カテゴリー 12024年採択

島根県立隠岐高等学校

対象者数 135名 | 助成額 200万円

https://www.oki-hs.ed.jp/

Program小さな島だからこそできる、最先端が混ざり合うキャリア探究
- 隠岐ジオパーク研究 × 実践型アントレプレナーシップ 教育 × 越境的学び -

 現在、本校ではジオパークを活用した地域課題解決型の探究学習を通して、地質多様性・生物多様性・文化多様性の価値を理解し、継承する中で、新たな価値を創出していく多様な人材の育成に取り組んでいる。さらに、Vision/Policyでもある、島の未来を切り拓くため・経済的にも豊かな島を実現するために、以下のプログラムを通して、「帰ってきたいけど、島には仕事がない」という価値観を抜本的に変えることを目指す。

①地域での『実践型アントレプレナーシップ教育 』

 県内唯一の普通科・商業科併設校という本校の特徴を活かし、実際にお金を使わせるという真正性の高い起業家的経験を、全生徒に提供する。早期から起業家的なキャリアを示しつつ、探究活動に必要な資質・能力を涵養していく。また、アントレプレナー達との対話やピア・メンタリングの実践を通して、対話と内省を繰り返す。自由に夢を語り、その実現を応援する環境を創り出していくことで、生徒たちが新たなキャリアを探究していくことに繋げる。

②地域を、島を、見えない「枠」を飛び出す『越境的学び』

 学校を飛び出し、フィールドワークや関東圏でのワークショップを通してロールモデルになるような人との出会いを提供することで、今まで当然視していた価値観等の見えない「枠」を保留・相対化し、キャリアに関して幅広い選択肢や考え方があることに気づかせる。

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アントレプレナーシップ教育で島の未来を切り開く

 隠岐諸島の主島・島後に位置する隠岐高校は、ユネスコ世界ジオパークに認定された豊かな自然と文化を背景に、地域課題解決型の探究学習を展開。2013年度から続くこの活動は、「隠岐に誇りと愛着を持つ生徒の育成」という目的を達成しつつも、「生徒や保護者からは『Uターンしたくても島に仕事がない』という声が多く、キャリア選択に限界を感じていました」と同校の若岡洋介先生は話す。そこで2024年度から「実践型アントレプレナーシップ教育」と「越境的な学び」をスタートさせた。
 1年生1学期に行われた「スモールビジネスチャレンジ」では、生徒たちが4、5人のグループで疑似的な株式会社を設立。実際に資本金2万円を受け取り、仕入れや販売、顧客分析を行いながら、ビジネスの基本を体験する。アントレプレナー教育プログラムを提供する会社の伴走の下、2週間の準備期間を経て、同校のオープンスクールで販売を行った。「目標を立ててやり方を伝えれば、生徒たちはこんなに動くんだと驚かされました。中には、『もう一度やりたい』と自主的に地域での販売活動を行う生徒も現れるなど、自己肯定感、自主性の面で予想以上の成果がありました」と若岡先生は語る。並行していたジオパーク研究にも好影響を与え、「自ら動くという体験をしたことで、生徒たちは地域の人々へのインタビューや調査活動にも積極的に取り組むようになり、例年に比べて探究活動の進捗が非常に早くなりました」(若岡先生)。
 「越境的な学び」としては、岡山県立岡山操山高校との合同合宿を実施。参加志望の生徒が両校から5人ずつ参加し、アントレプレナーシップ教育の専門家と大学生と共に、デザイン思考を活用した未来創造型のワークショップを行った。島外に出る機会が少なく、初めは緊張で固まっていた生徒も、最終的に岡山操山高校の生徒や先生とも打ち解けて、存分に楽しんでいたという。「視野を広げ、自分の殻を破る貴重な経験になりました」(若岡先生)。
 地元・隠岐の島町は、「消滅可能性自治体」に入るほど存続が危ぶまれている。その中で、生徒たちの大きな成長は希望の灯となったと、若岡先生は語る。「最終的には、卒業生が島に戻り、起業やビジネスを起こすことで地域に新たな価値を生み出してほしい、と考えていました。1年を通して、この願いが現実味を帯びてきました」。同校の挑戦は、遠い未来ではなく、数年の間に実現する可能性を秘めている。

アントレプレナーシップ教育として、2年次には、「アントレプレナー基礎講座」を実施。起業家の講演を通じて、ビジネスの原則や実践的なスキルを学び、キャリアを広げるきっかけを提供した。

岡山県立岡山操山高校との合同合宿の様子

お互いすぐに打ち解けて充実した合宿となった

校内で行われたスモールビジネスチャレンジの様子

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