カテゴリー 12024年採択

高知県立安芸中学校・高等学校

対象者数 227名 | 助成額 200万円

https://sites.google.com/g.kochinet.ed.jp/aki-jh/

Program次代の弥太郎育成プロジェクト 
~地域課題と向き合いグローバルな視野を持ち
地域で活躍する人材の育成を目指す~

 郷土の偉人「岩崎弥太郎」を輩出した高知県東部の安芸市に、本校は位置している。本プログラムは、「安芸の地域課題に向き合う」を合言葉に、生徒の興味・関心や将来の進路をもとに、安芸市の「歴史・文化・産業・観光・防災等」をテーマとし、地元商工会、企業、農園等と連携し地域課題の解決に向けた課題探究に取り組むものである。また、今年度より導入されたDXを活用し、地元企業や県内大学と連携することで、人文社会系テーマに理工系のテーマも新たに加え、数理的な視点で、安芸市喫緊の課題でもある防災にも取り組んでいく。これらの取組により、生徒が地域課題に目を向け、社会資源の活用法を学び地域理解や課題解決力、探究力、協働する力等、社会人として必要な総合力を養うことが大いに期待できる。さらに、課題探究活動で学んだ内容の成果発表会や小・中学生、地域住民を対象とした防災活動等を企画・運営することで地域へ還元していく。この探究活動に取り組むことで、生徒の郷土愛を育み、探究心に火を付け、郷土の偉人の志を引き継ぎ、安芸市から高知県、ひいては日本への社会貢献ができる「令和の弥太郎」と呼ばれる人材が育つことを切に願っている。

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活動レポートReport

学びを地域へ還元する 高校生たちの挑戦

 安芸高校の普通科の探究活動では、1年生は、グループで地域住民や地元企業の協力を得て地域課題を調査し、仮説を立て、2年生ではその仮説を検証し、アクションへつなげていく。3年生では、1・2年生での探究活動を基に、自身の進路に関連する課題を設定し、個人探究に取り組んでいく。

 「2024年度は2年生が具体的なアクションにつなげ、地域から大きな反響がありました」と、探究活動総括担当の竹内寛敏先生は話す。過去に先輩方が行ったイベントを掘り起こし、地域住民や活動団体と協力しながら改良を加え、商店街の魅力を発信する「きさらぎ市」を実施。また、海岸でかがり火をともすイベントなども好評を博し、地域の振興協議会から感謝状が贈られるなど、地域活性化の一助となった。

 こうした成果を後押しした要因の一つが、大学との連携だ。高知大学地域協働学部の学生がTAとしてオンラインと対面の両方で伴走。生徒たちが主体的に質問を投げかけ、具体的なアドバイスを受ける場面も多く見られ、生徒からも好評だったという。

 もう一つ24年度に取り組んだのが、最新デジタル技術の導入だ。同校の機械土木科の生徒や地元企業と連携し、点群データ※を活用して災害時の学校内の避難経路の可視化に取り組んでいる。またVR技術を用いて津波被害を想定した防災体験を地域の小中学生向けに提供する計画も進行中だ。

 三菱みらい育成財団と三菱UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社が行ったアンケートでは、24年度は「将来、地域で暮らしたい」と考える生徒が増加しており、地域への関心や愛着が高まったという点で手応えがあったと竹内先生は話す。

「2年生のきさらぎ市やかがり火のイベントのボランティアを校内で募ったところ、予想以上に生徒が集まりました。イベント開催を実行した生徒たちの熱意と行動力が校内全体に影響し、地域を盛り上げたいという一体感が高まったと感じています」。

 25年度は、探究の実施スケジュールを見直し、1年生初期にまず探究の基礎的な思考力を学び、自身の関心のあることをテーマに一度探究をし、そこで得たノウハウを基に地域課題に取り組むサイクルへとつなげる。また、これまで別々で行っていた普通科と機械土木科・ビジネス科の成果発表会を合同で実施し、学科を横断した連携をさらに深めていくという。同校の強みを生かしつつ、生徒の主体性が地域と校内に好循環を生む仕組みづくりを目指す。

※ 3D空間上の物理的な物体や空間をデジタルで表現するためのデータ

「きさらぎ市」を企画・運営した2年生のメンバー。地元飲食店の出店や高校生によるマルシェに参加、また同校のギター部や吹奏楽部が演奏した。

安芸海岸の魅力を発信しようと行った「かがり火」のイベント。伝統芸能である赤野獅子舞の保存会が舞を披露した。

3月に行われた「成果発表会」。校内の普通科の生徒だけでなく、地域の方も多く参加した。

徳島大学でDXを活用した防災について講義を受けたメンバー。VR・AR等の活用について興味深い話が聞けたという。

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