす力にしてほしい」と、生徒たちのさらなる探究に力強いエールを送っていた。
島袋浩次(ライター)
2年次には普通科と理数科合同で「研究発表交流会」を開催。探究内容はもちろん、手法や考え方についての情報共有・交換が進み、学習意欲の向上が見られた。他にも「コラボレーションラボ」など両科が交流する機会を増やしており、多様な他者との協働を通じた探究の深化を促している。